財務会計

経営支援

                                                (米国ワシントン州にて)

【 このページの目次 】

  Ⅰ 宗教法人の書類帳簿

    1 書類帳簿の備置き
    2 書類帳簿の閲覧
    3 帳簿等の写しの提出

  Ⅱ 宗教法人の会計と簿記

    1 財産目録
    2 収支計算書
    3 貸借対照表・損益計算書
    4 複式簿記 
    5 特別会計
    6 領収書の発行

  Ⅲ 宗教法人の収益事業

    1 宗教法人の業務および事業
    2 宗教法人における収益事業のススメ
    3 収益事業と法人税

  Ⅳ 宗教法人と法人税

    1 法人税の納税義務
    2 「収益事業(特掲事業)」
    3 会計の区分

  Ⅴ 宗教法人と所得税 

    1 所得税の源泉徴収
    2 所得税の申告
    3 みなし譲渡所得税

  Ⅵ 宗教法人と固定資産税・都市計画税

  Ⅶ 宗教法人と消費税

    1 「消費税」とは
    2 消費税の納税
    3 消費税の非課税・免税

  Ⅷ 宗教法人と贈与税・相続税

    1 贈与税
    2 相続税

  Ⅸ 宗教法人と印紙税・登録免許税

    1 印紙税
    2 登録免許税

  Ⅹ 宗教法人と関税

  Ⅺ 宗教法人における財務会計の諸問題

    1 宗教職の保障制度
    2 キャッシュレス社会の問題
    3 宗教法人会計の特殊性と問題点

  Ⅻ 宗教法人・宗教関連企業のファイナンス

    1 資金の融通
    2 債務の保証
    3 財務の企画
    4 債券の発行 
    5 資産の運用

  XIII 宗教施設の管理会社

    1 時代の変革と施設管理
    2 時代の変革と施設管理

  XIV 宗教と税務

    1 
    2 論文・記事・講演
    3 当事務所の対応

  XⅤ 宗教団体・宗教法人の会計・監査

Ⅰ 宗教法人の書類帳簿

  1 書類帳簿の備置き

     ⑴ 備置き義務

  宗教法人の主たる事務所には、常に、次の「書類帳簿」を備え置かなければなりません。

     ⑵ 備置き書類等 

       ① 宗教法人の「規則
       ② 宗教法人の「規則の認証書
       ③ 「役員名簿
       ④ 「財産目録
       ⑤ 「収支計算書」(収益事業を行っている場合、年収8千万円超の場合)
       ⑥ 「貸借対照表」(作成している場合)
       ⑦ 「境内建物に関する書類」(財産目録に掲載されていないもの)
       ⑧ 責任役員の「議事録
       ⑨ 責任役員の「事務処理簿
       ⑩ 責任役員以外の機関の「議事録」(規則で定めれている場合)
       ⑪ 責任役員以外の機関の「事務処理簿」(規則で定められている場合)
       ⑫ 公益事業に関する書類(行っている場合) 
       ⑬ 収益事業に関する書類(行っている場合)

     ⑶ 「書類帳簿等」の意味

       ① 「宗教法人の規則」とは
         ⓐ 宗教法人法の規定により定め、所轄庁の認証を受けた「規則」をいいます。
         ⓑ 一般社団法人・一般財団法人・株式会社などの「定款」に相当する、法人の基本規約をいいます。
         ⓒ 設立時の最初の規則だけではなく、その後に変更した規則のすべてが必要です。
       ② 「宗教法人の規則」には
         ⓐ 「宗教団体の各種の規則類」は含まれません。
         ⓑ 例えば、宗教団体の宗憲・教憲・憲章・憲法・教会法・信仰基準・宗制・宗規・教規・規程などです。 
         ⓒ 宗教団体の規則類は、宗教活動の基礎となるもので、公開・非公開は宗教団体の定めによります。
       ③ 宗教法人の規則の「認証書」とは
         ⓐ 「規則の認証」に際して、所轄庁(都道府県知事または文部科学大臣)から交付された公文書です。
         ⓑ 最初の「規則の認証書」だけではなく、その後の「規則変更の認証書」も必要です。。
         ⓒ 宗教法人の規則や規則の変更は、所轄庁の認証を受けて、有効になります。
       ④ 「役員名簿」とは
         ⓐ 当然のことながら、「宗教法人の役員」の名簿をいいます。
         ⓑ 「宗教法人の役員」とは、宗教法人法に定められた「責任役員および代表役員」をさします。
         ⓒ 「規則によって『役員』として定めた者」としての「監事、評議員など」も含みます。
         ⓓ しかし、「宗教主宰者」「宗教上の職制にある者」や「宗教団体の役員」は含みません。
         ⓔ たとえば、総長・総裁・管長・議長・会長・宮司・住職・牧師・司祭・教会長などです。
       ⑤ 「財産目録」とは
         ⓐ 宗教法人法上、設立時と毎会計年度終了後3月以内に作成しなければならない「財産目録」をいいます。
         ⓑ 「財産台帳」のような書類ではありません。
       ⑥ 「収支計算書」とは
         ⓐ 宗教法人法上、毎会計年度終了後3月以内に作成しなければならない「収支計算書」をいいます。
         ⓑ 次の場合には、作成しなくてもかまいません。
           ⅰ 収益事業を行っていない場合
           ⅱ 年収が8千万円以下の場合   
       ⑦ 「貸借対照表」とは
         ⓐ 「貸方」「借方」のバランスで表示された財務諸表の一つで、「バランスシート」と呼ばれるものです。
         ⓑ 「資産」と「負債」の状態を表すために、「複式簿記」によって導き出されるものです。
         ⓒ 宗教法人に必須の書類とはされていませんが、作成している場合には、備置きの義務があります。
       ⑧ 「境内建物に関する書類」とは
         ⓐ 境内建物はすべて財産目録に掲載されているはずです。
         ⓑ 「財産目録に掲載されていない境内建物」とは、財産目録の作成後に、取得・新築・増築などをした境内建物のことをいいます。
         ⓒ 法律上義務となっているのは「境内建物」だけですから、「境内地」は含まれません。
       ⑨ 「役員の議事録と事務処理簿等」とは
         ⓐ 宗教法人の事務は責任役員によって決定されますから、宗教法人の事務の決定とその処理を明確にするために、責任役員の議事に関する書類と事務処理簿等を、備えることになっています。
         ⓑ 「事務処理簿等」とは、責任役員の指揮書・命令書・受命書・報告書などをいいます。
         ⓒ 規則で定めている場合には、責任役員以外の機関の議事録と事務処理簿も備えなければなりません。
       ⑩ 「公益事業・収益事業に関する書類」とは
         ⓐ 宗教法人は「公益事業」を行うことができますが、公益事業を行うには、規則で定め、所轄庁の認証を受け、法人登記をしなければなりません。
         ⓑ 宗教法人は「収益事業(公益事業以外の事業)」を行うことができますが、収益事業を行うには、規則で定め、所轄庁の認証を受け、法人登記をしなければなりません。
         ⓒ 公益事業や収益事業を行う場合には、それらの事業に関する書類を備えなければなりません。事業の許認可書や、事業計画、事業施設、事業組織、事業商品、事業役務などに関する書類です。

  2 書類帳簿の閲覧

     ⑴ 非公開の書類帳簿

       ㋑ 宗教法人の書類帳簿は、「公開」されているわけではありません。
       ㋺ 「信教の自由」の観点から、「宗教活動への不介入」の原則が働いています。
       ㋩ 公開によって、「宗教活動の自由」や「信者の信教の自由」が阻害されるおそれがあるからです。
       ㋥ それは「宗教活動の秘密」を意味しませんが、「宗教弾圧」の歴史を踏まえ、「信者の信教の秘密」は厳守される必要があります。

     ⑵ 書類帳簿の閲覧請求権

       ㋑ 閲覧請求権者
         ⓐ 信者その他の利害関係人は、非公開の書類帳簿の閲覧請求権を有します。
         ⓑ 報道機関、行政機関、研究機関やその関係者には、閲覧請求権はありません。
         ⓒ 宗教法人が、独自に、閲覧請求権がない者にも閲覧を許可することはかまいません。
       ㋺ 閲覧の理由
         ⓐ 書類帳簿の閲覧ができるのは、「正当な理由」がある場合に限ります。
         ⓑ 閲覧請求に「正当な理由がない」場合には、「閲覧を拒否」できます。
       ㋩ 閲覧の目的
         ⓐ 書類帳簿の閲覧ができるのは、「不当な目的」によるものでないことが必要です。
         ⓑ 閲覧請求が「不当な目的」による場合には、当然に「閲覧を拒否」できます。
       ㋥ 閲覧させる義務
          宗教法人は、上記の条件を満たす者から請求があった場合には、書類帳簿の閲覧をさせなければなりません。

  3 帳簿等の写しの提出

     ⑴ 帳簿等の写しの提出義務

        宗教法人は、毎会計年度終了後「4月以内」に、下記の書類の写し(コピー)を、所轄庁に提出しなければなりません。

     ⑵ 写しの提出が必要な帳簿等

       ① 役員名簿
       ② 財産目録
       ③ 収支計算書(作成している場合のみ)
       ④ 貸借対照表(作成している場合のみ)
       ⑤ 財産目録に掲載されていない境内建物に関する書類
       ⑥ 公益事業・収益事業に関する書類

     ⑶ 所轄庁の義務

       ㋑ 所轄庁は、
          宗教法人の「宗教上の特性と慣習を尊重」し、「信教の自由」を妨げることがないように「特に留意」して、宗教法人から提出された書類等の写しを取り扱わなければなりません。
       ㋺ 公文書の開示請求
          宗教法人の書類等の開示請求には、閲覧請求の原則が類推されるべきです。
          閲覧請求権のない者が開示請求できるのは、法の目的の逸脱に当たるからです。

                                  (ロシア・モスクワ、ロシア正教総主教庁・ダニーロフスキー修道院)

Ⅱ 宗教法人の会計および簿記

  1 財産目録

      毎会計年度の終了後、「3月以内」に作成しなければなりません。

  2 収支計算書

     ⑴ 毎会計年度の終了後、「3月以内」に作成しなければなりません。
     ⑵ ただし、次の場合には、作成しなくてもさしつかえありません。
        ① 収益事業を行っていない場合であって、  
        ② 1会計年度の収入の額が8千万円以下である場合           

  3 貸借対照表・損益計算書

     ⑴ 「貸借対照表」「損益計算書」は、宗教法人の必須書類ではありません。
     ⑵ 「貸借対照表」は、作成している場合には、備置き書類となります。
     ⑶ 「損益計算書」は、作成していても、備置き書類とはなりません。

  4 複式簿記

     ⑴ 宗教法人には、義務付けられた特別の会計原則はありません。
     ⑵ 適宜の方法で、適宜の帳簿に記帳すれば十分です。
     ⑶ 一定の会計規模となれば、複式簿記による会計をするのが望ましいと思われます。
     ⑷ 「複式簿記」では、「貸方」「借方」のバランスにより、常に、正常な会計状況を把握することができます。

  5 特別会計

     ⑴ 「収益事業」を行う場合は、「別の会計」としなければなりません。
     ⑵ 宗教法人の規則上、「公益事業以外の事業(収益事業)」と定められていなくても、法人税法上、「収益事業」に当たる場合も、会計を区分しなければなりません。    

  6 領収書の発行

     ⑴ 「領収書」とは、金銭その他の財産の受領を証明する書類です。
     ⑵ 民法では、弁済者が弁済と引換に「受取証書」の交付を請求できるものと定めています(486条)。民法上は、債務の弁済に当たって、弁済者が、弁済の証拠としての証明書という位置付けです。
     ⑶ しばしば、「領収書の発行は現金払いに限る」「クレジット払いには領収書を出しません」という営業者がいますが、明らかに誤っています。むしろ、脱税の目的であることが窺われます。
     ⑷ 宗教上の献金・布施・賽銭・寄進などは債務の弁済ではありませんから、この意味での領収書の対象外です。とはいえ、宗教団体の規約などにより、月々に、年々に、一定の献金等を行うことが宗教上の義務とされていれば、義務履行の証明書として領収書の交付を求めることは意味があります。
     ⑸ また、宗教団体内部の会計処理の適正性を担保するために、すべての献金等に領収書を発行することには意義があります。ただし、あまり厳密に適用すると、「大岡政談」にあるように、領収書の発行のために経費負担が過重になってしまい、宗教団体の財政基礎を喪失してしまいかねませんから、一定の良識と一定の基準が必要になります。
     ⑹ その意味で、献金等を納める封筒に欄を設け、受領印を押すなどして証明するのは有効ですが、印紙税法上、「判取帳」の扱いを受けて、印紙税(4000円)の納付が求められる可能性があります。そのために、100人の会員信者がいれば30万円、1000人なら300万円が必要になります。  

                                           (ベトナム・ハノイの官庁)

Ⅲ 宗教法人の収益事業

  1 宗教法人の業務および事業

     ⑴ 財務管理

㋑ 宗教法人の目的は、宗教団体の礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用することです(宗教法人法1条1項)。
㋺ 宗教団体の宗教活動を、財産管理・財務管理という世俗の業務で支えることです。 

     ⑵ 公益事業

㋑ 宗教法人は、公益事業を行うことができます(宗教法人法6条1項)。
㋺ 宗教活動は本来、公益事業です(民法33条2項)が、ここでいう「公益事業」には含まれません。
㋩ この公益事業に宗教活動を含めると、宗教法人が宗教活動を行うことができることになってしまいます。  

     ⑶ 収益事業

㋑ 宗教法人は、目的に反しない限り、公益事業以外の事業(収益事業)を行うことができます(宗教法人法6条2項本文)。
㋺ ただし、収益事業で生じた収益は、次のために使用しなければなりません(宗教法人法6条2項但書)。
   ① 自己のため 
   ② 包括宗教団体のため 
   ③ 他の宗教法人の援助のため
   ④ 公益事業のため  
㋩ 「収益事業」は、株式会社などの行う「営利事業」とは異なります。「利益配当」を行うことはできません。   

  2 宗教法人における収益事業のススメ

     ⑴ 宗教法人の収益事業の目的

㋑ 宗教法人法において、宗教法人が収益事業を行うことができる旨を定めたのは、宗教団体・宗教法人の維持・存続のためです。
㋺ 宗教団体・宗教法人の基本は、信者の寄進・献金・布施などを基礎として維持・運営されることでしょう。
㋩ しかし、自然災害、事件事故、病疫蔓延、社会情勢などにより、その基礎が揺らぐこともあります。     
㋥ 宗教法人法は、あくまでも宗教法人の維持・存続のために、収益事業を規定しています。  

     ⑵ 収益事業のススメ

㋑ 従来、多くの宗教団体・宗教法人が、収益事業を営利事業と混同して、否定的に捉えてきました。
㋺ 現下、人口の減少・信者の減少、地域の過疎化、住民の高齢化・信者の高齢化、経済の低迷、収益の低下、失業者の増加、入院・通院・治療・医療・介護・看護などの費用の増加などにより、存続が危ぶまれている宗教団体・宗教法人が多数あります。
㋩ 2020年・令和2年からは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、困難になっているところも多数あります。  
㋥ 他の法人においても求められているように、宗教法人においても「事業持続化計画(BCP)」が求められます。
㋭ 宗教法人は、宗教法人法の意図を理解して、宗教団体・宗教法人としてふさわしい収益事業を考えるべきでしょう。  

     ⑶ 収益事業の範疇

㋑ 宗教法人の収益事業に特に制限はありませんが、次の範疇で考えられます。
㋺ 宗教法人の収益事業の考察範疇: 
   ① 宗教活動の延長線上における収益事業
   ② 宗教活動に関連した収益事業
   ③ 宗教活動の成果としての収益事業
   ④ 宗教者だから行うことが可能な収益事業
   ⑤ 宗教団体・宗教活動のブランドで展開する収益事業
   ⑥ その他の収益事業
㋩ 明文の規定はありませんが、宗教法人として適切でない収益事業は認証されない扱いとなっています。
㋥ その一例として、風俗営業があげられています。    

  3 収益事業と法人税

     ⑴ 法人税の対象となる収益事業

㋑ 法人税法上、宗教法人が行えば「法人税法上の収益事業」として、法人税の対象となる事業があります。 
㋺ それらは、このページの下記に「収益事業(特掲事業)」として列記してあります。  

     ⑵ 法人税の対象でない事業

㋑ 基本的に、「収益事業(特掲事業)」に当たらない事業は、いくら収益があっても、法人税の対象とはなりません。
㋺ ただし、判断が微妙なものもあり、注意が必要です。

     ⑶ 法人税の対象でない技芸教育業

㋑ 比較的、宗教法人として行うことの多い「技芸教育業」について考えます。
㋺ 法人税の対象となるのは、次の技芸教育業です。
   Ⓐ 洋裁
   Ⓑ 和裁
   Ⓒ 着物の着付け   
   Ⓓ 編み物
   Ⓔ 手芸
   Ⓕ 料理
   Ⓖ 理容
   Ⓗ 美容
   Ⓘ 茶道
   Ⓙ 生花
   Ⓚ 演劇
   Ⓛ 演芸
   Ⓜ︎ 舞踊
   Ⓝ 舞踏
   Ⓞ 音楽
   Ⓟ 絵画
   Ⓠ 書道
   Ⓡ 写真
   Ⓢ 工芸
   Ⓣ デザイン
   Ⓤ 自動車操縦
   Ⓥ 小型船舶操縦
㋩ したがって、これらに該当しないものであれば、法人税の対象外となります。
㋥ 例えば、次のようなものです。     

Ⅳ 宗教法人と法人税

  1 法人税の納税義務

     ⑴ 「納税の原則

  国民は国家の主権者です(国民主権)から、税金は、強制的に課されるもの(課税)ではなく、自主的に納めるもの(納税)です。例外的に、課税される場合があります。 

     ⑵ 法人税の納税義務

     ㋑ すべての「内国法人」には、法人税を納める義務があります。
     ㋺ 「内国法人」とは、日本国内に本店・主たる事務所のある法人をいいます。
     ㋩ 「宗教法人」も、内国法人の一つです。

     ⑶ 納税義務のない法人 

     ㋑ 「公益法人等」「人格のない社団等」には、法人税の納税義務がありません。
     ㋺ 「宗教法人」は、「公益法人等」の一つです。
     ㋩ 法人でない神社・寺院・教会などの宗教団体は、「人格のない社団等」です。
     ㋥ したがって、「宗教団体」も、「宗教法人」も、法人税の納税対象外です。

     ⑷ 納税義務のある事業

     ㋑ しかし、「収益事業」を行う場合には、その部分に関しては納税義務が発生します。
     ㋺ 「収益事業」とは、
       ⓐ 販売業・製造業など政令で定める事業(特掲事業)で、
       ⓑ 事業場を設けて、
       ⓒ 継続的に営まれるものをいいます。
     ㋩ 「収益事業」とは、単に「収益がある事業」「収益を目的にする事業」という意味ではありません。
     ㋥ 「宗教活動」「公益事業」であっても、「収益事業」に当たるとされる場合もあります。

  2 「収益事業(特掲事業)」

     ⑴ 「収益事業(特掲事業)」とは、次の「34の事業」をいいます。

      ① 物品販売業
      ② 不動産販売業
      ③ 金銭貸付業
      ④ 物品貸付業
      ⑤ 不動産貸付業
      ⑥ 製造業
      ⑦ 通信業
      ⑧ 運送業
      ⑨ 倉庫業
      ⑩ 請負業
      ⑪ 印刷業
      ⑫ 出版業
      ⑬ 写真業
      ⑭ 席貸業
      ⑮ 旅館業
      ⑯ 料理店業その他の飲食店業
      ⑰ 周旋業
      ⑱ 代理業
      ⑲ 仲立業
      ⑳ 問屋業
      ㉑ 鉱業
      ㉒ 土石採取業
      ㉓ 浴場業
      ㉔ 理容業
      ㉕ 美容業
      ㉖ 興行業
      ㉗ 遊戯所業
      ㉘ 遊覧所業
      ㉙ 医療保健業
      ㉚ 教育関連業
         (技芸の教授、学力の教授、公開模擬学力試験など)
      ㉛ 駐車場業
      ㉜ 信用保証業
      ㉝ 無体財産権の提供等業
      ㉞ 労働者派遣業

     ⑵ 教育関連業の対象

      Ⓐ 技芸の教授
        ⓐ 洋裁
        ⓑ 和裁
        ⓒ 着物着付け
        ⓓ 編物
        ⓔ 手芸 
        ⓕ 料理
        ⓖ 理容
        ⓗ 美容
        ⓘ 茶道
        ⓙ 生花
        ⓚ 演劇
        ⓛ 演芸
        ⓜ 舞踊
        ⓝ 舞踏
        ⓞ 音楽
        ⓟ 絵画
        ⓠ 書道
        ⓡ 写真
        ⓢ 工芸
        ⓣ デザイン、レタリング
        ⓤ 自動車操縦
        ⓥ 小型船舶操縦
      Ⓑ 学力の教授 
        ⓐ  学校の入学者を選抜するための学力試験に備える     
        ⓑ 学校教育の補習
      Ⓒ 公開模擬学力試験 

     ⑶ 非該当の事業

      ⓐ 多額の収益を得る事業であっても、34事業に該当しない限り、適用外です。
      ⓑ 34事業に該当しても、継続性のないもの(臨時的・一時的のもの)は、適用外です。
      ⓒ 34事業に該当しても、事業場を設けずに行っているものは、適用外です。 

     ⑷ 該当するとされる事業

      ⓐ 宗教法人法による収益事業の手続きを経ていなくても、該当するなら対象となります。
      ⓑ 宗教活動・公益事業が、収益事業とされる場合もあります。
      ⓒ 宗教活動の一部が、収益事業に当たるとされることもあります。

  3 会計の区分

        収益事業に当たる部分の会計は、宗教法人の一般会計から区分して行わなければなりません。

                                  (中国陝西省西安、楊貴妃のための皇帝離宮「華清池」)

Ⅴ 宗教法人と所得税

  1 所得税の源泉徴収

     ⑴ 給与所得の源泉徴収

    ① 「源泉徴収」とは

        ㋑ 事業主が、給与等から「天引き」により、従業員の所得税を徴収する手続きです。 
        ㋺ 日本国内において、居住者に対して、給与等を支払う場合に適用となります。 
        ㋩ 給与等の支払いの際に、所得税を徴収し、翌月10日までに納付しなければなりません。 
        ㋥ 「居住者」とは、 
           Ⓐ 「日本国内に住所を有する者」か、 
           Ⓑ 「日本国内に1年以上居所を有する者」をいいます。 

    ② 「給与所得」とは 

        ㋑ 給与等(俸給、給料、賃金、歳費、賞与など)による所得をいいます。 
        ㋺ 給与所得の金額は、 
            年間の給与等の「収入金額」から、 
            「給与所得控除額」を控除した残額をいいます。 
        ㋩ ただし、 
            収入金額660万円未満の場合は、 
            所得税法別表5に定める金額とされます。 

    ③ 「給与所得控除額」とは 

        ㋑ 収入金額65万円未満の場合、65万円。 
        ㋺ 収入金額180万円以下の場合、40%。 
        ㋩ 収入金額360万円以下の場合、72万円+(収入金額ー180万円)の30%。 
        ㋥ 収入金額660万円以下の場合、126万円+(収入金額ー360万円)の20%。 
        ㋭ 収入金額1000万円以下の場合、186万円(収入金額ー660万円)の10%。 
        ㋬ 収入金額1000万円超の場合、220万円。  

    ④ 別途、「賞与の源泉徴収」「退職金の源泉徴収」があります。 

    ⑤ 「年末調整」とは 

        ㋑ 事業主は、従業員の所得税に関して、次の控除等の手続きをしなければなりません。。 
        ㋺ 「扶養控除」「社会保険料控除」など。 

     ⑵ 報酬等の源泉徴収

    ① 「源泉徴収」とは 

        ㋑ 委託者等が、報酬等から天引きして、受託者等の所得税を徴収する手続きです。 
        ㋺ 日本国内において、居住者に対して、報酬等を支払う場合に適用となります。 
        ㋩ 報酬等の支払いの際に、所得税を徴収し、翌月10日までに納付しなければなりません。 
        ㋥ 「居住者」とは、 
           Ⓐ 「日本国内に住所を有する者」か、 
           Ⓑ 「日本国内に1年以上居所を有する者」をいいます。 

    ② 「報酬等」とは 

        ㋑ 原稿、挿絵、作曲、レコード吹込み、デザインの報酬など。 
        ㋺ 講演料、放送謝金、著作権・著作隣接権などの使用料など。 
        ㋩ 弁護士・司法書士・土地家屋調査士・公認会計士の報酬・料金。
        ㋥ 税理士・社会保険労務士・弁理士・海事代理士の報酬・料金。
        ㋭ 測量士・建築士・不動産鑑定士・技術士などの報酬・料金。 
        ㋬ 社会保険診療報酬。
        ㋣ 職業野球選手・モデル・外交員・集金人などの報酬・料金。
        ㋠ 映画・演劇・放送の出演・演出・指揮・監督・企画の報酬・料金。
        ㋷ キャバレー・ナイトクラブ・バーなどのホステス等の報酬・料金。
           (バー等の経営者を通じて支払う場合)
        ㋦ 役務の提供契約金。
        ㋸ 広告宣伝の賞金、馬主の受ける競馬賞金。

    ③ 報酬等の源泉徴収する所得税額

        ㋑ 原則
           Ⓐ 報酬等が100万円以下なら、10%の税率
           Ⓑ 報酬等が100万円超なら、20%の税率
        ㋺ 司法書士・土地家屋調査士・海事代理士の報酬等
             (報酬等の金額ー1万円)に、10%の税率
        ㋩ 社会保険診療報酬
             (月額ー20万円)に、10%の税率 
        ㋥ 職業拳闘家の報酬等
             (報酬等ー5万円)に、10%の税率
        ㋭ 外交員・集金人・検針人の報酬等
             (月額ー12万円)に、10%の税率 
        ㋬ ホステス等の報酬等
             (報酬等ー5千円×日数)に、10%税率
        ㋣ 広告宣伝の賞金
             (報酬等ー50万円)に、10%の税率
        ㋷ 競馬の賞金
             (報酬等ー20%ー60万円)に、10%の税率

  2 所得税の申告

     ⑴ 所得税の納税義務

       ① 個人の税金

         ㋑ 法人税が法人の税金なら、所得税は個人の税金です。 
         ㋺ 原則として、所得のある全ての個人に納税義務があります。 

       ② 所得の種類 

         ㋑ 「事業所得」 
           Ⓐ 個人で、次のような事業を行なっている場合。
               農業・漁業・建設業・小売業・運送業など。 
               医療保険業・著述業・通信業など。 
               宗教・祈祷・霊占・宗教教育・信仰指導などの事業。
               保育・教育・法務・会計・コンサルタントなどの事業。 
               翻訳・通訳・コンピュータ入力・印刷などの事業。  
           Ⓑ 宗教団体で奉仕する宗教職で、
               労働者ではなく、給与所得の対象とならない場合。     

         ㋺ 「不動産所得」 
             個人所有の土地・建物を宗教団体に賃貸している場合。 
             個人所有の土地に宗教法人の地上権・地役権を設定している場合。 

         ㋩ 「給与所得」 
             宗教法人に雇用されて給与を受けている場合。 
             社務所・寺務所・寺務所の事務職員、境内の管理職員・警備職員など。 
             宗教法人の公益事業・収益事業に使用されている職員。
             宗教職であって、アルバイトとして、民間企業に勤めている場合。

     ⑵ 「所得」とは

       ① 「所得」とは、年間の「総収入」から、「必要経費」を引いた金額です。
       ② 「必要経費」には、次のようなものが含まれます。 
           原材料費、仕入費、下払金、通信費、交通費、宿泊費、賃借料、購読料、物品購入費、人件費、
           厚生費、諸会費、接待交際費、寄付金、破損損失金、修繕費、諸税など。 
       ③ 「減価償却費」
           一定の機器類は、購入金額の全額ではなく、年ごとの減価償却費が経費となります。 

     ⑶ 所得税の確定申告

       ① 「所得税」は、
          ㋑ 毎年1月1日から12月31日までの分を、
          ㋺ 税務署に、自主的に申告して、納付します。
       ② これを「所得税の確定申告」といいます。
       ③ 申告と納税の期間は、
           毎年2月16日(年により変わります。)から3月15日までです。
       ④ 申告は、税務署で申告書の用紙をもらって記入して提出するか、電子申告(e-Tax)します。   

  3 みなし譲渡所得税

     ⑴ 「みなし譲渡所得税」

         ㋑ 個人が、土地・建物などを法人に寄付(無償の贈与)した場合に適用されます。 
         ㋺ 個人対個人であれば、受贈者の個人に贈与税が賦課されますが、
         ㋩ 個人対法人の場合には、法人には贈与税は賦課されません。 
         ㋥ 代わりに、寄付した個人に「みなし譲渡所得税」が賦課されます。 
         ㋭ 寄付時に時価で譲渡したものとみなして、寄付者に譲渡所得税が賦課されます。 

     ⑵ 非課税の特例

       ① 個人の税金

         ㋑ 法人税が法人の税金なら、所得税は個人の税金です。 
         ㋺ 原則として、所得のある全ての個人に納税義務があります。 

     ⑶ 承認要件

       ① 公益の増進

         教育・科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益に著しく寄与すること。 

       ② 2年以内に供用

         ㋑ 。 
         ㋺

       ③ 不当免税の非該当

         ㋑ 。 
         ㋺

     ⑷ 申請手続

       ① 承認申請書の提出 

       ② 承認申請の期間

         ㋑ 寄付の日から4ヶ月以内。
         ㋺ ただし、11月16日から12月31日までの寄付については、翌年3月15日まで。 

                                              (京都市東山区「清水寺」)

Ⅵ 宗教法人と固定資産税・都市計画税

     ⑴ 課税の対象

       ① 固定資産税  固定資産土地家屋償却資産  
       ② 都市計画税  都市計画区域内にある土地と家屋

     ⑵ 税率

       ① 固定資産税  固定資産評価額の1.4%
       ② 都市計画税  固定資産評価額の0.3%

     ⑶ 賦課団体

       ① 固定資産税  市町村 + 東京都(23区)
       ② 都市計画税  市町村 + 東京都(23区)

     ⑷ 境内建物・境内地の非課税

       ㋑ ①宗教法人が、②もっぱら、③その本来の用に供する、④境内建物境内地には、
           固定資産税は課されません。
       ㋺ 非課税となるのは「宗教法人」に限ります。
           境内建物・境内地であっても、宗教法人以外の所有のものは対象外です。
       ㋩ 「もっぱら」とは、
           「概ね9割程度」とされています。
       ㋥ 「本来の用」とは、
           「宗教活動をいう」とされています。
       ㋭ 「境内建物境内地」であっても、
           「全てが非課税となるものではない」とされています。

     ⑸ 境内建物・境内地への課税

       ① 宗教法人法上「公益事業以外の事業」を行う場合は、
           課税されています。
       ② 宗教法人法上「公益事業以外の事業」を行わない場合でも、
           法人税法上「収益事業」に当たるときは、課税対象とされています。
       ③ 宗教法人法上「公益事業」を行う場合には、
           「本来の用ではない」として、課税対象とされています。
       ④ 宗教法人法上「公益事業」を行わない場合でも、
           「公益事業である」と判断されれば、課税されています。
       ⑤ 宗教法人が、地域住民や被災者のための、防災倉庫・備蓄倉庫を持つと、
           「本来の用ではない」として、課税対象とされています。
       ⑥ 宗教法人が信者や参拝者の便宜のために、清涼飲料水の自動販売機を設置すると、
           「収益事業である」と判断されて、課税されています。
       ⑦ 宗教法人が、生活困難者のための無料炊き出しを行う団体の、鍋釜などを預かると、
           「本来の用ではない」と判断されて、課税されています。
       ⑧ 宗教法人が、地域自治会の備品を預かると、
           「本来の用ではない」と判断されて、課税されています。

     ⑹ 償却資産

       ㋑ 「償却資産」とは、
          Ⓐ 事業の用に供する資産であること。
          Ⓑ 減価償却費が損金(必要経費)となるものであること。
          Ⓒ 土地・家屋を除く。
          Ⓓ 自動車・軽自動車・原動機付自転車・小型特殊自動車・二輪小型自動車を除く。
       ㋺ 宗教法人・公益法人における、償却資産
          Ⓐ 収益事業を行っている場合に適用となる。
          Ⓑ 例えば、
             物品販売業・出版業・通信業などの設備・機器・装置・器具・備品など
          Ⓒ 課税例
            ⓐ 物品販売業の自動販売機
            ⓑ 発電業のソーラーパネルと給電設備
            ⓒ 飲食店業の調理機器・調理器具・食器など

                                          (神奈川県伊勢原市大原の「大原阿夫利神社」)

Ⅶ 宗教法人と消費税

  1 「消費税」とは

       ① 「消費税」は、
         ㋑ 「国内」において、
         ㋺ 「事業者」が行った、
         ㋩ 「資産の譲渡等」に課される税です。
       ② 「事業者」とは、
         ㋑ 事業を行う個人(個人事業者)
         ㋺ 法人
         ㋩ 人格のない社団等
       ③ 「資産の譲渡等」とは、
         ㋑ 事業として、対価を得て行われる「資産の譲渡」
         ㋺ 事業として、対価を得て行われる「貸付け」
         ㋩ 事業として、対価を得て行われる「役務の提供」

  2 消費税の納税

       ① 「納税義務者」は、
           「課税資産の譲渡等」を行なった事業者です。
       ② 事業者は、
           課税期間の1月ごとに申告納税が必要です。

  3 消費税の非課税・免除

       ① 消費税の非課税(例)
         ㋑ 土地の譲渡・貸付け。
         ㋺ 埋葬・火葬の役務。
       ② 消費税の免税(例)
         ㋑ 小規模事業者(基準期間の課税売上1000万円以下)。
         ㋺ 新設法人。
         ㋩ 信託財産。

Ⅷ 宗教法人と贈与税・相続税

  1 贈与税

     ⑴ 「贈与税」とは

       ㋑ 個人からの贈与によって、財産を取得した場合、
           取得した財産に対して賦課される税金です。
       ㋺ 法人からの贈与には、    
           贈与税は賦課されませんが、所得税の賦課対象とはなります。     

     ⑵ 贈与税の非課税

       ㋑ 宗教・慈善・学術など公益目的の贈与には課税されません。
       ㋺ 葬儀に際しての贈与(香典、ご仏前、神饌料、お花料など)には課税されません。
       ㋩ 社会的儀礼としての贈与(お祝い金、お見舞金など)には課税されません。       

     ⑶ 贈与税の基礎控除

         110万円        

     ⑷ 贈与税の税率

       ㋑ 一般贈与
            200万円以下    10%
            300万円以下    15%
            400万円以下    20%
            600万円以下    30%
           1000万円以下    40% 
           1500万円以下    45%
           3000万円以下    50% 
           3000万円超     55%
       ㋺ 特例贈与(直系尊属から直系卑属への贈与)
            200万円以下    10%
            400万円以下    15%
            600万円以下    20%
           1000万円以下    30%
           1500万円以下    40% 
           3000万円以下    45%
           4500万円以下    50% 
           4500万円超     55% 

     ⑸ 「みなし譲渡所得」

       ㋑ 個人から法人への贈与
         Ⓐ 受贈した法人には、贈与税は賦課されません。 
         Ⓑ 受贈した法人には、益金として法人税の賦課対象となります。
         Ⓒ 贈与した個人には、「みなし譲渡」として、所得税の賦課対象となります。
       ㋺ 「みなし譲渡」とは 
         Ⓐ 無償で贈与した財産を、「時価で有償で譲渡した」とみなして課税することです。
         Ⓑ みなし譲渡額は、時価から、取得費用などを控除した額です。
       ㋩ 非課税の特例 
         Ⓐ 対象法人  公益法人等(宗教法人、学校法人、社会福祉法人など)
         Ⓑ 対象贈与  著しく公益の増進に寄与する寄附
         Ⓒ 適用手続  国税庁長官の承認を受ける必要があります。  

  2 相続税

     ⑴ 「相続税」とは

       ㋑ 「相続」によって財産を取得した場合に賦課される税金です。
       ㋺ 「遺贈」によって財産を取得した場合にも「相続税」が賦課されます。

     ⑵ 控除額

       ㋑ 相続した債務の額
       ㋺ 葬式費用
       ㋩ 非課税財産
         Ⓐ 国・地方公共団体・特定公益法人への寄附 
         Ⓑ 生命保険金(法定相続人1人500万円まで)
         Ⓒ 死亡退職金(法定相続人1人500万円まで)      

     ⑶ 相続税の税率

           1000万円以下    10%
           3000万円以下    15%
           6000万円以下    20%
              1億円以下    30%
              2億円以下    40% 
              3億円以下    45%
              6億円以下    50% 
              6億円超     55%

     ⑷ 「祭祀用財産」

       ㋑ 「祭祀用財産」は、一般の相続の対象外です。
       ㋺ 「祭祀用財産」は、相続人にではなく、祭祀主宰者に承継されます。
       ㋩ 「祭祀用財産」は、相続税の対象外です。

                                           (ロシア連邦モスクワのクレムリン)

Ⅸ 宗教法人と印紙税・登録免許税

  1 印紙税

    ⑴ 「印紙税」とは

      ① 「印紙税」は、一定の書類「課税文書」の作成に際して賦課される税金です(印紙税法2条)。
      ② 印紙税は、課税文書に税額に相当する印紙(収入印紙)を貼付して納付します(印紙税法8条1項)。
      ③ 課税文書の作成者は、課税文書と印紙の彩紋にかけて、押印するなどして、印紙を消します(印紙税法8条2項)。
      ④ 印紙の貼付・消印に代えて、税務署長による税印により納付することもできます(印紙税法9条1項)。      

    ⑵ 「課税文書」と税額

      ① 不動産・無体財産権・営業などの譲渡契約書
        地上権・土地賃借権の設定・譲渡契約書
        消費貸借契約書
        運送契約書  
         (契約金額)   1万円未満            0円
                   10万円以下       200円
                   50万円以下       400円
                    100万円以下     1,000円
                       500万円以下     2,000円
                    1,000万円以下      10,000円
                    5,000万円以下                   20,000円
                             1億円以下      60,000円
                             5億円以下    100,000円
                              10億円以下    200,000円
                              50億円以下    400,000円
                              50億円超      600,000円
                 金額不記載        200円
       ② 請負契約書
          (契約金額)   1万円未満            0円
                    100万円以下        200円  
                   200万円以下        400円  
                   300万円以下        1,000円  
                   500万円以下        2,000円  
                   1,000万円以下      10,000円  
                  5,000万円以下      20,000円  
                   1億円以下        60,000円  
                   5億円以下      100,000円  
                   10億円以下       200,000円  
                   50億円以下       400,000円  
                   50億円超        600,000円  
                  金額不記載           200円        
       ③ 会社の合併契約書           40,000円  
       ④ 会社の定款              40,000円  
       ⑤ 特約店契約書・代理店契約書など継続的取引基本契約書  
                             4,000円  
       ⑥ 信託契約書                200円  
       ⑦ 債務保証契約書                                                          200円  
       ⑧ 金銭寄託契約書など            200円  
       ⑨ 債権譲渡契約書・債務引契約書       200円  
       ⑩ 金銭などの受取書  
          ㋑ 非課税文書   営業に関しない受取書   
                    5万円未満の受取書  
          ㋺ 課税文書    
             (記載金額)  100万円未満            200円
                       200万円以下             400円  
                      300万円以下              600円   
                      500万円以下        1,000円   
                      1,000万円以下           2,000円   
                      2,000万円以下           4,000円   
                      3,000万円以下           6,000円   
                      5,000万円以下         10,000円   
                      1億円以下         20,000円   
                      2億円以下         40,000円   
                      3億円以下         60,000円   
                      5億円以下       100,000円   
                     10億円以下         150,000円   
                           10億円超          200,000円   
                     金額不記載           200円     
         (11) 判取帳         4,000円                                   

  2 登録免許税

    ⑴ 「登録免許税」とは

      ① 「登録免許税」は、一定の登記、登録、免許、許可など(登記等)に対して賦課される税金です(登録免許税法2条)。
      ② 登録免許税は、現金納付または印紙納付とされます(登録免許税法21条・22条)。

    ⑵ 登記等と税額

      ㋑ 不動産登記
        ① 所有権保存登記           不動産価額の4/1,000
        ② 所有権移転登記           不動産価額の20/1,000
            相続・合併の場合        不動産価額の4/1,000
            共有物分割の場合        不動産価額の4/1,000
        ③ 地上権・賃借権などの登記
            設定・転貸の場合        不動産価額の10/1,000
            相続・合併の場合        不動産価額の2/1,000
            共有分割の場合         不動産価額の2/1,000
            その他の場合          不動産価額の10/1,000
        ④ 配偶者居住権の設定登記       不動産価額の2/1,000
        ⑤ 地役権の設定登記          承役地1個につき1,500円
        ⑥ 先取特権・質権・抵当権などの登記
            保存・設定などの場合      債権金額などの4/1,000
            相続・合併の場合        債権金額などの1/1,000
            その他の移転の場合       債権金額などの2/1,000
        ⑦ 信託の登記
            所有権の場合          不動産価額の4/1,000
            先取特権・質権・抵当権の場合  債権金額などの2/1,000     
            その他の権利の場合       不動産価額の2/1,000  
        ⑧ 更正・変更登記           不動産1個につき1,000円
        ⑨ 抹消登記              不動産1個につき1,000円
      ㋺ 船舶の登記
        ① 所有権保存登記           船舶の価額の4/1,000
        ② 所有権移転登記           船舶の価額の28/1,000
            相続・合併の場合        船舶の価額の4/1,000
            遺贈・贈与などの場合      船舶の価額の20/1,000
        ③ 委付の登記             船舶の価額の4/1,000
        ④ 賃借権の設定などの登記       船舶の価額の1.5/1,000
        ⑤ 抵当権の設定などの登記       債権金額の4/1,000
        ⑥ 抵当権の移転の登記         債権金額の2/1,000または1/1,000
      ㋩ 航空機の登録
          新規登録・移転登録         航空機の重量1トンにつき30,000円
      ㋥ 企業担保権の登記
          設定登記              債権金額の2.5/1,000
          移転登記              債権金額の1.5/1,000
      ㋭ 動産の抵当権の設定の登記・登録
        ① 農業用動産             債権金額の3/1,000
        ② 建設機械              債権金額の3/1,000
        ③ 自動車               債権金額の3/1,000
      ㋬ 著作権の登録
      ㋣ 出版権の登録
      ㋠ 著作隣接権の登録
      ㋷ 特許権の登録
      ㋦ 実用新案権の登録
      ㋸ 意匠権の登録
      ㋾ 商標権の登録
      ㋻ 会社・法人の登記
        ① 株式会社の設立           資本金の額の7/1,000(最低15万円)
        ② 一般社団法人・一般財団法人の設立  6万円
        ③ 合同会社の設立           資本金の額の7/1,000(最低6万円)
        ④ 役員の変更
          Ⓐ 一般社団法人・一般財団法人   1万円
          Ⓑ 資本金1億円以下の会社     1万円
          Ⓒ その他の会社          3万円 
        ⑤ 変更登記              3万円
        ⑥ 更正登記              2万円
        ⑦ 抹消登記              2万円
      ㋕ 個人の商業登記
      ㋵ 船舶管理人の登記
      ㋟ 夫婦財産契約の登記
      ㋹ 人の資格の登録など
        ① 公認会計士、行政書士、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、技術士など
        ② 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、社会福祉士、介護福祉士など
        ③ 社会保険労務士、キャリヤコンサルタント、弁理士、船舶職員、水先人、海事補佐人、海事代理士など
        ④ 航空従事者、不動産鑑定士、建築士、測量士など
      ㋞ 無線局の免許
      ㋡ 通関業の許可
      ㋧ 酒類などの製造免許・販売免許など
      ㋤ 著作権等管理事業者の登録  

・    

                                                (韓国・仁川の開発区)

Ⅹ 宗教法人と関税

     ⑴ 「関税」とは

       ① 「関税」は、
           輸入貨物に課される税金です(関税法)。
       ② 「関税」は、
           輸入貨物の価格と数量に応じて課されます(関税定率法)

     ⑵ 「通関」

       ① 「通関」とは、
           許可を得て、貨物の輸出・輸入をすることをいいます。
       ② 貨物の輸出・輸入には、
           「税関長の許可」を得なければなりません。
       ③ 貨物の輸出・輸入には、
           税関長に対する輸出申告・輸入申告が必要です。

     ⑶ 特定用途免税

       ① 直接、
           儀式・礼拝用に供するために宗教団体に寄贈された物品(関税定率法)。
       ② これに該当するのは次の物品(財務省令)。
         ㋑ 神仏の像・画像(金地金など換価容易なものを除く)。
         ㋺ 祭壇・祭壇用具。
         ㋩ 儀式・礼拝用に直接供される器具。
         ㋥ ミサ用・聖餐式用の葡萄酒・パン、蝋燭、灯油、香類。
       ③ 具体的な例としては次の物品(基本通達)。
         ㋑ 神社関係
           A 礼拝用具 
              神宝、祭器具類、神鏡、御帳台、厚畳、金幣、鈴・鈴緒、
              無鈴、神楽鈴、長柄銚子、屏風、五色幣、曲玉、神剣、
              案辛櫃、柳筥、折敷、三宝、灯台、胡床、瓶子、簾、幌、
              壁代、幔幕、円座、麻など。
           B 式典用具
             a 装束類
                冠、拘、単、袴、檜扇、浅香、烏帽子、狩衣、浄衣、
                格衣、直垂、水干、袿、額当、祝詞袋、白丁、素襖、
                束帯、下襲、表袴、大口、石帯、平緒、襪、白衣(小袖)
                五衣、千早、打衣、表着、唐衣、中啓、裃、扇舞、
                ボンボリ、花簪など。
             b 威儀物
                大幟、社名旗、錦旗、神輿、鳳輦、錦蓋、菅蓋、柴翳、
                菅翳、五色絹、随神、祭方、四神旗(台を含む。)、楯、
                錦弓、矢、長柄傘、獅子頭、神楽面、天狗面、鳥兜、
                毛頭、毛鉾など。
             c 楽器類
                鉦鼓、羯鼓、鳳笛、箪篥・同舌、楽大鼓、和琴など。
         ㋺ 仏教関係
           A 宮殿、厨子、須弥檀、台座、登高座(向卓、脇卓、礼盤、壁台、座褥)、
             羅網、天蓋、卓(仏前卓、経積卓、経卓等)、供筍、文箱、持蓮華、
             香炉、香炉箱、華籠棚、華籠皿、火灯、香盒、鑿台、灯籠、曲録、
             草鞋、沓、五具足、菊灯、輪灯、瓔珞、華瓶、経鑿、その他各種の鑿、
             木魚、風鐸、太鼓、仏器台、香盤、仏飯台、仏飯器、盛槽その他の附属品、
             喚鍾、梵鍾、笙篳篥、雙八、音木、その他の各種の楽器。
           B 念珠、中啓、檜扇、笏、笏杖、払子。
           C 経文経典類。
           D 散華。
           E 法衣の他装束。
         ㋩ 基督教関係
           A 聖布、聖幕、絨毬、ステンドグラス。
           B 聖卓、プルピット・説教檀、十字架、ミサ・聖餐用の祭器具、洗礼盤、燭台。
           C チャーチベル、チャイム、オルガン、ピアノ等の楽器。
           D 聖書・教典、祈禱書、聖歌・聖歌集その他の礼書類。
           E 祭服・祭式服、念珠、聖杖、ヴェール等の祭服類。
       ④ 輸入許可の日から2年以内に
           特定用途以外に供された場合は除外され、課税される(関税定率法)。

行政手続

                                          (ドイツ・シュツッツガルトのテレビ塔から)

 

ⅩⅠ 宗教法人における財務会計の諸問題

  1 宗教職の保障制度

     ⑴ 宗教職の負傷・疾病

       ㋑ 宗教職の職務上の負傷。
          例えば、①古い境内の施設建物などの破損などによる負傷。
              ②境内の施設建物などの保守修理中の事故。
              ③伝道布教・宗教活動に移動中の事故。
       ㋺ 宗教職の職務上の疾病。
          例えば、①面談した信者・求道者などから罹患。 
              ②訪問した家庭・病院・施設などでの罹患。
              ③視察した海外での罹患。 
       ㋩ 労働者の業務災害や通勤災害に相当する負傷・疾病です。
       ㋥ 宗教職には、精神的疾患に陥る可能性があります。
       ㋭ 宗教職のための負傷・疾病の保障制度が必要です。 

     ⑵ 宗教職の婚姻・育児・扶養・介護

       ㋑ 宗教職の婚姻・出産(または配偶者の出産)・離婚・養子縁組・離縁など。
       ㋺ 宗教職の子女の育児・教育・就学・進学・婚姻・負傷・疾病・入院・死亡など。
       ㋩ 宗教職の扶養家族の扶養・負傷・疾病・看護・介護・入院・死亡など。
       ㋥ 高額の出費が必要なことがあります。
       ㋭ 宗教職のための家族関係の保障制度が必要です。 

     ⑶ 宗教職の退職

       ㋑ 定年制のある宗教団体の宗教職の退職。
       ㋺ 宗教職の負傷・疾病・入院・施設入所などによる退職。
       ㋩ 宗教職の扶養家族の看護・介護・入院・施設入所などによる退職。
       ㋥ 宗教職およびその家族の諸事情による転居・移住などによる退職。
       ㋭ 宗教職の退職に伴う保障制度が求められます。  

     ⑷ 宗教職の死亡

       ㋑ 宗教職の職務上の事故・負傷・疾病に起因する死亡。
       ㋺ 宗教職の在職中の死亡。
       ㋩ 宗教職の死亡の場合の保障制度が必要です。  

     ⑸ 宗教職の遺族

       ㋑ 宗教職の突然の死亡による遺族のための保障制度は重要です。
       ㋺ 宗教職の被扶養者家族の宗教専門職の死亡後の生活・修学の保障制度は必要です。
       ㋩ 宗教職の遺族のための保障制度が必要です。

  2 キャッシュレス社会の問題

     ⑴ キャッシュレス化のメリット

       ㋑ 現金管理の費用削減
           支払う個人も、営業の企業も、現金管理の費用が削減される。
           企業も、個人も、現金決済によるミスも削減される。
       ㋺ 支払い手数料の削減   
           支払いのための送金手数料が削減される。
       ㋩ 入金確認の簡潔化   
           電子決済による入金は、即時決済となり、入金確認が容易である。

     ⑵ キャッシュレス化のデメリット

       ㋑ 設備投資の必要
           キャッシュレス化をするには、設備投資が必要である。
           電子決済端末や決済管理設備の設置が必要である。
       ㋺ 手数料の必要
           キャッシュレス化の決済には、手数料が必要である。
           手数料の負担を理由に、値上げが起こりうる。 
       ㋩ 停電による機能停止
           台風・地震・火災などによる停電で機能が停止してしまう。
           電力会社の事故や自社の電気事故でも機能が停止してしまう。
       ㋥ 利用者の問題
           利用者にも一定の設備費用(スマホなど)が必要である。
           すべての国民が利用できるとは限らない。
           外国からの旅行者には不便ともなる。 
       ㋭ 利用者の問題
           現金とは異なり、金銭感覚が鈍くなり、金銭管理を欠く恐れがある。
           外国旅行をするとき、利用できないこともある。
       ㋬ 利用者の問題
           電池切れなどで、端末が使用できないと、利用できなくなる。。
           端末の窃盗・亡失などで利用できなくなり、悪用されるおそれがある。    

     ⑶ キャッシュレス化を進めた国家の理由

       ㋑ キャッシュレス化の推進
           最も進んでいるのは「中国」、最も遅れているのは「日本」。
       ㋺ 通貨偽造・変造の対策
           通貨の偽造・変造への決定的な対策である。
           偽札・偽貨を取締るコストが削減できる。
       ㋩ 造幣予算の削減
           貨幣・紙幣を製造するコストが削減される。
           貨幣・紙幣を管理するコストが削減される。
       ㋥ 国民収支の透明化
           国民の入出金・支払先・使途などが管理できる。     
           国民の隠し金・裏金・脱税などをできなくする。
       ㋭ 現金犯罪の抑制
           現金がなければ、窃盗・詐欺・横領犯罪はなくなる。
           治安が維持され、警察・刑務所などが軽減できる。
       ㋬ 企業経営の合理化
           企業の収支(売上・支払い)が簡潔で正確になる。
           企業の業務負担が軽減される。
       ㋣ 国民情報の管理
           キャッシュレス化により、国民行動が監視できる。
           国民の諸情報(ビッグデータ)が管理される。
       ㋠ 日本では、
           現金の信頼度が高く、偽札の流通も少ない。
           キャッシュレス化の費用負担を否む傾向がある。

     ⑷ キャッシュレス化と宗教団体・宗教法人

       ㋑ 宗教団体・宗教法人の決断
           社会情勢に対応するキャッシュレス化の検討が必要。
           それぞれの宗教活動の目的・趣旨に応じた検討が必要。      
       ㋺ キャッシュレス化の可否
           基本的に、営業行為と類似・同様の活動には、可能。
           概して、特殊な対応が必要な宗教活動には、不可能。  
       ㋩            

  3 宗教法人会計の特殊性と問題点

     ⑴ 宗教法人としての会計

       ㋑ 宗教法人の目的は、主として財産の所有・維持運用
         Ⓐ 宗教法人会計は、歴史的経緯から、「宗教財産の維持」が第一。
         Ⓑ 損益中心の企業会計とは異なる。
         Ⓒ 宗教法人としての会計は財産管理会計といえる。    
       ㋺ 公益事業を行う宗教法人にあっては、公益事業の事業会計
       ㋩ 収益事業を行う宗教法人にあっては、特別会計として、収益事業会計

     ⑵ 宗教団体の財務部門としての会計

       ㋑ 宗教法人の会計は、宗教団体の会計ともなる。
       ㋺ 宗教法人としての会計では、宗教団体としての会計を満足できない。
       ㋩ 宗教活動を展開する宗教団体の財務部門としての責任。   

     ⑶ 求められる宗教法人の会計

       ㋑ 宗教法人の会計は、宗教団体の教義教理、歴史伝統、慣例慣習などを完全に生かす必要がある。
       ㋺ 宗教団体の宗教活動を円滑かつ効果的に展開推進しうるための会計であること。 
       ㋩ 損益中心の企業会計の原則に従ったのでは、宗教団体の本旨を全うできない。
       ㋥ 予算中心の公共会計の原則に従ったのでは、宗教活動を制約する恐れがある。
       ㋭ 宗教経営の理念にそう宗教法人会計が必要。              

☆☆☆   『キャッシュレス社会と宗教活動』発行

・   2020年6月20日、一般財団法人京都仏教会から、論文集『キャッシュレス社会と宗教活動』が発行されました。 
・   所収論文: 
・     ① 洗建「宗教法人に及ぶキャッシュレス決済の問題」  
・     ② 田中治「宗教法人非課税の根拠とキャッシュレス」  
・     ③ 櫻井圀郎「キャッシュレス化社会における宗教活動と宗教団体の責任」  
・     ④ 柏崎久雄「社会の変動に対する宗教の在り方」  

・            

                                               (カンボディア・シュムリアップにて)

ⅩⅡ 宗教法人・宗教関連企業のファイナンス

  1 資金の融通

       ㋑ 
         。 

  2 債務の保証

       ㋑ 
         。 

  3 財務の企画

       ㋑ 
         。 

  4 債券の発行

     ⑴ 「教会債」

       ① 基督教会で、教会堂の建設などに際して発行される、教会員からの金銭の借用証書です。
       ② 記名式で、裏書譲渡が可能な、有価証券です。
       ③ 有利子のものもあれば、無利子のものもあります。
       ④ その後の献金収入が増加しない限り、返済不能に陥る可能性があります。
       ⑤ 正確な収支予算・決算に基づいた、適正な財務計画による発行が必要です。
       ⑥ 返済不能に陥り、「献金」という「債権放棄」を求める弊害が問題となっています。

     ⑵ 「宗教債」

       ① 「神社債」「寺院債」など、宗教団体の収支計画の一つとしても考えられます。
       ② 基礎としての財務組織および財務規則を確立する必要があります。
       ③ 適正妥当な財務計画を立案できる体制を構築する必要があります。
       ④ きちんとした「債券約款」を作成し、公示する必要があります。
       ⑤ 種々の財務上および法律上の問題を考え、対応策を講じておく必要があります。 

  5 資産の運用

     ⑴ 資産の運用

       ㋑ 
         。 

     ⑵ 資産運用計画

       ㋑ 
         。 

                                                 (中国・樂山の樂山大仏) 

ⅩⅢ 宗教施設の管理会社

  1 時代の変革と施設管理

     ⑴ 境内地・境内建物・宗教施設は、
         信者の布施・献金など浄財によるのが原則です。
     ⑵ 時代の要請による、
         耐震工事や近代設備、人々の必要に応じた設備には、
         多額の資金が必要です。
     ⑶ 地震・台風・洪水など、突然の災害により、
         大きな損害を受けた場合、それを修復する財源には欠きます。

  2 時代の変革と施設管理

     ⑴ ひとつの新しいアイディアとして、
         株式会社方式による、施設の管理も考えられます。
     ⑵ 信者・崇敬者・協力者に株式投資をしていただき、
         財源を確保する方式です。
     ⑶ 詳細はお尋ねください。

                                          (大阪市浪速区恵比寿の「通天閣」)

XⅣ 宗教と税務

  1 

     ⑴ 。
     ⑵

  2 論文・記事・講演 

     ⑴ 論 文

       「ペット供養課税所分取消訴訟判決と宗教判断基準」『宗教法』(2006年)
       「沐浴道場への固定資産税の賦課」『宗教法』(2015年)
       「資産税課税目的による宗教性判断の是非
          〜回向院動物供養施設課税所分取消訴訟控訴判決〜」『宗教法』 
       「宗教の判断基準」『キリストと世界』
       「宗教と税制」  

     ⑵ 記 事 

       「宗教とは何か、税務署に決定権があるのか」『クリスチャン新聞』 
       「ペット供養は宗教活動でないとして課税、
          宗教法人の原則非課税とは何か」『クリスチャン新聞』 
       「他山の石ではない、ペット供養課税処分取消訴訟判決」『キリスト新聞』 
       「慈妙院『ペット供養』、最高裁判決の問題点」『佛教タイムス』 
       「『回向院判決』と宗教法人への固定資産税賦課の問題点」『中外日報』 
       「宗教法人の境内地(教会の敷地)なのに、
          公衆電話と清涼飲料水の自販機の設置部分には課税?」『クリスチャン新聞』 
       「教会への税務調査、必要な法律の知識」『クリスチャン新聞』 
       「『宗教課税の強化』とは何か?」『佛教タイムス』 
       「『ペット供養』課税処分取消訴訟判決、
          税務署が『宗教』を判断してよいのか?」『寺門興隆』 

     ⑶ 講 演

  3 当事務所の対応

     ⑴ 当事務所では、
         信教の自由の問題・宗教活動上の問題として税務上の問題を考えています。
     ⑵ また、
         宗教団体・宗教法人運営上の問題、境内建物・境内地管理上の問題として
         税務問題を考えます。
     ⑶ 宗教上の問題として考えますから、
         現実の税務とは必ずしも一致しません。
     ⑷ 宗教上の問題とは無関係な
         「税務相談」「税務手続」などは一切行っていません。
     ⑸ 当事務所で扱うのは、
         税務に関する宗教上および宗教法上の意見です。
     ⑹ 最終的な結論は、
         税法学者、税理士、公認会計士その他の税務専門家と協議の上になります。

・ 

XⅤ 宗教団体・宗教法人の会計・監査

  1 

     ⑴ 。    

(米国・カリフォルニア・パサデナの住宅)

Los-Angeles