宗教活動

宗教法人

【 目 次 】

Ⅰ 「信教の自由」の保障
  1 法律の規定
  2 信教の自由
  3 「信教の自由」を守る
  4 「信教の自由」と「個人情報」
Ⅱ 宗教活動の基礎
  1 宗教の教義
  2 宗教団体の設立
Ⅲ 宗教活動と法律
  1 宗教団体の宗教活動
  2 宗教活動と法律
Ⅳ 宗教活動と倫理
  1 正義と倫理の基礎
  2 宗教活動の倫理
  3 宗教職の倫理
Ⅴ 宗教とは
  1 「宗教」の定義
  2 「聖豆腐教」という仮説
  3 「宗教」の判断基準
Ⅵ 宗教のアナログとデジタル
  1 宗教のアナログとデジタル
  2 宗教のデジタル展開
  3 宗教活動のデジタル展開
  4 架空のウェブ世界と現実世界の宗教
Ⅶ 21世紀の宗教
  1 宗教の危機・違法不法な業者
  2 宗教意識の希薄化・宗教の世俗化
  3 宗教の転換・新しい展開
Ⅷ 宗教と終末思想
  1 宗教の終末思想
  2 宗教者と非宗教者
  3 「私は今日、林檎の木を植える」
  4 聖書の終末論 
Ⅸ 新型感染症と宗教活動
  1 感染症と「信教の自由」
  2 感染期の宗教活動
  3 終息後の宗教活動

【トピックス】

9 宗教団体の持続化計画・持続化規程
8 『キャッシュレス社会と宗教活動』の発行 
7 新型コロナウイルス感染症と「宗教活動」
6 新型コロナウイルス感染症「緊急事態宣言」と「信教の自由」
5 宗教団体の新型コロナウイルス感染症対策
4 小冊子『中国の宗教法令」の発行 
3 「令和」の宗教的意味
2 『信教の自由と宗制・宗規』の発行
1 「国法と宗教法人の自治規範との対立・調整に関する研究」の問題点

Ⅰ 「信教の自由」の保障

  1 法律の規定

     ⑴ 日本国憲法20条1項前段

「信教の自由は、何人に対しても、これを保証する。」

     ⑵ 宗教法人法1条2項前段

「憲法の保障する信教の自由は、すべての国政において尊重されなければならない。」

     ⑶ 宗教法人法84条

「国及び公共団体の機関は、(中略)宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないよう特に留意しなければならない。」

  2 信教の自由

     ⑴ 法律上の規制

「信教の自由」の観点から、「宗教の教義」「宗教活動」「宗教団体」「宗教専門職」「宗教の信者」「宗教の信仰」などに関しては、「法律上の規制」はありませんし、「行政機関の関与」もありません。

     ⑵ ただし、制約はある

「何をしても許される」ということではありません。

     ⑶ 何を主張しても良い

「宗教の教義」として何を主張しても構いません。
ただし、具体的な行為・行動では、「宗教」という点からではなく、個々の行為については、個別の法律の規定が適用されることがあります。

     ⑷ 例えば、

「右は聖、左は俗・汚れ」という教えには、何ら問題がありません。
しかし、その教えに基づく聖なる行動の実践としてであっても、日本の公道を自動車で右側通行することは許されません。

  3 「信教の自由」を守る

     ⑴ 一人ひとりの「信教の自由」

㋑ 「信教の自由」は、一人ひとりの個人的なものであり、私的なものです。
㋺ 「宗教の信仰」は、宗教専門職や他の信者の助けがあったとしても、最終的には、各人と神仏との一対一の関係です。
㋩ 「宗教の信仰」は、各人が、自己の意思のみに基づいて、自由に判断し、自由に決定し、自由に表明しまたは秘匿し、自由に守り、自由に改め、自由に棄てうるものです。
㋥ これらを保障することが「信教の自由」を守ることです。

     ⑵ 宗教団体の「信教の自由」

㋑ 宗教団体の「信教の自由」は、一人ひとりの「信教の自由」(個人の「信教の自由」)の基礎の上に立っています。
㋺ したがって、個人の「信教の自由」が否定され、制約され、禁止されるところに宗教団体の「信教の自由」は成立しません。
㋩ 宗教団体の「信教の自由」とは、専ら神仏の意思に基づいて、神仏を崇敬礼拝し、布教伝道し、宗教職・宗教専門職を指導養成し、信者を教化育成し、宗教団体を組織運営することです。

     ⑶ 宗教職・宗教専門職の「信教の自由」

㋑ 宗教職・宗教専門職は、専ら神仏に仕えるため出家・献身・脱俗した者であって、専ら神仏の意思に基づいて、宗教活動を実践し、宗教団体を組織運営する者であり、信者の「信教の自由」および宗教団体の「信教の自由」を具現する者です。
㋺ 宗教職・宗教専門職は、個人として個人の「信教の自由」を保有しながら、信者の「信教の自由」および宗教団体の「信教の自由」を具現する者として、より高度な「信教の自由」が保障された者です。
㋩ 宗教職・宗教専門職は、高度な「信教の自由」を有する者として、自ら、高度な「信教の自由」を実践しなければなりません。

     ⑷ 「信教の自由」を守る

㋑ すべての人は、自己の信仰を貫く「信教の自由」を有します。
㋺ すべての人は、他人の信仰を尊重し、誹謗中傷し、否定禁止しない「信教の自由」を守る義務を有します。
㋩ すべての人は、自己の信仰する宗教を最高に尊重する「信教の自由」を有します。
㋥ 自己の「信教の自由」を主張する者は、それと同時にかつそれと同様に、他人の「信教の自由」を守ります。
㋭ 他人の「信教の自由」を否定することは、自己の「信教の自由」の否定につながるからです。
㋬ したがって、宗教の信仰者は、自己の信仰を高揚すると同時に、それと同様に、「信教の自由」として、他人の信仰を尊重します。

     ⑸ 「信教の自由」と宗教

㋑ 現代日本社会における「信教の自由」とは、多数の宗教、宗派、教派、教団、教義、教理、信条、実践などの存在を前提としています。
㋺ 宗教団体・宗教者として特定の宗教的主張をするのは当然の「信教の自由」ですが、特定の宗教的主張のみを是とし他を否とするのは「信教の自由」の否定です。
㋩ 宗教団体・宗教者は、自己の宗教内においては当然であるとしても、「信教の自由」として、他者との関係においては、互いに、一定の程度で、他者を理解し、尊敬します。
㋥ すべての人は、「信教の自由」の実践として、信仰の有無を問わず、境内地・境内建物・宗教の施設内においては、神仏や宗教施設に対して相当の敬意を払います。人間社会においても、他人に対して相当の敬意を払うのと同様です。
㋭ ただし、すべての人は、「信教の自由」として、いかなる場所においても、いかなる時でも、自己の信仰を堅持します。

  4 「信教の自由」と「個人情報」

     ⑴ 「個人の自由」

㋑ 「信教の自由」は、一人ひとりの個人的なものであり、私的なものです。
㋺ 当然、「個人情報」との関わりが重要です。
㋩ 確実な「個人情報の保護」のないところに「信教の自由」はありません。

     ⑵ 保護の必要な宗教に関する「個人情報」

㋑ いかなる宗教を信じているか。
㋺ いかなる宗教施設に出入りしているか。
㋩ いかなる宗教団体に喜捨・寄進・布施・献金などしているか。
㋥ いかなる宗教書を読んでいるか、購入しているか。
㋭ いかなる宗教の集会に出席しているか、閲覧・聴取しているか。
㋬ いかなる宗教用品・祭具・仏具・神具などを購入しているか。
㋣ いかなる宗教関連の旅行をしているか。
㋠ いかなる宗教関連のウェブサイトを閲覧し、SNSに参じているか。
㋷ いかなる宗教関連のテレビ番組を見、ラジオ放送を聞いているか。

     ⑶ 個人情報から危惧される宗教弾圧

㋑ 第一に、家族内・親族内での、宗教弾圧が心配されます。
㋺ 第二に、地域社会・学校内・企業内・職場内での、宗教差別や宗教弾圧が心配されます。
㋩ 第三に、就職・採用・昇進・転勤・職務分担など、雇用関係での、宗教差別が心配されます。
㋥ 第四に、災害救援、救急援助、行政助成、司法補助、公共利用、公益使用など、広い範囲での宗教差別につながりかねません。
㋭ 第五に、国家的なレベルでの、宗教差別や宗教弾圧に至るおそれが危惧されます。

     ⑷ 個人情報から展開される営業など

㋑ 個人の宗教的立場や宗教的関心を知ることから、容易に、その人に向けた営業が展開されえます。
㋺ 個人の宗教情報を第三者に転売する営業も生まれるでしょう。
㋩ さらに、その情報を基にした詐欺的商法も行われる危険があります。

                  (ウズベキスタン・タシケントのロシア正教教会)

Ⅱ 宗教活動の基礎

  1 宗教の教義

     ⑴ 「宗教活動」の基礎

「宗教活動」の基礎は、何と言っても、「宗教の教義」「宗教の教理」です。

     ⑵ 「宗教の教義」「宗教の教理」の重要性

「宗教の教義」「宗教の教理」がしっかりしていないと、永続的な宗教活動の展開が困難になりますし、何か問題が生じたときには、存続の危機に陥ってしまいます。

     ⑶ 宗教団体での確立

「宗教の教義」「宗教の教理」は、教派・宗派・教団などでの確立はもちろん必須ですが、各個の宗教団体での確認も欠かせません。

     ⑷ 歴史ある宗教団体

歴史ある宗教団体においては、伝統・伝承・慣習・慣例によって保たれてきていますが、それを「文字化する」ことは、宗教団体のためにも、宗教職・信者のためにも、第三者のためにも有益です。

     ⑸ 今、世界は変わっています。

「変化の時代」の中にあって、「確固たる宗教団体」を表明し、「宗教活動を不変」に展開するためにも重要です。

     ⑹ 相談受付

当事務所は、「宗教の教義」についてのご相談をお受けします。

  2 宗教団体の設立

     ⑴ 宗教団体

「宗教団体」とは、神社・寺院・教会・修道院・布教所・道場など、具体的に宗教活動を展開する組織や施設のことをいいます。

     ⑵ 世俗団体とは異なる

「宗教団体」は、世俗の団体とは異なります。
「社団」や「財団」に限るものではありません。
「宗教の教義」に基づき、種々のものが想定されます。

     ⑶ 基礎となる「宗教の教義」

「宗教の教義」に基づいて、具体的な宗教活動を、組織的・体系的に、一貫して、永続的に展開するには、明確な「宗教団体の設立」が必要です。

     ⑷ 宗教性と社会性

宗教の特殊性はありますが、社会性の側面も重要です。

     ⑸ 求められる団体性

できる限り、組織の内容や運営の透明性が求められますし、社会に向かっての広報体制、人事や財務の明確性、問題があった場合の責任体制、非常事態の危機管理体制などを考慮しなければなりません。

     ⑹ 相談受付

当事務所は、「宗教団体の設立」についてのご相談をお受けします。

Ⅲ 「宗教活動」と法律

  1 宗教団体の宗教活動

     ⑴ 「宗教活動」とは、

①  宗教の教義をひろめ(布教・宣教・伝道など)、
②  儀式行事を行い(祭典・礼拝・祈祷など)、
③  および信者を教化育成することをいいます(宗教法人法2条)。

     ⑵ 「宗教活動」は、

高度に「信教の自由」が求められることなので、「宗教団体」の主たる目的とされ(宗教法人法2条)、法律の規定に従う「宗教法人」の事業ではありません。

     ⑶ 「宗教法人」は、

あくまでも「財産管理」など「世俗の事務」を行うことが目的です(宗教法人法1条1項、行政通達)。

     ⑷ 「宗教法人」は、

①  「公益事業」、②  「収益事業」を行うこともできます(宗教法人法6条)。

  2 宗教活動と法律

     ⑴ 「宗教活動」は、

世俗から分離された「聖なる活動」ではありますが、「宗教活動」を構成する個々の行為には、各種の法律関係が絡んでくることもあります。

     ⑵ 宗教活動に絡む法律の規定には、

当該行為を規制するものもあれば、宗教活動や宗教団体・宗教職・信者などを保護するためのものもあります。

     ⑶ 宗教活動に絡む法律上の規定には、

国家や社会との関係にかかるものもあれば、個人や企業との関係にかかるものもあり、地球環境や人類の保護に関するものもあります。

     ⑷ 宗教団体が宗教活動を展開するに際しては、

さまざまな法律関係があることを認識し、「法律の規制に下る」という意味ではなく、「法律を超える」という意味で、法律上の問題を精査しておくことは、有益ですし、必要です。

     ⑸ 相談受付

宗教活動に絡む法律上の諸問題については、当事務所にご相談ください。

                                 (高知城)

Ⅳ 宗教活動と倫理

  1 正義と倫理の基礎

  2 宗教活動の倫理

  3 宗教職の倫理

     ⑴ 宗教職に求められる知識・経験

㋑ 宗教に関する十分な知識・経験があること……、宗教職に、当然に、求められる「宗教職の要件」です。

㋺ 必要な宗教に関する知識としては、自己の属する宗教については当然、他の宗教や宗教一般についても、現在の社会的な問題についても、求められています。

     ⑵ 宗教職の「最大の倫理違反」「究極の義務違反」

㋑ 宗教職に求められる必要な知識を有しないこと……、それが、宗教職の「最大の倫理違反」「究極の義務違反」です。

㋺ 宗教職とは、「究極の真理」を説き、「永遠の生命」を呈示し、「人の生き方」を教えるなどを専門とする者ですから、多くを求められるのも当然です。

㋩ 宗教職が、「自分には知識がない」と言うことは、信者・求道者・来訪者などの期待を裏切ることになります。

     ⑶ 宗教職に必要な研修

      ① 専門職の研修

・ 弁護士・司法書士・行政書士・税理士など、多くの専門職では、業務研修や倫理研修が義務化されています。

      ② 宗教職の研修

・ 残念ながら、宗教職の研修は、まだまだです。
・ もっぱら、宗教職個人の見解と意識に基づいていますが、今後、宗教団体として、宗教職の研修を制度化していく必要があります。

      ③ 求められる宗教職の研修

・ Ⓐ 宗教職の属する宗教に関する定期的な研修
・ Ⓑ 他の宗教や宗教一般に関する研修
・ Ⓒ 宗教に関する法律・社会現象・社会状況に関する研修
・ Ⓓ 宗教職の倫理に関する研修
・ Ⓔ 宗教活動や宗教団体の事務に関する研修

 

Ⅴ 「宗教」とは

  1 「宗教」の定義

     ⑴ 「百の定義」

・ ㋑ 「百人の学者がいれば、百の定義がある」と言われています。
・ ㋺ かつて、文部科学省では、宗教の定義を集めましたが、「定義できない」という結論に至ったようです。

     ⑵ 「主観的定義論」

・ ㋑ 当事務所の主張は「宗教の主観的定義論」です。
・ ㋺ 自ら「宗教」と主張するものを「宗教」とし、自ら「宗教でない」というものを「宗教でない」とするものです。

     ⑶ 「永遠と時空」

・ ㋑ とはいえ、何の根拠もないのではなく、基礎となるものがあります。
・ ㋺ それが「永遠」と「時空」です。

     ⑷ 「神仏と人間 」

・ 「永遠の神仏」と「時空下の人間」との関係……、それが「宗教」です。

     ⑸ 「宗教活動」

・ ㋑ 宗教活動の基本は、「礼拝」「伝道」「教育」です。
・ ㋺ 「礼拝」とは、「永遠の神仏」への「信仰」「礼拝」「崇敬」の表明です。
・ ㋩ 「伝道」とは、「時空下で悩める人間」の救済の呈示です。
・ ㋥ 「教育」とは、「永遠の神仏と時空下の人間」の関係を深めることです。

  2 「聖豆腐教」という仮説

     ⑴ 税金逃れの「宗教仮装」

・ ㋑ 小職が、大学の講義で使用した事例です。宗教法学会でも報告しています。
・ ㋺ 「豆腐屋」が税金逃れのために「宗教」を装う、という仮説です。
・ ㋩ 主観的には、明らかに、「宗教ではない」という事例です。

     ⑵ 豆腐屋の描写

・ ㋑ 個人経営の豆腐屋は、主人が経営者で、妻が経理や営業を担当しています。
・ ㋺ 息子が豆腐の販売促進や配達を担当し、娘が店舗で販売を担当しています。
・ ㋩ 主人は、毎朝、早朝に起き、シャワーを浴びてから、作業着に着替え、店舗奥の倉庫から大豆を取り出し、種々の過程を経て、豆腐を作ります。
・ ㋥ 息子は、豆腐を容器に入れ、豆腐の配達に出かけ、販売促進の業務を行います。
・ ㋭ 常連の顧客は、毎日のように、店舗を訪れ、代金を納めて、豆腐を買って帰ります。

     ⑶ 「聖豆腐教」の創設

・ ㋑ 主人は「神官」を名乗り、妻は「宗務総長」という肩書です。
・ ㋺ 息子は「宣教部長」とされ、娘は「巫女」と呼びます。
・ ㋩ 神官は、夜明け前に起きて、水垢離して身を浄め白衣に着替えて、「奥の院」から、「聖お豆様の御神体」を頂戴し、種々の宗教儀式を経て、純白の「無垢の聖体」に形を整えます。
・ ㋥ 宣教部長は、御聖体神輿にお入りいただき、御巡幸の旅に出、布教伝道の聖務を行います。
・ ㋭ 信者は、毎日のように、神殿を訪れ、社務所にてお布施を納め、拝殿にて御聖体を分与されて家に帰ります。

     ⑷ 「宗教」か「営業」か

・ ㋑ この「聖豆腐教」は、明らかに、「偽装宗教」です。
・ ㋺ しかし、客観的な事実から、これを「宗教ではない」と言えるでしょうか。

     ⑸ 主観的宗教論

・ ㋑ 宗教の定義は不可能と言われています。
・ ㋺ 基本的に、自ら宗教と言うものを宗教とし自ら宗教でないとするものを宗教でないとするほかありません(主観的宗教論 = 櫻井理論)。
・ ㋩ そうでない限り、宗教を一定の枠にはめて定義することにまり、真に宗教であるものを宗教でないとし、宗教でないものを宗教であると認定することになります。
・ ㋥ それは、宗教の制限となり、宗教の禁制となります。
・ ㋭ 主観的宗教論こそが、「信教の自由」に叶う宗教論でしょう。

  3 「宗教」の判断基準

     ⑴ 「宗教」を決めるのは誰か?

・ ㋑ 「信教の自由」の観点から、日本では「宗教」を決めるのは各個人です。
・ ㋺ 宗教団体、宗教主宰者、宗教職、信者などが自ら定めるのが原則です。
・ ㋩ 自ら「宗教である」と主張するものが「宗教団体」です。
・ ㋥ 自ら「宗教でない」と主張するものは「宗教団体でない」。
・ ㋭ 「宗教である」というものを「宗教団体でない」とするのは「信教の自由の侵害です。
・ ㋬ 「宗教でない」というものを「宗教団体である」とすることも、宗教に対する偏見であり、「信教の自由の侵害につながります。

     ⑵ 法律による「宗教」の規定

・ ㋑ 外国においては、「宗教」を法律・条例で規定している例もあります。
・ ㋺ 外国においては、裁判上の判例により「宗教」を定めている例もあります。
・ ㋩ 日本では、「信教の自由」の観点から「宗教」を決めるのは各個人です。
・ ㋥ 法律・命令・条例・規則で「宗教の基準」を定めることは、「信教の自由の侵害となります。
・ ㋭ 行政機関が訓令・通達・基準・ガイドラインなどで「宗教の基準」を定めることは、「信教の自由の侵害となります。
・ ㋬ 行政機関が、申請者などの意に反して、「宗教である」とか「宗教でない」と判断することは、「信教の自由の侵害となります。
・ ㋣ 文部省・文部科学省・文化庁は、宗教法人法の制定以来、一貫して、「宗教(宗教活動)」を規定するのは、宗教団体自身である旨を表明しています。

     ⑶ 行政による「宗教」の判断

・ ㋑ 全国各地の宗教団体からの報告によれば、全国各地で、各種の行政手続や行政行為において、各種の行政機関から、長年継続して宗教活動を行ってきた、宗教団体・宗教法人であるにかかわらず、「宗教である」「宗教活動であることを否定された例が多数あります。
・ ㋺ 宗教性・宗教活動性を否定された例
・   Ⓐ ペット供養(ペットなど動物の供養)は宗教ではない
・   Ⓑ 宗教は、人間を対象とし、動物を対象とするものではない
・   Ⓒ 動物の焼骨の収蔵(納骨)は「倉庫業」である(宗教ではない) 
・   Ⓓ 動物の供養・読経などは「請負業」である(宗教ではない
・   Ⓔ 人間の死後を対象とするのが宗教である
・   Ⓕ 生きている人間の事業や生活などを扱うのは宗教ではない
・   Ⓖ 宗教の教典・宗教書などの頒布は「物品販売業」である(宗教ではない/宗教活動に含まれない)
・   Ⓗ 信者・来参者のための清涼飲料水の自動販売機の設置は「物品販売業」である(宗教活動に含まれない)
・   Ⓘ 信者・来参者の便宜のため固定電話を「1回10円」で使用させることは「通信業」である(宗教活動に含まれない) 
・   Ⓙ 宗教活動・宗教団体の維持運営・宗教施設の修繕などの基金とするため行う宗教活動としてのバザーは「物品販売業」である(宗教活動に含まれない)
・   Ⓚ 宗教活動の一環として行う給食活動は「公益事業」である(宗教活動でない)
・   Ⓛ 給食活動を共同して行うNPOの釜・食器を無償で保管するのは「公益事業」である(宗教活動でない)
・   Ⓜ︎ 神社の宗教活動のために使用する町内会所有の神輿を無償で保管するのは「公益事業」である(宗教活動でない)
・   Ⓝ 宗教活動の一環として、地域住民や災害被災者のための水・食料・衣類などを備蓄するのは「公益事業」である(宗教活動でない)
・   Ⓞ 専ら信者のための水・食料・衣類などを備蓄するのは「宗教活動」である
・   ⓟ 宗教法人が境内地にソーラーパネルを設置し、自家用電源とするのは可能だが、営業電力線と接続し、余電の自動売電がされる状態であれば、実際に売電されたか否か、売電収支の有無、売電収支が赤字であっても、「発電業」である(宗教活動に含まれない)
・   Ⓠ 宗教の布教宣教のためのラジオ放送・テレビジョン放送は「放送業」である(宗教活動に含まれない)
・   Ⓡ 宗教活動の一環として行うボーイスカウトガールスカウト活動は「公益事業」である(宗教活動に含まれない
・   Ⓢ 宗教活動を行うのは教師に限り、教師でない信者が行う活動は宗教活動でない
・   Ⓣ 境内地に電力会社の電柱を立てさせることは、宗教活動とは無関係であるから、宗教活動に含まれない 
・   Ⓤ 信者・来参者のための軽食・飲料を提供するのは、有償であれば「飲食店業」であり、無償であれば「公益事業」である(宗教活動に含まれない)
・   Ⓥ 地域住民との関係を良好にするために、宗教行事のない日に、駐車場を地域住民に使用させることは、有償であれば「駐車場業」であり、無償であれば「公益事業」である(宗教活動に含まれない)
・   Ⓦ 境内地の余地に、町内会の用品を置かせるのは「公益事業」である(宗教活動に含まれない)
・   Ⓧ 受験などのために上京した、地方在住の信者や信者の子女を境内建物に一時止宿させるのは、宗教活動への参加があっても、「旅館業」である(宗教活動に含まれない)
・   Ⓨ 進学などのため地方から上京した信者・信者の子女を境内建物内に住まわせるのは、宗教活動への参加があっても、「不動産貸付業」である(宗教活動に含まれない)
・   Ⓩ 宗教活動の一環として行う学習塾ホームスクールは「教育関連業」である(宗教活動に含まれない) 

 ・

Ⅵ 宗教のアナログとデジタル

  1 宗教のアナログとデジタル

     ⑴ デジタル教義のアナログ理解

・ 宗教の教義・神仏の教理は、本来、デジタル的なものですが、人間は、それをアナログ的に理解し、説明してきました。

     ⑵ 人間の理解の限界

・ 永遠の神仏を、時空下にある人間が理解するには、修行、悟り、体感など、アナログ的な方法によらざるをえません。

     ⑶ 適切なアナログ

・ 人間の苦悩、心情、心理、感情などを理解し、愛、心、信、救いなどのメッセージは、アナログが適しています。

  2 宗教のデジタル展開

     ⑴ アナログ軽視の現代

・ 現代社会は、是非は別にして、アナログ的なものを軽視し、デジタル的なものを評価する傾向があります。

     ⑵ 宗教軽視の現代

・ それが、アナログ的に解された宗教を軽視・否定し、神仏を否定し、人間性を喪失した機械的な思考形態を生み出し、苦悩と疲労に満ち、解決策を失った、辛い人生観を生み出しています。

     ⑶ 教義のデジタル化

・ デジタル的な思考に深まった現代人に宗教を展開するには、宗教の教義・教理をデジタル的に説明し、修行・信仰・救拯などをデジタル感覚化する必要があります。

  3 宗教活動のデジタル展開

     ⑴ 宗教活動のデジタル化

・ 現代社会のニーズに応じて、宗教活動のデジタル展開も進んでいます。

     ⑵ 宗教活動と宗教

・ ただし、あくまでも「宗教活動」であって、「宗教」ではありません。
・ 「宗教活動」は、デジタル展開が可能ですが、「宗教」をデジタル化することはできません。

     ⑶ ウェブ宗教の可否

・ 宗教活動の一部は、ウェブで展開することも可能ですが、それは「宗教」そのものではありません。その点の認識と判断は欠かせません。

  4 架空のウェブ世界と現実世界の宗教

     ⑴ 仮想空間と現実世界

・ コンピュータによって作り出された世界は、「架空・仮想の世界」ですが、「宗教」は、現実の世界です。

     ⑵ 宗教と非宗教の区別

・ 「宗教」と「非宗教」との判断基準は、「仮想か、現実か」の区別です。

Ⅶ 21世紀の宗教

  1 宗教の危機・違法不法な業者

     ⑴ 過疎地・限界集落

・ 人口の高齢化や住民の減少により、伝統的な神社・寺院・教会などの存続が危ぶまれています。

     ⑵ 後継者難

・ あらゆる職種で後継者難が叫ばれていますが、宮司・住職・牧師など宗教専門職の後継者難も深刻です。

     ⑶ 業者の介入

・ 宮司・住職・牧師などの地位を売買し、宗教法人を売買する、違法不法な業者が介入してきます。

  2 宗教意識の希薄化・宗教の世俗化

     ⑴ 無神論の拡大

・ 神仏への畏れが薄れ、人間中心の考え方が広がっています。

     ⑵ 葬儀・埋葬

・ 人間を物と同視する唯物感が蔓延し、個人の葬儀や埋葬を否定する人が増えています。

     ⑶ 宗教の商業化

・ 宗教活動を商品とし、金銭で販売する業者が現れ、人間の心や信仰を欠いた、金銭取引の対象とされています。

  3 宗教の転換・新しい展開

     ⑴ 宗教の転換

① 伝統的な宗教活動や宗教団体の運営に見直しが迫られています。
② 社会思潮に流されるのではなく、宗教の本義を貫く、宗教の転換が必要とされています。

     ⑵ 新しい展開

① 今の時代に必要な宗教の展開が求められています。
② ただし、世俗化された社会に迎合し、信仰や心を捨てた経済活動に堕してはいけません。
③ あくまでも、神仏の御意や教義教理の本旨を貫く、宗教の本義を展開しなければなりません。

     ⑶ 当事務所では、

① 宗教団体の現在の状況を宗教の本旨に従って診断し、吟味検討します。
② 宗教団体の近未来を見越した、組織制度の改革案を提示します。
③ 宗教の本来の姿を再構築することについて、相談・助言・企画・協力します。

                       (中国・杭州の西湖)

Ⅷ 宗教と終末思想

  1 宗教の終末思想

    ⑴ 個人の終末論

      ① 人間の生と死

・  この世に生まれた人間は、例外なく、必ず、死にます。

      ② 個人の終末論

・ 古来、多く宗教者は、この事実を深刻に受け止め、神の啓示を受け、仏の悟りを得、難行苦行や深い修行を通して等々、人間の死および死後の問題を考えてきました。

      ③ 死および死後の教義

・ 多くの宗教において、人間の死および死後についての教理教義が整えられ、宗教の教えや行為・行動の重要な項目とされています。

      ④ 死および葬送の法と宗教

・ 人間の死および死後に関して、法律上の手続きや社会の儀礼などとして行われるもの(死の準備、葬送儀礼、墳墓、礼拝法要など)も、宗教を基礎としています。

    ⑵ 世界の終末論

      ① 世界の終末論

・ 多くの宗教では、世界や歴史には「始めがあり、終わりがある」とし、世界や歴史は終末に向かって動いていると考え、世界や社会には混乱困窮し、暗黒化の傾向があると考え、混乱の社会・困窮の人民・暗黒の世界における神仏の救済を求めるなどの教理教義を持っています。

      ② 永遠の神仏と有限の世界

・ 永遠無限の神仏や聖なる世界に対して、有限の時空下にある人間の世界・この世・現世との対比から、現世の問題点を直視し、それに対応して生活し、聖なる世界を目指す、重要な宗教活動となっています。

      ③ 不可視な問題の可視

・ 現世の諸問題は、現世内的には不可視でも、超現世的には可視となると考えられ、諸問題の解決や有用有益な行動指針の展開をもたらしています

    ⑶ 末法思想

      ① 末法の時代

・ 多くの宗教においては、神仏から齎され、聖者・尊者・預言者らによって開示され、宗教の実践を通して形成された宗教の教え(「法」)も、時代の経過とともに人心から忘れられ、衰退し、世界の混乱・困窮・悪化・暗黒化を招いてしまうと考えられています。

      ② 末法の時代の宗教対応

・ 末法の時代には、人々の愛が冷え、利己心がはびこり、他人を害して自己を利し、敵対心が大きくなり、平然と他者加害が行われ、人々の道徳心が低下し、倫理は崩れ、社会の秩序は乱れ、闘争・紛争・戦争が勃発し、犯罪や非道が蔓延化すると考えられ、宗教的対応が求めらます。

  2 宗教者と非宗教者

    ⑴ 宗教者

      ① 宗教者とは

・ 宗教者とは、世界・自然を超える、永遠の存在(神)を信じる者です。
・ 自然を超える超自然の世界(天国・天界)を信じます。

      ② 世界の始めと終わり

・ 「世界は神に創造され、神に統治されている」と信じます。
・ 「世界は無から始まり、無に帰する」と信じます。
・ 「世界は有限」「天界は永遠」と信じます。

    ⑵ 非宗教者

      ① 非宗教者とは

・ 非宗教者(無宗教者)とは、「神はいない」と信じる者です。
・ 非宗教者は、物質の世界で物事を考えます(唯物論)。

      ② 世界の始めと終わり

・ 「存在する物には、始まりがあり、終わりがある」と考えます。
・ ただし、「無から生じ、無に帰する」のではなく、「他からある物に変質し、他に変質する」のです。
・ とはいえ、我々の目には、「存在する物は、衰退し、消滅する」と信じるはずです。 

      ③ 世界には終わりがある

・ 非宗教者も、「世界の終わり」を信じます。

  3 「私は今日、林檎の木を植える」

    ⑴ 宗教改革者ルター

      ① 宗教者の問い

・ 「もし、明日が世界の終末だとしたら、あなたは今日、何をするか?」

      ② ルターの答え

・ それに対して、宗教改革者マルチン・ルターは次のように答えています。
・ 「私は今日、リンゴの木を植える

    ⑵ 「今日、リンゴの木を植える」意味

      ① 意味のない行動

・ 「明日」が世界の終りだとしたら、「今日」リンゴの木を植える意味はありません。

      ② 日本人なら

・ 明日が世界の終わりだとしたら、日本人のあなたは、今日、何をしますか?
・ 日本人の精神構造からは、次のような対応が想起されそうです。
・ 「入浴して身体を清め、神仏に祈りながら、心を鎮めて、その時を待つ」

      ③ ルターの示す対応

・ 仮に、「明日が終末」であるとしても、動揺することなく、あたかも終末は来ないかのように、いつものように平然と行動することを意味しています。

    ⑶ 「終末的現代」として生きる

      ① 心身を正す

・ そのためには、常日頃、「明日が終末だとしたら」と意識しながら、心身を正して生きることが必要です。

      ② 求められる日常の生活

・ 「世界の終末」は日時を予告されては到来しませんから、常日頃の生き方が重要です。

      ③ 宗教者の生き方

・ 宗教者には、「明日が世界の終末」と考えて、自己の心身を正し、自己の役割を果たし、自己の責任を全うして、「今日の生活」を送ることが求められています。

  4 聖書の終末論

    ⑴ 「世界の終末」とは

      ① 「世界」とは

・ 「世界(現世)」は、「時間と空間の世界」です。 
・ 「空間の世界」には、「空間の限界」があります。 
・ 「時間の世界」には、「時間の限界」があります。 
・ 言うまでもありませんが、この世は「有限の世界」です。

      ② 時空の限界

・ すべての物質は、空間の中で存在し、空間を占めることが存在です。 
・ 有限の世界ですから、宇宙にも限界があり、無限ではありません。 
・ すべての物質は、時間の中で存在し、時間を占めることが存在です。
・ 有限の世界ですから、地球にも、宇宙にも、すべての物質に終末があります。

      ③ 聖書の創造論

・ 聖書は、神の「天地の創造」から始まります。 
・ 「天地の創造」とは「無からの創造(creatio ex nihilo)」です。
・ 天地を創造した神は、当然に「超時空の存在」です。
・ 超時空の神を「神の永遠」「永遠の神」といいます。
・ 創造された物・被造物は、当然に「有限の存在」です。
・ 人間にも、生物にも、地球にも、宇宙にも、「終わりの時」が来ます。 

    ⑵ 世界の終末

      ① 前兆現象

・ 聖書は、世界の終末の前兆現象として、人々の愛が冷え親子親族の争いが増え、民族の対立国家の敵対が多発し、戦争の危機が現れるとしています。 
・ また、世界的な飢饉が生じ、大地震が起こり、疫病が蔓延し、恐怖・激変が発生するとも言っています。

      ② 愛が冷える

・ 10年ほど前から、方向指示器(ウインカー)を早めに出さない運転者(ドライバー)が増えているように思えます。 
・ 右折や左折などの際には、方向指示器で合図するのは法律上の義務(道路交通法53条)ですが、それ以上に、後続車や対向車などに、あらかじめ自車の動向を知らせて、安全で快適な運転ができるようにするためです。  
・ それは、運転者の他車に対する「愛の行為」といえますが、最近は、全く方向指示をしないで車線を変更したり、交差点の中に入ってから方向指示するような車が増えていて、心配です。 
・ 他者に対する配慮が欠如し、愛が冷えてきたからではないかと思われるからです。 
・ 感染症の蔓延が心配される中、他人との接触がある道路や電車内や施設内などでマスクを着用しないとか、大声で話すとか、なども同様でしょう。 

・ 

Ⅸ 新型感染症と宗教活動

  1 感染症と「信教の自由」

    ⑴ 事前の感染症対応策

㋑ 宗教団体は、信教の自由を確保するために、あらゆる事態にあらかじめ備えている必要があります。

㋺ 事前対策の有無が、非常事態・緊急事態における対応を決定づけます。

㋩ あらかじめ「感染症対策」を決定し、「感染症規程」として明文化しておくことが重要です。

    ⑵ 情報収集と事態予測

㋑ 感染症の兆候がみられた際には、感染症規定に従い、担当者・担当部局が、静観するのではなく、可能な限りの情報収集に努めます。

㋺ 十分でなくても、早期に情報収集に努めた団体は、対応が早く、対応が正鵠を得ています。

㋩ 宗教団体は、「信教の自由」という観点から、政府や行政機関の発表や対応に注視しながらも、政府や行政機関の指示を待ってそれに従うのではなく、宗教的観点から一歩先を見通し、世に先んじた対応が求められます。

    ⑶ 宗教活動ガイダンス

㋑ 宗教団体は、下部団体や下部機関、聖職者や信者のために、宗教活動に関するガイダンスを、早期に発信することが重要です。

㋺ 宗教団体は、収益や地位安泰を求めるのではなく、もっぱら宗教的目的のために存在します。目先の利益や損得ではなく、本質的な判断ができます。

㋩ 宗教活動ガイダンスは、「世の一歩先」に立ちますから、ハズレや誤りがあることは想定内です。ハズレや誤りがあれば、直ちに修正すれば良い。「後追い」の方策よりは格段に優れています。宗教者にしかできない判断です。

  2 感染期の宗教活動

    ⑴ 三密回避 

   ① 「三密」を回避する

・      感染症の感染防止・感染拡大防止には、三密の回避が必要です。
・      「密集」「密閉」「密接」を回避した宗教活動が求められます。

   ② 「密集」を回避する

・      礼拝など、人が集る宗教活動では、人と人との間隔が必要です。
・      前後左右、それぞれ2m以上の間隔をとることが必要です。

   ③ 「密閉」を回避する  

・      礼拝、祈祷、会合など、屋内での宗教活動では開放が必要です。
・      窓・扉を開放し、閉鎖空間にならないようにすることです。

   ④ 「密接」を回避する 

・      個別祈祷、カウンセリングなどでは、注意が必要です。
・      握手、抱擁、接吻、按手、密接会話など、注意が不可欠です

   ⑤ 「飛沫」を防止する    

・      礼拝、祈祷、講演などでは、主宰者などの飛沫防止が必要です。
・      祭壇、講壇、法座などと会衆席とをアクリル板で遮蔽します。
・      必要に応じて、マスク、フェイスシールド、ゴーグルなど着用します。
・      信者、会衆、参列者などに、マスク着用を求めます。

    ⑵ 三密加持

   ① 「三密」で加持する

・      身・口・意の三密をもって加持・祈祷・礼拝します。
・      (身密=行動・行状、口密=言葉・発言、意密=思考・内心の思い)

   ② 三密回避と三密加持

・      感染症防止には三密回避が必要ですが、三密加持は不可欠です。
・      三密回避をしながらも、宗教活動に必要な三密を欠かせません。

   ③ 三密回避のもとで三密加持する

・      三密回避をして三密加持をするためには、従前通りでは不可能です。
・      宗教の教義、歴史、伝統、慣習などに照らし十分な検討が必要です。
・      必要な行事、儀式、行動、行為、行状など欠かすことなく行います。
・      口から出る言葉、発言、発声、声明、歌唱など、方法を講じます。
・      言うまでもなく、内心の思い、考え、思考は最も重要です。
・      神饌拝受、聖体拝領、聖餐式、共会食など、新しい方法が必要です。
・      賽銭・献金・布施の授受にも他人の手を触れない方式が必要です。

    ⑶ 宗教活動の新しい試み

   ① 宗教活動の場

・㋑ 野外の自然空間、屋外の施設、開放的な空間の施設などを選びます。 
・㋺ 屋内の施設には、大きな窓、多数の窓、天窓、開放天井などを設置します。 
・㋩ 宗教活動の場は、窓・扉を開放し、外気の流通を良くした環境とします。
・㋥ 祭壇、講壇、聖壇などと会衆席との間は、アクリル板などで区画します。
・㋭ 神職、僧侶、聖職者、教職者、奉仕者などの相互の間隔を広くとります。
・㋬ 会衆席の各々の席には、前後左右2メートル以上の間隔を設けます。 
・㋣ 神の世界である自然との交流を図りながら、宗教活動を行います。

   ② 宗教活動の方法

・㋑ 宗教職は、マスク、フェイスシールド、マウスシールドなどを着用します。
・㋺ 祭具、法具、聖具、聖典などは、宗教活動の都度、アルコール消毒します。
・㋩ 宗教職は、宗教活動の前後にアルコール消毒し、手袋を着用します。
・㋥ 上記の備えをして、宗教職の按手、触手、握手、抱擁などを行います。
・㋭ 宗教職による接吻は、間接的な方法に転じます。
・㋬ 会衆による大声での発声、唱和、歌唱などは、他の方法に転じます。
・㋣ 会衆による激しい動作、舞踊などは、他の方法に転じます。
・㋠ 会衆による唱和、歌唱などは、マスクを着用し、低い声で行います。
・㋷ 神饌下付、聖祭、聖餐、共食、会食などは、個別に分けられた物を用います。
・㋦ 賽銭、布施、献金などは、会衆回付の奉献籠や収納袋などを用いません。
・㋸ 西線、布施、献金などは、会衆の間を回る奉献や収納などを行いません。
・㋾ 経典、経木、聖鈴、祈祷書、聖書、賛美歌などは共用をしません。
・㋻ 会衆の奉納した物品を宗教職が手で直接受領しません。
・㋕ 長時間の活動はしません。                       

   ③ リモートの宗教活動

・㋑ インターネットを利用した宗教活動を積極的に行います。     
・㋺ 心を通じた宗教活動によって、面対の宗教活動の効果を齎します。
・㋩ 高齢者、病弱者、負傷者、病伏者などの宗教活動を可能にします。
・㋥ 社会環境、職場環境、勤務態様、修学体制などの変化に対応します。
・㋭ 新しい信仰者や関心者への宗教活動を可能にします。          

    ⑷ 社会的に展開する宗教活動の方策


・  
・            

  3 終息後の宗教活動

    ⑴ 宗教活動の新しい体制

    ⑵ 信仰教理に基づく構築

    ⑶ 新しい宗教活動の敷衍   

・  

 

 

 

11 講演録『新型コロナウイルス感染症対策 持続化給付金と信教の自由』の発行

1) 2021年3月25日、大本山相国寺教化活動委員会と京都仏教会宗教と社会研究実践センター(編集:中外日報社)から、講演録『新型コロナウイルス感染症対策 持続化給付金と信教の自由』が発行されました。
2) 所収の講演録は次のとおりです。     
・ ① 「信教・学問の危機と分断支配」     
・             田中滋・龍谷大学名誉教授
・ ② 「新型コロナウイルス感染症渦中対応および事後対策と『信教の自由』」 

・             櫻井圀郎・宗教法および宗教経営研究所所長教授
・ ③ 「政府の新型コロナウイルス感染症対策持続化給付金問題と憲法」
・             洗建・駒沢大学名誉教授
・ ④ 「持続化給付金と宗教をめぐる憲法上の課題」     
・             桐ヶ谷章・創価大学名誉教授     
・ ⑤ 資料      

10 講義録『キャッシュレス社会と宗教』の発行

1) 2020年11月1日、相国寺教化活動委員会から、研修会講義録『キャッシュレス社会と宗教』が発行されました。     
2) 所収講義録は次のとおりです、       
・ ① 「テクノロジーがもたらす『幸福な監視国家』」     
・             梶谷懐・神戸大学教授
・ ② 「中国社会と『公共性』について」       
・             梶谷懐・神戸大学教授
・ ③ 「すべてがデジタル化する国・中国、社会と宗教はどう変わりつつあるのか?」     
・             高口康太・ジャーナリスト  
・ ④ 「私たちはどこまで『監視』を受け入れるべきか」     
・             高口康太・ジャーナリスト    

9 宗教団体の持続化計画・持続化規程

1) 新型コロナウイルス感染症の影響が深刻さを増す中、宗教団体においては、きちんとした「持続化計画」を立て、「持続化規程」を設けることが必要です。
2) 新型コロナウイルス感染症対策として中小企業庁が行っている「持続化給付金」の支給も、持続化計画・持続化規程があってこそ「事業の継続を支え」「再起の糧となる」ものです。単なる「ばらまき」ではありません。
3) 東京都宗教連盟では、宗教法人実務研修会として、2020年10月8日、「感染症リスクと持続化規程」(講師:櫻井圀郎)、2020年12月4日、「持続化規程としての感染症防止規程」(講師:櫻井圀郎) を開講しました。

8 論文集『キャッシュレス社会と宗教活動』の発行

1) 2020年6月20日、一般財団法人京都仏教会から、論文集『キャッシュレス社会と宗教活動』が発行されました。
2) 所収論文は次のとおりです。
・  ① 宗教学の立場から
・    「宗教法人に及ぶキャッシュレス決済の問題」
・              洗建・駒沢大学名誉教授 
・  ② 税法学の立場から
・    「宗教法人非課税の根拠とキャッシュレス」
・              田中治・同志社大学教授 
・  ③ 宗教法学の立場から
・    「キャッシュレス化社会における宗教活動と宗教団体の責任」
・              櫻井圀郎・宗教法および宗教経営研究所所長教授 
・  ④ 宗教経営学の立場から
・    「社会の変動に対する宗教の在り方〜宗教経営学の観点から〜」
・              柏崎久雄・宗教法および宗教経営研究所教授  
・  ⑤ 資料 

7 新型コロナウイルス感染症と「宗教活動」

1) 「緊急事態宣言」に伴い、外出や集会の自粛や施設使用停止の要請などが出されたりしていますが、宗教団体としては、営利企業とは異なり、「信教の自由」の観点から、独自の判断をすることが必要です。
2) 宗教団体としては、それぞれの「宗教の教義・教理」や「宗教団体の歴史・伝統」などに基づいて判断する必要があります。教義・教理等に反する決定は宗教団体としては致命的だからです。
3) 宗教的判断は、独善的なものではなく、科学的・医学的知見を適切に踏まえ、社会環境社会情勢を正しく把握した上で、宗教団体への期待に十分な対応をし、教義等に立脚して、適切に行う必要があります。
4) 宗教団体には、信者および衆生一般の信仰を涵養し、神仏への礼拝・崇敬・奉仕・祈祷などを充足し、社会的不安に対する平安安心を提供することが求められます。
5) 地理的環境や施設設備などの点から、集会の中止や施設の閉鎖が止むをえない場合には、インターネットによる礼拝テレビ会議による集会電話による祈祷ファックスによる祈祷・祝福・説教郵便・宅配便による供物・献金・神饌・下付など、複数の他の適切な方法・機会などを提供する必要があります。
6) 地理的環境や施設設備などの点から、一般社会より安全で安心な宗教団体の場合はもちろん、感染の防止および感染拡大の防止に対応できる場合には、宗教活動が可能ですし、積極的な宗教活動も求められます。ただし、副次的に感染や感染拡大などに繋がらないような、特別の配慮も必要です。
7) 社会に困難がある場合、宗教団体は黙止するのではなく、衆生救済弱者への思いやり助け合いなどのために、信者や衆生一般の孤立化を防ぎ、共に神仏に繋がり、信者・聖職者などが連帯できる、電話、郵便、インターネットなど「通信による宗教活動」も期待されます。

6 新型コロナウイルス感染症「緊急事態宣言」と「信教の自由」

1) 「新型コロナウイルス感染症」は、2年間限定で、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の対象とされました。
2) この特措法による「政府対策本部」等が設置され、「緊急事態宣言」が発せられました。
3) 現在、都道府県知事による「外出・集会・移動などの自粛要請」や「施設の使用停止(休業)要請」などが出されています。
4) 現在、東京都では、「神社」「寺院」「教会」は「施設使用停止要請の対象外」とされています。
5) 政府・行政の命令などではなくても、宗教団体内部や宗教団体連合体の指示などやメディア・SNSなどによる事実上の強制も心配されます。
6) 宗教者・宗教団体は、宗教の教義・教理を根本に据え、宗教の歴史・伝統を省察し、信仰・信念をもって、自己の行動を決する必要があります。
7) 宗教者・宗教団体は、政府・行政、メディアなど社会の動静に左右されることなく、確固たる信念と責任をもって、決断し、対処することが求められています。
8) 信仰者は、一人一人が、自己の自由意思によって行動することが求められます。それこそ「信教の自由」です。
9) 同時に、宗教団体には、感染症の感染拡大の防止や信者・関係者・衆生・社会一般の罹患防止の観点から、是々非々を判断することが求められています。
10) 「衆生救済」「福音伝道」「慈悲慈愛」「自利利他」などの宗教実践が求められ、「真の宗教価値」が試される場面でもあります。
11) 「公共の福祉」との衡平を図る観点も試されます。「宗教者の社会的責任」が発露される場面でもあります。

5 宗教活動の新型コロナウイルス感染症対策

⑴ 新型コロナウイルス感染症の感染等防止のため、各宗教団体では、諸種対策をこうじているところですが、参考までに、小職所属の宗教団体の指針を例示します。

新型コロナウイルス感染症流行への対応指針

4 小冊子『中国の宗教法令』の発行

⑴ 2020年4月1日、宗教法および宗教経営研究所では、宗教法および宗教経営に関する研究の目的で、中国の「宗教事務条例」および「宗教団体管理弁法」を試訳・編集し、出版しました。
⑵ 頒価1,000円+消費税100円にて、頒布しています。
⑶ ご希望の方は、このホームページの「お問い合わせ」フォームからお申し出ください。
⑷ 郵送料は、1冊210円、2〜20冊370円です。

3 「令和」の宗教的意味

⑴ 「令」の字は、「亼」と「卩」とから成っています。
⑵ 「」とは、「 人の集まり」「人を集める」「人の集まる場所」を意味し、「」とは、「 人が膝を折ってひざまづく」「人が祈る」「祈り」を意味しています。
⑶ したがって、「」とは、「 人が集まって祈ること」や「人が集まって祈る場所」を意味します。
⑷ また、「」の字は、「 人の声に応じて合わせる」「心を合わせて和らぐ」を意味しますから、「令和」とは、「 人が集まって祈り、心を合わせて和らぐこと」を意味することになります。
⑸ その意味では、「宗教の時代」を意味しているようです。
⑹ 『角川漢和中辞典』を参考にしました。

2 『信教の自由と宗制・宗規』

2019年7月1日、大本山相国寺と京都仏教会の共同により、「国法と宗教法人の自治規範との対立・調整に関する研究」に関する研究会の記録が、『信教の自由と宗制・宗規』として、出版されました。

1 「国法と宗教法人の自治規範との対立・調整に関する研究」の問題点

 ⑴ 「日本には教会法がない」?

本研究は、「諸外国にある教会法が日本にはない」ということを前提としていますが、全く根拠のない「大嘘」です。
当然のことながら、諸外国と同様、日本においても、「教会法」は厳然として機能しています。
カトリック教会においては、諸外国と全く同一の、教皇令による「(カトリック)教会法」が適用されており、研究教育がされています。
プロテスタント諸教会においては、「教会法」「教会憲法」「教憲教規」「教会規程」「政治基準」など、教派教団により呼称は種々ですが、制定・適用され、研究教育され、信徒・役員・教職者の研修対象とされています。

  ⑵ 一例として、日本長老教会の場合

プロテスタント教会の一例として、小職の所属する日本長老教会の実例をあげます。
「日本長老教会法」は次のように分類されています。
神定法(広義の教会法)
旧新両約聖書
ウェストミンスター信仰規準(信仰告白、大教理問答、小教理問答)
三原則(改革主義、長老政治、独立自治)
人定法(狭義の教会法)
憲 法  政治基準  憲法総則
憲法各則
憲法細則
訓練規定
礼拝指針
大会法(憲法以外の大会法) 規準
中会法  規程
小会法
教会法は、教理・信仰、入信・洗礼・信徒指導、教会形成、教会運営、教師・牧師制度、長老・執事制度、信徒制度、伝道・牧会・教育など、一切の活動の基礎となり、規範となります。
教会法は、神学の一分野として、大学神学部・神学校で講義されており、教職者の資格審査の要件となり、長老任命の要件となり、信徒教育の一つとなっています。

 ⑶ 「日本には教会法がない」とする根拠

なんと驚くことに、「日本に教会法がない」という根拠は、「諸外国では一般の本屋さんで売られている『教会法』という本が日本の本屋さんにはない」という一事なのです。
全く研究者の資質に欠けますし、それを許可した学術振興会の審査そのものに疑念が持たれます。
例えば、日本長老教会内では『日本長老教会法』という本が頒布されています(他の諸教団においても同様)が、一般の出版物として販売することはどの出版社にも引き受けられていません。
カトリック・プロテスタント合わせて1%の基督教であり、世界では20万(日本でも150以上)にも別れているプロテスタントでは、経営的に見合わないからです。

 ⑷ 教会法は神学の分野である

全く誤解されていますが、教会法は、公開された規則ではありません。
あくまでも、信仰の対象である神仏の意思に従い、神仏の意思を行うために定められたものであり、世俗の諸団体のように、「人」が定めたものではなく、あくまでも「神仏」の意思の具現化なのです。
当然ながら、基督教では神学の分野ですが、他の諸宗教においても同様に教学上の問題であるはずです。
法律の解釈は万人誰でも可能であるとはいえ、法律学の素養を積んだ者に許されるのと同様に、聖書や経典を含め教会法もだれでの解釈可能ですが、神学や各宗教の教学を履修もしていない者に許されるものではありません。

 ⑸ 国法と対立するのが当然な教会法

あえて逆らうわけではありませんが、教会法は、国法と対立することを厭いません。
宗教は国家の統治下にあるわけではなく、教会法は国法の下にあるわけではないからです。
とりわけ、日本伝来から近年まで、厳しい拷問や残虐な処刑など言語を絶する弾圧を受けてきた基督教においては、「国法との調整」などなどありえないことです。
日本の宗教のほとんどは、国家や時の政権による差別や弾圧・没収、宗教統制などを経験してきましたから、「国法との調整」に承服できないのは当然です。

 ⑹ 「宗教法人の自治規範」とは?

関係者の話を聞くと、当初、日本宗教連盟に本研究の協力要請があった際、「『宗教法人の自治規範』とは所轄庁に提出している規則のこと」との認識があり、「宗教法人の協力が得られなかったとしても、所轄庁が保有しているもので研究ができる」という含みがあったようです。

                              (エジプト・壁画)