行政手続

行政手続

Ⅰ 宗教活動に伴う種々の行政手続

 1 宗教団体・宗教法人やその関連団体・関連法人または個人が、宗教活動や宗教実践を目的としてまたはその一環として、何らかの行為を行い、事業を展開しようとする場合には、事前にご相談ください。

 2 まだ具体的には定まっていなくても、話題に上ったり、検討しようと考えた段階で、できるだけ早くにご相談いただくことをお勧めします。

 3 極めて多くの法律によって複雑な許認可や規制が定められており、都道府県や市町村の条例や規則によっても都道府県・市町村の独自の規制が置かれています。それらを調査して、適切な手続を行うことが必要です。

 4 多くの行政機関などでは、宗教の造詣がなく、宗教団体・宗教法人・宗教法制に関する知識が乏しく、宗教活動や宗教実践に対する理解がなくて、一般の営利企業と同様の規制や手続を求められたり、宗教に関する誤解から、そもそも手続に入ることすらできない場合もあります。

 5 当事務所は、宗教専門職により、宗教に特化して、宗教団体などの本旨を十分に理解して、宗教活動などに関連する行政手続に取り組んでいます。

Ⅱ 行政不服審査請求

 1 申請に対する不許可など行政手続に関する行政処分や、現に保有する施設などや現に行っている事業などに関する行政機関からの禁止命令などを受けた場合、それぞれの手続に応じて、行政不服審査法やそれぞれの法律に基づいて、行政不服審査請求を行うことができます。

 2 このような処分に関する通知などを受けた場合には、最終的に、行政不服審査請求の申立てを行うか否かは後のことにして、取り急ぎ、当事務所にご相談ください。

 3 宗教団体や宗教法人であること、宗教活動であること、宮司・住職・牧師・司祭など宗教主宰者や宗教専門職であること、氏子・檀家・信徒・信者であることなどのために、通常の手続とは異なる、特別な手順や特殊な取扱いをすることが必要であることも少なくありません。

 4 当事務所では、行政手続法や特別法に基づく行政不服審査請求の申立書を作成し、当事者に代わって代理人として行政不服審査手続を進め、補佐人として意見を述べ、審査のための意見書の作成などでご協力、ご支援することができます。

Ⅲ 境内地・境内建物に関する手続き(例示)

 1 土地を入手しようとするとき(例示)

  ⑴ 売買契約
  ⑵ 農地法による農地転用許可
  ⑶ 都市計画法による開発許可
  ⑷ 登録免許税免除のための証明
  ⑸ 宗教法人法による宗教法人内部の手続き
  ⑹ 所有権移転登記
  ⑺ 近隣住民への説明
  ⑻ 融資に関する金融機関の手続き

 2 新しい宗教施設を建立しようとするとき(例示)

  ⑴ 建築設計
  ⑵ 建築確認
  ⑶ 都市計画法による開発許可
  ⑷ 消防法の手続
  ⑸ 宗教法人内部の手続き
  ⑹ 環境保護条例などの手続
  ⑺ 所有権保存登記・所有権移転登記
  ⑻ 近隣住民への説明
  ⑼ 融資に関する金融機関の手続き

 3 境内地・境内建物の管理(例示)

  ⑴ 保守管理契約
  ⑵ 保守管理規程
  ⑶ 防犯カメラの設置・運用・管理
  ⑷ 防犯カメラと肖像権・プライバシー  
  ⑸ 防犯センサーの設置・運用・管理
  ⑹ 施設の火災保険・地震保険
  ⑺ 不法侵入対策
  ⑻ 施設に起因する損害賠償責任  

Ⅳ 労務管理・社会保険に関する手続き

 1 「労働者」とは

  ⑴ 「労働者とは

   「労働者」とは、
     事業主に「雇用」され、事業主の指揮監督下で労働に使用され、
     労働の対償としての賃金(給料)を受ける者、をいいます。

  ⑵ 「宗教専門職」「宗教職

   ㋑ 宮司・住職・牧師・司祭など「宗教専門職」は、
      神仏に任命され、神仏に仕える奉仕者であって、
      宗教法人に雇用されたものではありませんから、
      労働法・社会保険法の対象となる「労働者」ではありません。
   ㋺ 宗教専門職ではない神職・僧侶・聖職者・教職者などの「宗教職」も、
      同様に、労働者ではありません。

  ⑶ 「代表役員」「責任役員

   ㋑ 宗教法人の「代表役員」「責任役員」は、
      宗教法人の役員であり、
      労働者ではありません。
   ㋺ 宗教法人と役員との関係は「委任」であり、
      「雇用」ではありませんから、
      「労働者」ではありません。
   ㋩ 多くの宗教法人では「役員は無報酬・無給とする」とされており、
      労働法・社会保険法の適用される余地もありません。

  ⑷ 「専任職員

   ㋑ 宗教法人に「雇用」され、
      宗教団体・宗教法人において、
      宗教専門職・代表役員の指揮監督下で、
      諸々の事務や業務に従事し、
      賃金を受ける者をいいます。
   ㋺ 「職員(専任職員)」は、
      労働法・社会保険法の適用される「労働者」です。

  ⑸ 「兼任職員

   ㋑ 「宗教職」であって、
      宗教団体・宗教法人において、
      宗教専門職・代表役員の指揮監督下で、
      諸々の事務や業務に従事し、
      賃金を受ける者をいいます。
   ㋺ 「職員(兼任職員)」は、
      労働法・社会保険法の適用される「労働者」となる可能性があります。
   ㋩ ただし、
      あくまでも「宗教職」としての職務の延長線上で庶務を処理しているに過ぎず、
      賃金も受けていない場合には、「労働者」とは言えません。
   ㋥ 「役員」が法人の事務や業務を処理するのは、
      役員としての職務ですから、「労働者」には当たりません。
   ㋭ ただし、
      あえて「雇用」し、
     「賃金」の支払いをしているのであれば、
     「労働者」に当たります。

 2 執務管理と労務管理

  ⑴ 宗教専門職の自己管理

   ㋑ 「宗教専門職」は、
      神仏の意思を顧慮し、
      自らの判断と意思で、神仏に仕える者ですから、
      神仏以外に、人的・団体的に、その執務は管理されません。
   ㋺ したがって、
      「宗教専門職」は、「自己管理」が原則です。

  ⑵ 宗教職の執務管理

   ㋑ 「宗教職」は、
       宗教団体において「宗教専門職」の下位にあるとはいえ、
       神仏の意思を顧慮し、
       自らの判断と意思で、神仏に仕える者であり、
       宗教専門職や上位宗教職の指揮監督下で労務に従事する労働者ではありません。
   ㋺ 「宗教職」は、
      「職員」のように「労働契約」「就業規則」などの規制は受けませんが、
       宗教団体としての「執務規程」「倫理規程」を定めることは有益でしょう。

  ⑶ 職員の労務管理

   ㋑ 「職員(専任職員・兼任職員)」については、
      「労働者」として、労働法の適用を受けますから、
       労働諸法に基づいた「労働契約」「就業規則」その他の諸規則を定めることが必要です。
   ㋺ 「職員」は、
      「労働組合」を結成し、
      「労使団交」を行い、
      「労使協定」を締結することができます。
   ㋩ 「外国人労働者」についての特別の規定や取り扱いも必要になります。

 3 社会保険手続き

  ⑴ 「社会保険とは

   ㋑ 「社会保険」とは、
      「労働者を対象とする「雇用保険」「労災保険」「健康保険」「厚生年金」をいいます。
   ㋺ 「社会保険」は、
      「基本的に、労働者保護・援助のための強制的な保険制度ですから、
       任意に加入脱退できるものではありません。
   ㋩ 「社会保険」の保険料の全額または一部は、事業主である宗教法人の負担となります。
   ㋥ 「労働者」でない「宗教専門職」「宗教職」「代表役員」「責任役員」は、社会保険の対象外です。

  ⑵ 「雇用保険

    「雇用保険」は、
      労働者が失業したり、
      雇用の継続が困難になった場合に、
      保険給付の行われる制度です。

  ⑶ 「労災保険(労働者災害補償保険)」

    「労災保険」は、
      「労働者の「業務上の」負傷・疾病・死亡に対して、
       保険給付の行われる制度です。

  ⑷ 「健康保険

    「健康保険」は、
      労働者の「業務外の」負傷・疾病・出産・死亡に対して、
      保険給付の行われる制度です。

  ⑸ 「厚生年金(厚生年金保険)」

    「厚生年金」は、
      労働者の老齢・障害・死亡に対して、
      保険給付の行われる制度です。

  ⑹ 宗教専門職・宗教職のための保険制度

    労働者でない宗教専門職・宗教職のためには、
      「国民健康保険」「国民年金」があり、
      強制加入です。

 4 労働者派遣事業

  ⑴ 「労働者派遣事業」

    ㋑ 派遣元事業主 = 派遣する労働者を雇用している事業主
    ㋺ 派遣先事業主 = 派遣された労働者を、自己の指揮命令の下で労働に従事させる事業主
    ㋩ 派遣労働者  = 派遣元事業主に雇用され、派遣先事業主の下で労働に従事する労働者
    ㋥ 派遣労働関係 = 派遣元事業主が労働者を雇用し、派遣先事業主が労働者に指揮命令する関係
    ㋭ 賃金支払関係 = 労働者の賃金は派遣元事業主が支払う
    ㋬ 派遣契約関係 = ① 派遣元事業主と派遣労働者の間に「雇用契約」
               ② 派遣元事業主と派遣先事業主の間に「労働者派遣契約」
               ③ 派遣先事業主と派遣労働者の間には契約関係はありません。
    ㋣ 労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。             

  ⑵ 「労働者供給事業」

    ㋑ 供給元事業主 = 供給する労働者を雇用している事業主
    ㋺ 供給先事業主 = 供給された労働者を雇用して、労働に従事させる事業主
    ㋩ 供給労働者  = ① 供給元事業主に雇用され、重ねて、供給先事業主に雇用される二重雇用型
               ② 供給元事業主を離れて、供給先事業主に雇用される雇用転換型
               ③ 有期間、供給元事業主を離れて、供給先事業主に雇用される期間雇用型、
    ㋥ 賃金支払関係 = 労働者の賃金は派遣先事業主が支払う
    ㋭ 労働者供給事業を行うことは、原則的に禁止されています。             

  ⑶ 「宗教職の派遣」

    ㋑ 派遣宗教職 = ⓐ 単位宗教団体の宮司・住職・牧師・司祭・教会長などの宗教職
              ⓑ 包括宗教団体(または教区)などに在籍  
    ㋺ 派遣元教団 = ⓐ 包括宗教団体は、所属する宗教職を単位宗教団体の宗教職に任命し、派遣する  
              ⓑ 包括宗教団体は、派遣宗教職の懲戒権や解任権を保有する
              ⓒ 包括宗教団体は、派遣宗教職の報酬・俸給等を支払わない 
    ㋩ 派遣先社等 = ⓐ 単位宗教団体は、赴任した宗教職を代表とし、その指揮命令に従う
              ⓑ 単位宗教団体は、赴任した宗教職に、指揮命令権を有しない
              ⓒ 単位宗教団体は、赴任した宗教職の懲戒権や解任権を有しない
              ⓓ 単位宗教団体は、赴任した宗教職に、報酬・俸給等を支払う
    ㋥ 宗教職ゆえに労働者ではないが、労働者派遣にも、労働者供給にも当たらない
    ㋭ 宗教職は、包括宗教団体の権威を帯びて、単位宗教団体を司る者 

 

Ⅴ 事業許可

 1 事業の許認可

  ⑴ 学校教育事業

   ㋑ 学校法人
   ㋺ 私立学校(幼稚園、小中学校、高校、大学、大学院)
   ㋩ 専門学校、専修学校、各種学校
   ㋥ 学習塾、外国語教室、料理教室、空手道場など

  ⑵ 社会福祉事業

   ㋑ 社会福祉法人、NPO法人
   ㋺ 保育園、学童保育
   ㋩ 老人福祉施設、児童福祉施設

  ⑶ 通信運輸業

  ⑷ 印刷出版業

  ⑸ 建築建設業

  ⑹ 飲食宿泊業

  ⑺ 医療保健

  ⑻ 厚生介護

  ⑼ 文化財

  ⑽ 墓地・納骨堂

 2 事業展開のための手続き

  ⑴ 道路占用

  ⑵ 警察許可

  ⑶ 地縁団体

  ⑷ 地方自治

  ⑸ NPO法人

 3 海事海運、自動車交通、航空など

  ⑴ 海事

   ㋑ 小型船舶操縦士・海技士
   ㋺ 水先案内
   ㋩ 船舶検査
   ㋥ 船員・船舶職員

  ⑵ 船舶

   ㋑ 離島・海岸地での信徒・来参者のための船舶
   ㋺ 信徒の修養・宗教職の研修のための船舶
   ㋩ 布教伝道のための船舶
   ㋥ 礼拝施設・布教施設・教育施設としての船舶
   ㋭ 宿泊施設としての船舶

  ⑶ 運送業

   ㋑ 旅客自動車運送業
   ㋺ 貨物自動車運送業
   ㋩ 海上運送業・内航海運業
   ㋥ 運送取扱業(自動車運送・海上運送・航空)
   ㋭ 自動車貸付業・船舶貸付業・航空機貸付業

  ⑷ 自動車登録

   ㋑ 信徒・来参者の送迎バスなど
   ㋺ 境内警備の自動車、境内管理のトラックなど
   ㋩ 布教伝道の自動車など
   ㋥ 宗教職の自動車、事務用の自動車など
   ㋭ 巡回活動の自動車・バス・トラックなど

  ⑸ ドローン

   ㋑ 境内・墓地の写真撮影
   ㋺ 境内・墓地の保安・警備・完全管理
   ㋩ 境内建物の保守点検・安全管理
   ㋥ 離島・山間地への聖典・神札・法具の配達

 

 

 

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