宗教と法

目 次

  Ⅰ 宗教と法
  Ⅱ 宗教の法
  Ⅲ 信教の自由
  Ⅳ 聖俗の分離
  Ⅴ 宗教非課税の原則
  Ⅵ 宗教と国家
  Ⅶ 宗教と社会
  Ⅷ 宗教と倫理

Ⅰ 宗教と法

  1 神と法

    ⑴ 古代エジプト

① 古代のエジプトでは、神オシリスが、人々に文明をもたらし、法を定め、神信仰を勧奨しています。
② BC3400年頃、南北統一王朝のメネス王に、神ヘルメスが、法を授与したといわれています。

    ⑵ 古代バビロン

① 古代のバビロンでは、太陽神シャマシュが、ハンムラピ王に法を授与しています。
② いわゆる「ハンムラピ法典」です。

    ⑶ 古代ギリシャ

① 古代ギリシャでは、最高神ゼウスが、法を付与している。
② ギリシャ語で「」を意味する語には、「テミス」「ディケ」「ノモス」の三つがあります。
③ 「テミス」は、神の叡智を表し、「法なるが故に正義なり」とするものです。
④ 「ディケ」は、暴力に対抗し、「正義なるものが法なり」とするものです。
⑤ 「ノモス」は、神が人間に課した規則のことです。

    ⑷ 古代ローマ

① 古代ローマでは、「」は「正義の実現」を目的とする「神の意思」と理解される。
② 「法の解釈」を誤ると「神の意思」を損なうので、「法の解釈」は「神官の仕事」とされました。
③ ギリシャでは、「文字通り」に法を適用する形式主義でしたが、
  ローマでは、法の解釈による神の真意を求め、正義の実現を求める実質主義に移行しました。

    ⑸ 中南米の文明

① インカ帝国では、神々の中の神ピラコチャが、人々に知識・技術を与え、法を付与しています。
② アステカ文明では、神ケツアルコアートルが、法を制定しています。
③ マヤ文明では、神ククルカンが、法を制定しています。

    ⑹ 猶太教(ユダヤ教)・基督教(キリスト教)・イスラーム(イスラム教)

① 猶太教(ユダヤ教)・基督教(キリスト教)・イスラーム(イスラム教)は、共通して、その原点を『聖書(旧約聖書・タナハ)』に置いています。
② 「聖書(タナハ)」は、㋟律法(トーラー)、㋤預言書(ナビーム)、㋩諸書(ケスビーム)からなります。
③ 「律法」は、ヘブライ語で「トーラー」といいます。「」という意味です。
④ 「律法(トーラー)」は、「創成期」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」の5書からなっています。
⑤ 「預言書(ナビーム)」は、預言者による神の言葉ですが、「律法の解釈」という側面をもっています。
⑥ 猶太教の「タルムード」は、律法学者による「律法の解釈」という側面をもっています。
⑦ 基督教の「新約聖書」は、イエスと弟子たちによる「律法の解釈」という側面をもっています。
⑧ イスラームの「クルアーン(コーラン)」は、ムハンマド(マホメット)による「律法の解釈」という側面をもっています。

  2 神学と法学

    ⑴ 神学の形成

① 基督教が生まれて、11世紀、ローマの教会西方教会)とコンスタンティノポリスの教会東方教会)との神学・実践上の差異が大きくなり、ついに西のカトリック教会と東の正教会(オーソドック教会)とに分裂します(教会の東西分裂)。
② 西方教会は、ラテン語で、ローマ法学を基礎に、神学を形成します(法学的神学)。
③ 東方教会は、ギリシャ語で、ギリシャ哲学を基礎に、神学を形成します(哲学的神学)。
④ ラテン語「カトリカ」は「普遍」という意味であり、ギリシャ語「オルソ・ドクサ」は「正統な教義」という意味です。つまり、「普遍的な教会」と「正統な教会」という意味です。

    ⑵ 神学と法学

① 新約聖書が閉じられた後、年数を重ねると、社会の変化・地域の拡大に伴い、聖書の適用上の問題が生じます。
② 西方教会では、ローマ法学の「法律の解釈」に範を得た「聖書の解釈」が始まります。
③ 聖書解釈学は、法律解釈学に倣いますが、後に、基督教社会となると聖書解釈学が進み、法律解釈学がそれに倣います。
④ その後も、法律解釈学と聖書解釈学は、相互に学び合い、影響し合いながら、進歩します。

    ⑶ ローマ法とカトリック教会

① ローマ法は、ローマ帝国の法ですが、帝国の分裂(西ローマ帝国と東ローマ帝国)に伴い、二分します。
② 西ローマ帝国の崩壊後は、ローマ・カトリック教会が、ローマ法の伝統を継承します。
③ ローマ法を扱ったのは、カトリック教会の両法博士(両法=聖法と俗法)たちです。
④ カトリック教会がローマ法を継承したのは、役1000年間です。その間に、両法の同化を図ります。
⑤ 近代になり、ボローニアとパリに大学ができると、以後、法律の伝統は大学が継承することになります。
⑥ 日本の法律は、明治期に、西欧法を継承したものですから、この伝統を継承しています。 

Ⅱ 宗教の法

 1 基督教(キリスト教)

     ⑴ 「聖書」 

・  ① 「聖書は、信仰と生活の唯一の規範である」とされています。
・  ② 「聖書」が、宗教活動だけでなく、社会生活においても、「最高の法」とされています。
・  ③ 「聖書」は、「神の霊感」によって書かれた「神の法」だからです。

    ⑵ 信仰告白

・  ① 「聖書」の教理を総括し、簡潔に表現したものとして、「信仰告白」があります。
・  ② 「使徒信条(使徒信経)」= ほとんど全ての基督教会(キリスト教会)が採用しています。
・  ③ 「信仰告白」= プロテスタントの多くの教派・教団・教会が、独自の「信仰告白」を出しています。
・       改革派系  「ウェストミンスター信仰告白」「ハイデルベルク信仰問答」など
・       
・   
・  ④ 「信仰問答」
・   
・   
・        

    ⑶ 口伝・教皇令

・  ① カトリック教会においては、   
・  ② 

    ⑷ 教会法

・  ① カトリック教会の「教会法」   
・      カトリック教会はヴァチカン教皇庁を頂点とする全世界の一つの教会ですから、全世界の教会基本法です。  
・      公用語はラテン語なので、日本では、ラテン語と日本語の対訳の『教会法』が用いられています。  
・  ② プロテスタント教会の「教会憲法」  
・      教派・教団・教会により、「憲法」「教憲」「教規」「教会規程」「政治基準」など呼称は様々です。  
・      米国、英国。独国、仏国、西国などを本部とする教派にあっては、英語、独語、仏語、西語などの教会憲法が正本とされています。

 2 仏教

 3 神道

 4 イスラーム

 5 諸宗教

    ⑺ ヒンドゥ教・仏教

「仏法」「戒律」

    ⑻ 神社神道

神の意思を窺う「神判」が、女王卑弥呼ら巫女の手に。
「祝詞(のりと)」は、神からの託宣である「法(のり)」を意味。

Ⅲ 「信教の自由」

 1 個人の「信教の自由」

 2 信者の「信教の自由」

 3 宗教職・宗教専門職の「信教の自由」

 4 宗教団体の「信教の自由」

Ⅳ 「聖俗の分離」

 1 宗教と国家

     ⑴ 宗教の法(聖法)と国家の法(俗法) 

・  ① 
・  ② 

     ⑵ 宗教の契約と世俗の契約 

・  ① 宗教における神仏と信者との関係は「聖約(聖なる宗教上の契約)」として捉えられています。
・  ② 基督教における「神と民との契約」「贖いの契約」「恵みの契約」「救いの契約」「基督との契約」など。
・  ③ 基督教における契約としての「洗礼」「ミサ」「聖餐」「主日礼拝」など。
・  ④ 猶太教における契約としての「割礼」「安息日」「犠牲」など。
・  ⑤ 仏教における「仏との結縁」「灌頂」など。
・  ⑥ そもそも、地上における「契約」は「聖約」が世俗化されたものです。
・  ⑦ 例えば、「意思主義契約法」「不法行為の原状回復義務」など。
・  ⑧ しかし、「宗教の契約」を「世俗の契約法」で解釈するのは正当ではありません。
・  ⑨ 強行規定に抵触しない限り、「宗教の契約」は「宗教の論理」に従い、「世俗の法律」が及びません。

     ⑶  

・  ① 
・  ② 

 

 2 宗教団体と営利企業

 3 宗教法人と会社・法人

Ⅴ 宗教非課税の原則

 1 宗教の聖性

 2 宗教の非営利性

 3 信教の自由の保障

Ⅵ 宗教と国家

Ⅶ 宗教と社会

Ⅷ 宗教と倫理

論文

 櫻井圀郎「キリスト教法理学序説」(東京基督神学校)
 櫻井圀郎「」
 櫻井圀郎「日本社会と神の法」『神と世界と日本と』(共立基督教研究所)
 櫻井圀郎「日本における法と信仰」『神と世界と日本と』(共立基督教研究所)
 櫻井圀郎「神の世界とキリスト者」『神と世界と日本と』(共立基督教研究所)
 櫻井圀郎「聖書の信仰と日本人の法意識」(東京キリスト教学園)
 櫻井圀郎「」
 櫻井圀郎「」
 Kunio Sakurai, Law and Charisma in the Reformed Ecclesiology( Fuller Theological Seminary)
 Kunio Sakurai, Law, Legal Thought and Missions in Evangelical Dictionary of the World Missions (Baker)