財務会計

財務会計

[目次]

     [宗教法人の書類帳簿][宗教法人の会計と簿記][宗教法人と諸税]
     [宗教専門職の保障制度][宗教法人・宗教関連企業のファイナンス]
     [宗教施設の管理会社]

 

Ⅰ 宗教法人の書類帳簿

 1 書類帳簿の備置き

  ⑴ 備置き義務

     宗教法人の事務所には、常に、一定の書類帳簿を備え置かなければなりません。

  ⑵ 備置き書類等 

    ① 宗教法人の「規則」
    ② 宗教法人の「規則の認証書」
    ③ 「役員名簿」
    ④ 「財産目録」
    ⑤ 「収支計算書」
    ⑥ 「貸借対照表」(作成している場合)
    ⑦ 「境内建物に関する書類」(財産目録に掲載されていないもの)
    ⑧ 責任役員の「議事録」
    ⑨ 責任役員の「事務処理簿」
    ⑩ 責任役員以外の機関の「議事録」(規則で定めれている場合)
    ⑪ 責任役員以外の機関の「事務処理簿」(規則で定められている場合)
    ⑫ 公益事業に関する書類(行っている場合) 
    ⑬ 収益事業に関する書類(行っている場合)

  ⑵ 「書類帳簿等」の意味

    ① 「宗教法人の規則」とは
      ⓐ 宗教法人法の規定により定め、所轄庁の認証を受けた「規則」をいいます。
      ⓑ 一般社団法人・一般財団法人・株式会社などの「定款」に相当する、法人の基本規約をいいます。
      ⓒ 設立時の最初の規則だけではなく、その後に変更した規則のすべてが必要です。。
    ② 「宗教法人の規則」には
      ⓐ 「宗教団体の各種の規則類」は含まれません。
      ⓑ 例えば、宗教団体の宗憲・教憲・憲章・憲法・教会法・信仰基準・宗制・宗規・教規・規程などです。 
      ⓒ 宗教団体の規則類は、宗教活動の基礎となるもので、公開・非公開は宗教団体の定めによります。
    ③ 宗教法人の規則の「認証書」とは
      ⓐ 「規則の認証」に際して、所轄庁(都道府県知事または文部科学大臣)から交付された公文書です。
      ⓑ 最初の「規則の認証書」だけではなく、その後の「規則変更の認証書」も必要です。。
      ⓒ 宗教法人の規則や規則の変更は、所轄庁の認証を受けて、有効になります。
    ④ 「役員名簿」とは
      ⓐ 当然のことながら、「宗教法人の役員」の名簿をいいます。
      ⓑ 「宗教法人の役員」とは、宗教法人法に定められた「責任役員および代表役員」をさします。
      ⓒ 「規則によって『役員』として定めた者」=「監事、評議員など」も含みます。
      ⓓ しかし、「宗教主宰者」「宗教上の職制にある者」や「宗教団体の役員」は含みません。
      ⓔ たとえば、総長・総裁・管長・議長・会長・宮司・住職・牧師・司祭・教会長などです。
    ⑤ 「財産目録」とは
      ⓐ 宗教法人法上、設立時と毎会計年度終了後3月以内に作成しなければならない「財産目録」をいいます。
      ⓑ 「財産台帳」のような書類ではありません。
    ⑥ 「収支計算書」とは
        「宗教法人法上、毎会計年度終了後3月以内に作成しなければならない「収支計算書」をいいます。
    ⑦ 「貸借対照表」とは
      ⓐ 「貸方」「借方」のバランスで表示された財務諸表の一つで「バランスシート」と呼ばれるものです。
      ⓑ 「資産」と「負債」の状態を表すために、「複式簿記」によって導き出されるものです。
      ⓒ 宗教法人に必須の書類とはされていませんが、作成している場合には、備置きの義務があります。
    ⑧ 「境内建物に関する書類」とは
      ⓐ 境内建物はすべて財産目録に掲載されているはずです。
      ⓑ 「財産目録に掲載されていない境内建物」とは、
          財産目録の作成後に取得・新築・増築などをした境内建物のことをいいます。
      ⓒ 法律上義務となっているのは「境内建物」だけですから、「境内地」は含まれません。
    ⑨ 「役員の議事録と事務処理簿等」とは
      ⓐ 宗教法人の事務は責任役員によって決定されますから、
         宗教法人の事務の決定とその処理を明確にするために、
         責任役員の議事に関する書類と事務処理簿等を備えることになっています。。
      ⓑ 「事務処理簿等」とは、責任役員の指揮書・命令書・受命書・報告書などをいいます。
      ⓒ 規則で定めている場合には、
         責任役員以外の機関の議事録と事務処理簿も備えなければなりません。
    ⑩ 「公益事業・収益事業に関する書類」とは
      ⓐ 宗教法人は「公益事業」を行うことができますが、
         公益事業を行うには、規則で定め、所轄庁の認証を受け、法人登記をしなければなりません。
      ⓑ 宗教法人は「収益事業(公益事業以外の事業)」を行うことができますが、
         収益事業を行うには、規則で定め、所轄庁の認証を受け、法人登記をしなければなりません。
      ⓒ 公益事業や収益事業を行う場合には、
         それらの事業に関する書類を備えなければなりません。
         事業の許認可書や、事業計画、事業施設、事業組織、事業商品、事業役務などに関する書類です。

 2 書類帳簿の閲覧

  ⑴ 非公開の書類帳簿

    ㋑ 宗教法人の書類帳簿は「公開」しているわけではありません。
    ㋺ 「信教の自由」の観点から、「宗教活動への不介入」の原則が働いています。
    ㋩ 公開によって、「宗教活動の自由」や「信者の信教の自由」が阻害されるおそれがあるからです。
    ㋥ それは「宗教活動の秘密」を意味しませんが、
       「宗教弾圧」の歴史を踏まえ、「信者の信教の秘密」は厳守される必要があります。

  ⑵ 書類帳簿の閲覧請求権

    ㋑ 閲覧請求権者
      ⓐ 信者その他の利害関係人は、非公開の書類帳簿の閲覧請求権を有します。
      ⓑ 報道機関、行政機関、研究機関やその関係者には閲覧請求権はありません。
      ⓒ 宗教法人が、独自に、閲覧請求権がない者にも閲覧を許可することはかまいません。
    ㋺ 閲覧の理由
      ⓐ 書類帳簿の閲覧ができるのは、「正当な理由」がある場合に限ります。
      ⓑ 閲覧請求に「正当な理由がない」場合には、「閲覧を拒否」できます。
    ㋩ 閲覧の目的
      ⓐ 書類帳簿の閲覧ができるのは、「不当な目的」によるものでないことが必要です。
      ⓑ 閲覧請求が「不当な目的」による場合には、当然に「閲覧を拒否」できます。
    ㋥ 閲覧させる義務
       宗教法人は、上記の条件を満たす者から請求があった場合には、書類帳簿の閲覧をさせなければなりません。

 3 帳簿等の写しの提出

  ⑴ 帳簿等の写しの提出義務

     宗教法人は、毎会計年度終了後4月以内に、下記の書類の写し(コピー)を、所轄庁に提出しなければなりません。

  ⑵ 写しの提出が必要な帳簿等

    ① 役員名簿
    ② 財産目録
    ③ 収支計算書
    ④ 貸借対照表(作成している場合のみ)
    ⑤ 財産目録に掲載されていない境内建物に関する書類
    ⑥ 公益事業・収益事業に関する書類

  ⑶ 所轄庁の義務

    ㋑ 所轄庁は、
      ⓐ 宗教法人の「宗教上の特性と慣習を尊重」し、
      ⓑ 「信教の自由」を妨げることがないように「特に留意」して、
      ⓒ 宗教法人から提出された書類等の写しを取り扱わなければなりません。。
    ㋺ 公文書の開示請求
      ⓐ 宗教法人の書類等の開示請求には、閲覧請求の原則が類推されるべきです。
      ⓑ 閲覧請求権のない者が開示請求できるのは、法の目的の逸脱に当たるからです。

Ⅱ 宗教法人の会計および簿記

 1 財産目録

 2 収支計算書

 3 貸借対照表・損益計算書

 4 複式簿記

 5 特別会計

 

Ⅲ 宗教法人と諸税

 1 法人税

  ⑴ 法人税の納税義務

    ① 「納税の原則
      ㋑ 国民は国家の主権者です(国民主権)から、
      ㋺ 税金は、強制的に課されるもの(課税)ではなく、
      ㋩ 自主的に納めるもの(納税)です。
      ㋥ 例外的に、課税される場合があります。 
    ② 法人税の納税義務
      ㋑ すべての「内国法人」には、法人税を納める義務があります。
      ㋺ 「内国法人」とは、日本国内に本店・主たる事務所のある法人をいいます。
      ㋩ 「宗教法人」も、内国法人の一つです。
    ③ 納税義務のない法人 
      ㋑ 「公益法人等」「人格のない社団等」には、法人税の納税義務がありません。
      ㋺ 「宗教法人」は「公益法人等」の一つです。
      ㋩ 法人でない神社・寺院・教会などの宗教団体は「人格のない社団等」です。
      ㋥ したがって、「宗教団体」も「宗教法人」も、法人税の納税対象外です。
    ④ 納税義務のある事業
      ㋑ しかし、「収益事業」を行う場合には、その部分に関しては納税義務が発生します。
      ㋺ 「収益事業」とは、
        ⓐ 販売業・製造業など政令で定める事業(特掲事業)で、
        ⓑ 事業場を設けて、
        ⓒ 継続的に営まれるものをいいます。
      ㋩ 収益事業とは、単に「収益がある事業」「収益を目的にする事業」という意味ではありません。
      ㋥ 「宗教活動」「公益事業」であっても、「収益事業」に当たるとされる場合もあります。

  ⑵ 「収益事業(特掲事業)」

    ㋑ 「収益事業(特掲事業)」とは、次の34の事業をいいます。
       ① 物品販売業
       ② 不動産販売業
       ③ 金銭貸付業
       ④ 物品貸付業
       ⑤ 不動産貸付業
       ⑥ 製造業
       ⑦ 通信業
       ⑧ 運送業
       ⑨ 倉庫業
       ⑩ 請負業
       ⑪ 印刷業
       ⑫ 出版業
       ⑬ 写真業
       ⑭ 席貸業
       ⑮ 旅館業
       ⑯ 料理店業その他の飲食店業
       ⑰ 周旋業
       ⑱ 代理業
       ⑲ 仲立業
       ⑳ 問屋業
       ㉑ 鉱業
       ㉒ 土石採取業
       ㉓ 浴場業
       ㉔ 理容業
       ㉕ 美容業
       ㉖ 興行業
       ㉗ 遊戯所業
       ㉘ 遊覧所業
       ㉙ 医療保健業
       ㉚ 教育関連業(技芸の教授、学力の教授、公開模擬学力試験など)
       ㉛ 駐車場業
       ㉜ 信用保証業
       ㉝ 無体財産権の提供等業
       ㉞ 労働者派遣業。
    ㋺ 非該当の事業
      ⓐ 多額の収益を得る事業であっても、34事業に該当しない限り、適用外です。
      ⓑ 34事業に該当しても、継続性のないもの(臨時的・一時的のもの)は、適用外です。
      ⓒ 34事業に該当しても、事業場を設けずに行っているものは、適用外です。 
    ㋩ 該当するとされる事業
      ⓐ 宗教法人法による収益事業の手続きを経ていなくても、該当するなら対象となります。
      ⓑ 宗教活動・公益事業が、収益事業とされる場合もあります。
      ⓒ 宗教活動の一部が収益事業に当たるとされることもあります。

  ⑶ 会計の区分

    収益事業に当たる部分の会計は、宗教法人の一般会計から区分して行わなければなりません。

 2 所得税

 3 固定資産税・都市計画税

 4 消費税・地方消費税

 5 印紙税・登録免許税

 6 関税

Ⅳ 宗教専門職の保障制度

 1 宗教専門職の負傷・疾病

  ⑴ 宗教専門職の職務上の負傷。
    例えば、①古い境内の施設建物などの破損などによる負傷。
        ②境内の施設建物などの保守修理中の事故。
        ③伝道布教・宗教活動に移動中の事故。
  ⑵ 宗教専門職の職務上の疾病。
    例えば、①面談した信者・求道者などから罹患。 
        ②訪問した家庭・病院・施設などでの罹患。
        ③視察した海外での罹患。 
  ⑶ 労働者の業務災害や通勤災害に相当する負傷・疾病です。
  ⑷ 宗教専門職には、精神的疾患に陥る可能性があります。
  ⑸ 宗教専門職のための負傷・疾病の保障制度が必要です。 

 2 宗教専門職の婚姻・育児・扶養・介護

  ⑴ 宗教専門職の婚姻・出産(または配偶者の出産)・離婚・養子縁組・離縁など。
  ⑵ 宗教専門職の子女の育児・教育・就学・進学・婚姻・負傷・疾病・入院・死亡など。
  ⑶ 宗教専門職の扶養家族の扶養・負傷・疾病・看護・介護・入院・死亡など。
  ⑷ 高額の出費が必要なことがあります。
  ⑸ 宗教専門職のための家族関係の保障制度が必要です。 

 3 宗教専門職の退職

  ⑴ 定年制のある宗教団体の宗教専門職の退職。
  ⑵ 宗教専門職の負傷・疾病・入院・施設入所などによる退職。
  ⑶ 宗教専門職の扶養家族の看護・介護・入院・施設入所などによる退職。
  ⑷ 宗教専門職およびその家族の諸事情による転居・移住などによる退職。
  ⑸ 宗教専門職の退職に伴う保障制度が求められます。  

 4 宗教専門職の死亡

  ⑴ 宗教専門職の職務上の事故・負傷・疾病に起因する死亡。
  ⑵ 宗教専門職の在職中の死亡。
  ⑶ 宗教専門職の死亡の場合の保障制度が必要です。  

 5 宗教専門職の遺族

  ⑴ 宗教専門職の突然の死亡による遺族のための保障制度は重要です。
  ⑵ 宗教専門職の被扶養者家族の宗教専門職の死亡後の生活・修学の保障制度は必要です。
  ⑶ 宗教専門職の遺族のための保障制度が必要です。  

 

Ⅳ 宗教法人・宗教関連企業のファイナンス

 1 資金の融通

 2 債務の保証

 3 財務の企画

 4 債券の発行

  ⑴ 「教会債」

    ① 基督教会で、教会堂の建設などに際して発行される、教会員からの金銭の借用証書です。
    ② 記名式で、裏書譲渡が可能な、有価証券です。
    ③ 有利子のものもあれば、無利子のものもあります。
    ④ その後の献金収入が増加しない限り、返済不能に陥る可能性があります。
    ⑤ 正確な収支予算・決算に基づいた、適正な財務計画による発行が必要です。
    ⑥ 返済不能に陥り、「献金」という「債権放棄」を求める弊害が問題となっています。

  ⑵ 「宗教債」

    ① 「神社債」「寺院債」など、宗教団体の収支計画の一つとしても考えられます。
    ② 基礎としての財務組織および財務規則を確立する必要があります。
    ③ 適正妥当な財務計画を立案できる体制を構築する必要があります。
    ④ きちんとした「債券約款」を作成し、公示する必要があります。
    ⑤ 種々の財務上および法律上の問題を考え、対応策を講じておく必要があります。 

 5 資産の運用

  ⑴ 資産の運用

  ⑵ 資産運用計画

Ⅴ 宗教施設の管理会社

 1 時代の変革と施設管理

  ⑴ 境内地・境内建物・宗教施設は、信者の布施・献金など浄財によるのが原則です。
  ⑵ 時代の要請による、耐震工事や近代設備、人々の必要に応じた設備には、多額の資金が必要です。
  ⑶ 地震・台風・洪水など、突然の災害により、大きな損害を受けた場合、それを修復する財源には欠きます。

 2 時代の変革と施設管理

  ⑴ ひとつの新しいアイディアとして、株式会社方式による、施設の管理も考えられます。
  ⑵ 信者・崇敬者・協力者に株式投資をしていただき、財源を確保する方式です。
  ⑶ 詳細はお尋ねください。

 

 

 

Los-Angeles