宗教法人とは?

教会

宗教法人の正しい知識・誤っている情報

「宗教法人」に関しては、誤った情報が多数流れています。注意が必要です。

1 「宗教法人」は、他の法人とは、性格が異なります。

  ⑴ 一般社団法人、株式会社、学校法人、医療法人、社会福祉法人など「一般法人」とは異なります。
  ⑵ 一般法人は、事業を行うことが目的ですが、宗教法人が異なります。
  ⑶ 「宗教法人は宗教活動を行う法人」というのは、誤解です。

2 「宗教法人」は「宗教活動」を目的とした法人ではありません。

  ⑴ 「宗教活動」とは、「宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を強化育成する」ことをいいます。、
  ⑵ 一般法人の場合には、
    ① 「学校法人」は、「私立学校の設置」が目的であり、学校を設置し、学校教育を行います。
    ② 「医療法人」は、「病院等の開設」が目的であり、病院等を開設し、診療を行います。
    ③ 「社会福祉法人」は、「社会福祉事業」が目的ですから、社会福祉施設を設置し、その事業を行います。
    ④ 「一般社団法人」「株式会社」は、定款で定めた目的のために同様のことを行います。
  ⑶ しかし、「宗教法人」は、宗教活動を行いません。宗教活動を行うことができません。

3 「宗教法人の目的」は「宗教団体」の「財務管理」

  ⑴ 「宗教法人の目的」は、「宗教団体」の「財務管理」など「世俗の事務」を行うことです。
  ⑵ 「宗教団体」とは、
      「宗教活動」を行うことが目的の神社・寺院・教会などや教派・宗派・教団などをいいます。

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4 「宗教法人の役員」は、一般法人の役員とは性格が異なります。

  ⑴ 「宗教法人の役員」は、「代表役員」と「責任役員」です。
    ① 「代表役員」は、一般法人の「代表理事」や株式会社の「代表取締役」に相当します。
    ② 「責任役員」は、一般法人の「理事」や株式会社の「取締役」に相当します。
  ⑵ 一般法人の代表理事や株式会社の代表取締役は、法人を代表し、法人の事務を総理します。
         文字通りに「法人の最高責任者」です。
  ⑶ 宗教法人の代表役員は、法人を代表し、法人の事務を総理しますが、
       あくまでも「世俗の事務」に関するのみで、「宗教上の権限」はありません。

5 「宗教法人の代表役員*」は「宗教団体の宗教主宰者**」の下位***

   * 「代表役員」は、財務など世俗の事務の最高責任者ですが、宗教上の権限はありません。

   ** 「宗教主宰者」とは、
      「神社の宮司」「寺院の住職」「教会の牧師」「神主」「司祭」「教会長」などや
      「教派・宗派・教団」などの「教祖」「統理」「総裁」「管長」「議長」などをいいます。

   *** 「代表役員」は、責任役員の決定により、財務などの世俗の事務を総理します。
      具体的には、宗教主宰者の命ずる所により、財務などの世俗の事務を行うのみです。
      多くの宗教法人では、代表役員・責任役員の任免権は、宗教団体や宗教主宰者にあります。

6 「代表役員」に「宗教主宰者*」「宗教職**」「信者」の任免権・監督権はない***。

   * 「宮司」「住職」牧師」など、宗教団体の宗教活動を主宰する者をいいます。

   ** 「宗教職」とは、
      「宗教主宰者」のほか、
      「禰宜」「副住職」「副牧師」「伝道師」「助祭」「宣教師」など、
      「神職」「僧侶」「教師」など、宗教団体の宗教活動を担う専門職をいいます。

   *** 「代表役員」には、宗教上の権限はありません。
       代表役員は、宗教主宰者に任免され、指揮監督される立場にあります。
       代表役員には、宗教職・信者を任免し、指揮監督する権限はありません。

7 「宗教活動による不法行為」は「宗教法人の責任」ではない*。

    * 「代表役員」の職務上の不法行為は、当然、宗教法人の責任となります。
      しかし、宗教活動は代表役員の職務外なので、
         「宗教活動による不法行為」は、宗教法人の責任外となります。
      また、代表役員には、宗教主宰者・宗教職・信者の監督権はありませんから、
        「宗教活動による不法行為」についての使用者責任もありません。

8 「宗教活動*による不法行為」は「宗教団体」「宗教主宰者」の責任でもない**。

   * 「宗教活動」は、宗教職・信者が各自の信仰に基づいて自主的に行うものです(信教の自由)。
      「宗教活動」は、宗教主宰者・上級宗教職・先輩信者の指揮命令で行うものではありません。
      「宗教団体」の機関決定に基づくとしても、信教の自由が保障される限り、個人の責任です。

   **  「宗教活動」は、「信教の自由」の保障下では、是であれ非であれ「個人の責任」です。

9 「信教の自由*のない宗教団体**」は「宗教団体ではない***」。

   *   「信教の自由」は、「宗教団体の存立基礎」です。

   ** 「信教の自由」を保障しない「宗教団体」は、「宗教団体」であることの自己否定です。

   ***  「宗教団体でない団体」を「宗教団体」を混同してはなりません。

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12 このホームページの「宗教と法」「宗教活動」「宗教団体」「宗教法人」のページをご参照ください。

   このホームページには、「宗教」に特化した諸局面についての記事を掲載しています。是非、ご覧ください!

13 参考文献

 櫻井圀郎「宗教法人法の構造とその問題点」『キリストと世界』(東京基督教大学)
 櫻井圀郎「教団運営の実態と宗教法人法の限界」『キリストと世界』(東京基督教大学)
 櫻井圀郎「宗教法人解散後の宗教活動」『キリストと世界』(東京基督教大学)
 櫻井圀郎「宗教法人法における宗教団体と宗教法人」『宗教法』(宗教法学会)
 櫻井圀郎「宗教団体の実態と宗教法人法の限界」『宗教法』(宗教法学会)
 櫻井圀郎「包括宗教団体の法律実務上の諸問題」『宗教法』(宗教法学会)
 櫻井圀郎『教会と宗教法人の法律』(キリスト新聞社)
 櫻井圀郎「宗教活動による不法行為と宗教法人の責任」『法政論集』(名古屋大学)
 櫻井圀郎「宗教活動に基づく不法行為と宗教法人の責任」『私法』(日本私法学会)
 櫻井圀郎「信教の自由と牧師の教会実践」『キリストと世界』(東京基督教大学)
 櫻井圀郎「宗教法人法制の検証と展開」『二十一世紀民事法学の挑戦』(信山社)

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14 「信教の自由」の観点からの「宗教法人の否定」から、
          「信教の自由」を基底に据えた「宗教法人の推進」へ

 ⑴ かつて、小職は、宗教法人制度を否定していました
    ① 「宗教団体が宗教法人になる」と誤解していたからです。
    ② 「宗教団体が宗教法人になる」なら「宗教法人が宗教団体」を支配することになるからです。
 ⑵ そうなれば、「法律」が「宗教の教義・教理」を否定することになります。
    ① 宗教法人の代表者である代表役員が、宗教団体を代表することになります。
    ② 宗教法人の意思決定機関である責任役員が、宗教団体の意思を決定することになります。
    ③ 宗教団体の宗教主宰者(宮司・住職・司祭・牧師など)が代表役員に使用されることになります。
    ④ 聖なる宗教活動が、世俗の代表役員・責任役員によって、指揮・管理されることになります。
 ⑶ それゆえ、宗教法人制度に反対し、宗教団体に宗教法人を導入しないよう勧めていました。
 ⑷ 転換点は、「宗教法人法の正しい理解」でした。
    ① 宗教法人法には、「聖俗分離の原則」が徹底していることを理解したからです。
    ② 宗教法人制度は、「信教の自由」を守る制度であると理解したからです。
    ③ それは、「宗教団体と宗教法人」という宗教法人法独特の構造でした。
 ⑸ したがって、「信教の自由」を害するから「宗教法人に反対」という立場から、
    「信教の自由」を徹底するから「宗教法人を推奨」という立場に変じました。