宗教団体

                    (ウズベキスタン・タシケントのロシア正教会)

このページの目次

Ⅰ 宗教団体とは

Ⅱ 宗教団体の設立

Ⅲ 宗教団体の基範

Ⅳ 宗教団体の組織

Ⅴ 宗教団体の活動

Ⅵ 宗教団体における倫理

Ⅶ 宗教団体のガバナンス

Ⅷ 宗教団体と法律上の責任

  5 職員の労働条件

Ⅸ 宗教団体と法人番号

Ⅰ 宗教団体とは

  1 宗教上の「宗教団体」とは

宗教の教義・歴史・実践上は、「宗教活動」を行う、次のような団体をいいます。
・  ① 教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区などの団体。
・  ② 神社、寺院、教会、修道院などの団体。

  2 法律上の「宗教団体」とは

宗教法人法では、「宗教活動」を主たる目的とする、次のような団体をいいます。
・  ① 「礼拝の施設」を備える、神社、寺院、教会、修道院などの団体。
・  ② ①の団体を包括する、教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区などの団体。

  3 「宗教法人」と「宗教団体」

⑴ 宗教法人法により「宗教法人」となることができるのは、上記2の「宗教団体」でなければなりません。
⑵ 宗教法人法では、「宗教団体が宗教法人となる」と規定されています。
⑶ したがって、「宗教団体」は「宗教法人」の基礎です。
⑷ しかし、「宗教団体が宗教法人となる」という法律の規定にも拘らず、「宗教団体」がそのまま「宗教法人」に移行する訳ではありません。
⑸ 「宗教法人」は、「宗教団体」の「礼拝の施設」その他の財産を所有し・維持運用するための法人です。
⑹ 「宗教活動」の主体は、依然として「宗教団体」です。
⑺ とはいえ、「宗教団体」と「宗教法人」とが、別々の存在として、あるわけではありません。
⑻ 「宗教団体」と「宗教法人」とは、一体のものとして存在します。
⑼ ただし、「宗教法人」は専ら財務管理など「世俗の事務」に限定的に存在します。

Ⅱ 宗教団体の設立

  1 新たに「宗教活動」を始める……

⑴ 「宗教活動」は、個人でも行うことができますが、体系的に行うには、「宗教団体」が必要となります。
⑵ そのため、新たに「宗教活動」を始めるには、「宗教団体の設立」が必要になります。

  2 「宗教団体の設立」には……

⑴ 「宗教団体」は、次のいずれか一の者または二以上の者が、設立者または発起人として、設立します。
・  ① 教祖・教主・開山師・伝道者・宣教師など宗教を主宰する「宗教主宰者
・  ② 専門的知識と技能により宗教を宣布・指導・教育する「宗教職
・  ③ 宗教を信仰し、神仏を崇敬・崇拝する「信者
⑵ 「宗教団体」は、宗教の教義・歴史・伝統・実践などにより、それぞれ独特の組織・形態・構成をとることが必要です。
⑶ 「宗教団体」の設立には、次の事項を明確に定めることが必要です。
・  ① 宗教の教義・教理、歴史・伝統、実践項目、信仰基準
・  ② 宗教の名称および宗教団体の名称
・  ③ 宗教主宰者・宗教職・役員・信者
・  ④ 礼拝施設、宗教施設、境内建物、境内地
・  ⑤ 宗教活動の内容
・  ⑥ 資産の状況
⑷ 「宗教団体」の設立には、下記Ⅲの「基範」を定めることが必要です。

  3 当事務所では……

①宗教の教義、②宗教主宰者・宗教職、③信者、④礼拝施設、宗教施設、境内建物、境内地の存在、⑤宗教活動の実態、⑥資産の状況などを、㋑適切に調査し、㋺精査し、㋩関係者との協議を重ね、最もふさわしい形態と組織での「宗教団体の設立」を提案します。

Ⅲ 宗教団体の基範

  1 日本の宗教団体の多くは……

⑴ 「西欧の法意識」に対して「日本人の法意識」は、「法を嫌う」傾向があります。
⑵ そのため、日本の宗教団体の多くは、「法律」や「規則」を嫌い、「文字に書かれた規範」を持ちませんでした。

  2 日本の宗教団体の多くでは……

⑴ 日本の宗教団体の多くでは、「書面に書かれた規則」を「無味乾燥」と感じて厭う傾向にありました。
⑵ それよりも、宗教主宰者や宗教職の「生きた言葉」による直接の統治・運営が好まれる傾向がありました。

  3 現代の日本社会においては……

⑴ しかし、現代の日本社会においては、宗教団体の存在、目的、組織、運営、責任体制などを、「文字」によって「明らか」に定めておくことが求められています。
⑵ そこで、「既製品の規則」「モデル規則」などを用いて、形式的には、規範化された団体を装うことが多々あります。
⑶ それでは、宗教団体の独自・特別の教義・伝統・信仰・実践などを適切に反映し、適正な運営ができなくなるおそれがあります。
⑷ また、意図しない不都合が生じて、運営に頓挫したり、宗教活動自体の制限や中止に繋がってしまうこともあります。

  4 宗教法人を設立すると……

⑴ 「宗教団体の基範」を持たないまま、宗教法人を設立する事例も多々あります。
⑵ 歴史的な宗教団体・宗教法人には、「宗教団体の基範」を持たないところが多々あります。
⑶ そこでは、「宗教法人の規則」が唯一の規範となり、あたかも「宗教法人の下で宗教活動」が行われている様相を呈しています。
⑷ 「宗教法人が宗教活動を行う」という誤解がそのまま現実となっています。
⑸ それでは、「信教の自由」が確保できません。
⑹ そもそも、「世俗の事務」のみを行う「宗教法人」が「宗教活動」を行うことはできません。
⑺ また、宗教法人の意思を決定する責任役員にも、宗教法人を代表する代表役員にも、「宗教上の権限」はありませんから、極めて不都合な状態となっています。

  5 当事務所では……

⑴ 「包括宗教団体」「被包括の個々の宗教団体」「単立の宗教団体」に、それぞれ、「必要にして適切な基範」を明文化することを勧めています。
⑵ 同じ宗教や同じ宗派教派であっても、各団体ごとに組織や活動内容は異なります。
⑶ 他の団体と「同じ基範」「類似の基範」では、必ずしも自団体の組織や活動を定められることはないでしょう。
⑷ 当事務所では、各団体ごとに、各団体の組織や活動を「詳細に聴聞」し、「実地調査を重ね」ながら、その団体に最もふさわしい「独自の基範」を作成しています。

  6 当事務所では……

⑴ 宗教団体の根本規範を、次の3つで考えています。
・  ① 宗教聖典  聖書・記紀・仏典・預言書・教祖著書など。
・  ② 基本教義  団体の信仰の基本・基礎を簡潔明瞭に規定したもの。
・  ③ 団体基範  団体の基本規約。当事務所では「基範」と称しています。
⑵ その下に「宗教法人の規則」がきます。

  7 「基範」は……

⑴ 「基範」は、単なる法律文書ではなく、宗教団体の基本・基礎となる諸事項を規定する重要な文書です。
⑵ 「基範の策定」には、㋑ 当該宗教団体の宗教的基礎を知悉し、㋺ 当該宗教団体の統治・運営に関する実態や必要を認識し、㋩ 当該宗教団体に適切妥当なものを思索する必要があります
⑶ 「基範」によって、当該宗教団体の存在などを簡潔明瞭に表すことができます。
⑷ 「基範」は、㋑社会に向かって当該宗教団体の責任を明らかにすることができ、㋺当該宗教団体の存在意義や活動が理解されるものである必要があります。

  8 当事務所では……

⑴ 当事務所では、次のことをお考えの宗教団体の関係者の方からのご相談をお待ちしております。
・  ① 新しい基範の策定
・  ② 従来の規則(宗憲、教憲、宗法、宗制、宗規、教規、憲法など)の改正
⑵ とりあえずは、「無料相談」をご利用ください。
⑶ 方針がお決まりでしたら、「来所予約」をして、ご相談においでください。

  9 各宗教団体の例……

    ⑴ 教会法典(カトリック教会)

第Ⅰ集 総則

  教会の法律、慣習、一般的決定および訓令、個別的行政行為、規則および規程、
  自然人および法人、法律行為、統治権、教会職、時効、期間の計算

第Ⅱ集 神の民

  第Ⅰ巻 キリスト信者
        すべてのキリスト信者の義務および権利、信徒の義務および権利、
        聖務者すなわち聖職者、属人区、キリスト信者の会
  第2巻 教会の位階的構成
        教会の最高権威、部分教会とその権威、部分教会の集合体、
        部分教会の内部機構等教皇、枢機卿、教皇庁、
        司教、司祭、管区、教区
  第3巻 奉献生活の会と使徒的生活の会
        奉献生活の会とりわけ修道会、在俗会、使徒的生活の会

第Ⅲ集 教会の教える任務 

  神のことばの奉仕職、教会の宣教活動、カトリック教育、
  マス・メディアおよび特に書籍、信仰宣言

第Ⅳ集 教会の聖化する任務

  秘跡(洗礼、堅信、聖体、ゆるし、病者の塗油、叙階、婚姻)、
  他の聖なる崇敬行為、聖なる場所および時

第Ⅴ集 教会の財産 

  財産の取得、財産の管理、契約および特に譲渡、信仰上の贈与、信仰上の財団

第Ⅵ集 教会における制裁

  犯罪および刑罰の総則
    犯罪の処罰一般、刑法および刑罰的命令、刑罰制裁の対象者、
    刑罰および他の処分、刑罰の適用、刑罰の消滅
  各種犯罪に対する刑罰
    信仰および教会の一体性に反する犯罪、
    教会の権威および教会の自由に反する犯罪、
    教会の任務の侵害およびその行使に関する犯罪、
    誣告および偽造の犯罪、特殊義務に反する犯罪、
    人の生命および自由に反する犯罪

 

                            (中国・無錫の太湖)

Ⅳ 宗教団体の組織

 1 宗教団体の組織のあり方

㋑ 宗教団体は、宗教団体の教義・伝統・実践などの実態に応じて、適切に組織する必要があります。
㋺ 宗教団体に考えられる組織のあり方には、例えば、次のようなものがあります。
① 教祖・教主等の「個人」により運営される組織
② 教主等と役員・世話人により組織された「組合」により運営される組織
③ 教主・役員等の出資による「人格のない財団」
④ 教主・役員等の出資による「一般財団法人」
⑤ 信者の全員の出資に基づく「人格のない財団」
⑥ 信者の全員の出資に基づく「一般財団法人」
⑦ 教主・役員等を構成員とする「人格のない社団」
⑧ 教主・役員等を構成員とする「一般社団法人」
⑨ 教主・役員等を社員とする「合同会社」
⑩ 教主・役員等を株主とする「株式会社」
(11) 信者の全員を構成員とする「人格のない社団」
(12) 信者の全員を構成員とする「一般社団法人」
㋩ 上記以外にも、様々な形態の組織が想定されます。
㋥ 当事務所では、当事者との綿密な打ち合わせ・協議および実態調査に基づいて、最もふさわしい組織を提案します。

 2 「人格のない財団」「一般財団法人」としての宗教団体

⑴ 一定の出資金や宗教用具・宗教施設などの資産を有して、宗教団体を組織する場合、「人格のない財団」として組織することが適切な場合があります。
⑵ 「人格のない財団」であっても、最高裁判決、訴訟法、税法、社会法などでは、法人と同一・同様の取り扱いがされます。
⑶ もちろん、「一般財団法人」として、設立することも可能です。
⑷ 「宗教法人」と「一般財団法人」との違いは、前者が、「宗教団体」がそのまま存続して、「宗教活動」を行い、「単に財務管理のみ」を行う「宗教法人」を設立するものであるのに対して、後者では、「人格のない宗教団体」としては解散し、「一般財団法人としての宗教団体」として設立する点です。

 3 「人格のない社団」「一般社団法人」としての宗教団体

⑴ 信者を構成員として宗教団体を組織する場合、第一に、「人格のない社団」とするのが適切です。
⑵ 「人格のない社団」であっても、最高裁判決、訴訟法、税法、社会法などでは、法人と同一・同様の取り扱いがされます。
⑶ もちろん、「一般社団法人」として、設立することも可能です。
⑷ 教派・宗派・教団などを「人格のない社団」「一般社団法人」として設立することも可能です。
⑸ この場合、教派・宗派・教団などに所属の神社・寺院・教会などを「社員」とする「社員総会」が「最高意思決定機関」となりますから、所属の神社・寺院・教会などが対等の権利を持って運用する「連合」「連合会」「連盟」「協議会」など連合型の教派・宗派・教団などに最も適合しています。
⑹ 「宗教法人」と「一般社団法人」との違いは、前者が、「宗教団体」がそのまま存続して、「宗教活動」を行い、「単に財務管理のみ」を行う「宗教法人」を設立するものであるのに対して、後者では、「人格のない宗教団体」としては解散し、「一般社団法人としての宗教団体」として設立する点です。

 4 「合同会社」としての宗教団体

㋑ 信者を構成員として宗教団体を組織する場合に、「合同会社」とすることも考えられます。
㋺ 昔は、宗教団体を「会社」組織とすることがしばしばありました。

 5 「株式会社」としての宗教団体

㋑ 信者を構成員として宗教団体を組織する場合、「株式会社」とするのが適切であることもあります。
㋺ 「株式会社」の場合、株式によって、会社の資産を分担することになりますから、宗教施設を信者の公平な負担によって所有・維持運用しようとするのに適しています。
㋩ 例えば、入信入会の際に、全員共通で1株を購入し、退会時には売却するという方法もあれば、各人の資力に応じて株を購入してもらえば、株式数に応じた議決権が得られ、負担に応じた議決権が保証されます。
㋥ 具体的な設立・組織・運営の方法は、綿密な協議を経て、慎重に検討します。

Ⅴ 宗教団体の活動

 

Ⅵ 宗教団体における倫理

  1 宗教団体の倫理

⑴ 宗教主宰者による宗教的指導

⑵ 教義に従った適正な運営

⑶ 宗教職の認定・指導・監督

⑷ 所属宗教団体の指導・監督・援護・救済

⑸ 教義に反しない限りにおける法律の遵守

⑹ 不正・不当・暴力・ハラスメントの禁止

  2 宗教職の倫理

⑴ 絶対帰依

宗教職は、神仏に絶対帰依し、出家・献身・奉職し、神仏に奉仕する者であり、専ら神仏の法・言葉に従い、宗教活動に専心する者。

⑵ 教義と法律

① 教義の遵守
② 教義に反しない限りでの法律の遵守

⑶ 信者への責任

① 信者の宗教的指導
② 信者の宗教上の秘密の厳守

⑷ 社会的責任

① 犯罪・違法・不正・不当行為の防止・抑制
② 暴力の追放
③ ハラスメントの禁止
④ プライバシー・個人情報の保護

  3 「倫理規程」の作成


 

Ⅶ 宗教団体のガバナンス


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Ⅷ 宗教団体と法律上の責任


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  5 職員の労働条件

    ⑴ 労働者としての職員   

㋑ 宗教団体の職員にも、労働基準法は適用されます。
  Ⓐ 宗教団体に使用されて、対償(賃金)を得て、労働に従事する場合です。
    ⓐ 対償(賃金)を得ない者は、労働者に当たりません。
    ⓑ 使用されていない者は、労働者に当たりません。  
  Ⓑ 宗教団体の宗教主宰者は、労働基準法上の労働者には当たりません。
    ⓐ 総裁、会長、管長、議長、宮司、住職、司教、司祭、牧師など。
    ⓑ 宗教主宰者以外の宗教職も、労働者に当たりません。
    ⓒ ただし、宗教団体によっては、上長の指揮監督下で業務に従事する労働者という立場の者もあります。
㋺ 宗教団体の職員であっても、労働基準法上の労働者に当たらない場合もあります。
  Ⓐ 宗教職が、専ら宗教的立場で、職員を務める場合。
  Ⓑ 信者が信仰上の奉仕として職員を務める場合。
  Ⓒ 宗教職が職員を兼職する場合は、職員兼職に関しては労働者となります。

    ⑵ 労働時間・休憩・休日   

 

    ⑶ 時間外労働・休日労働   

㋑ 宗教団体の職員は、
  Ⓐ 毎日定型的な作業を行う営利企業の従業員とは異なります。
  Ⓑ 常に、定時出勤の定時退社というわけにはいきません。
  Ⓒ 休日の勤務が必要になることもあります。
㋺ 宗教団体特有の儀式行事による時間外労働・休日労働が必要になります。
  Ⓐ 大祭・大法要・立教行事・特別儀式・クリスマスイブ・年末年始など。  
  Ⓑ 職員も、信者としての立場で参加する場合には、適用外です。
㋩ 時間外労働・休日労働をするには、
  Ⓐ 労働基準法上の義務はなくても、就業規則を作成することが必要です。
  Ⓑ 時間外労働・休日労働には、労働基準法の適用があります。
  Ⓒ 職員代表との間において、労基法36条に基づく協定(36協定)が必要です。 
  Ⓓ 協定したことを、労働基準監督署に届け出る(36協定届)ことが必要です。
㋥ 就業規則の作成・協定書の作成・協定届の作成は、
    事前に、当事務所にご相談ください。

 


Ⅸ 宗教団体と法人番号

1 「法人番号」は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)」に基づき、個人のマイナンバーに対応して、法人に指定される番号です。
2 「法人番号」は、国税庁が指定します。
3 法人でない社団・財団であって、国税に関係する手続きが適用になる場合には、法人ではありませんが「法人番号」が指定されます。
4 法人でない「宗教団体」であっても、法人税の申告義務や所得税の源泉徴収義務など、国税に関する手続きが適用になる団体であれば、「法人番号」が指定されます。

 

■ 参考文献

 

 

 

 

 

 

 

 

                             (沖縄のシーサー)