デジタル

                              (ドイツの教会)

このページの目次

Ⅰ 宗教のアナログとデジタル
Ⅱ ヴァーチャルとフィジカル(仮想と現実)
Ⅲ 人工知能(AI)と宗教
Ⅳ インターネット上の権利侵害
Ⅴ キャッシュレスと宗教
Ⅵ 電子情報の管理
Ⅶ 電子情報の防災
Ⅷ ビッグデータと危機管理
Ⅸ キャッシュレス化の公的補助
Ⅹ オンライン会議・テレワーク  
Ⅺ プロバイダ責任法
Ⅻ 電子メール制限法
XⅢ 電子署名  
XⅣ 電子公証
XⅤ 電子定款
XⅥ  
XⅦ 
xⅧ 
XⅨ 
XX 行政のデジタル化
XXi 裁判のIT化

 

 

Ⅰ 宗教のアナログとデジタル

 1 デジタル教義のアナログ理解

⑴ 宗教の教義・神仏の教理はデジタル的なものですが、人間は、それをアナログ的に理解し、説明してきました。

⑵ 永遠の神仏を、時空下にある人間が理解するには、修行、学習、悟り、体感など、アナログ的な方法によらざるをえません。

⑶ 人間の苦悩、心情、心理、感情などを理解し、愛、心、信、救いなどのメッセージをするには、アナログが適しています。

 2 宗教教義のデジタル提供

⑴ アナログ軽視の現代

現代社会は、アナログ的なものを軽視し、デジタル的なものを評価する傾向があります。

⑵ 宗教軽視の現代

それが、アナログ的に解された宗教教義を軽視・否定し、神仏を否定し、人間性を喪失した機械的な思考形態を生み出し、苦悩と疲労に満ち、解決策を失った、辛い人生観を生み出しています。

⑶ 教義のデジタル化

デジタル的な思考に深まった現代人に宗教教義を提供するには、宗教の教義・教理をデジタル的に説明することが有用です。

Ⅱ ヴァーチャルとフィジカル(仮想と現実)

 1 架空のウェブ世界と現実世界の宗教

   ⑴ 仮想空間と現実世界

コンピュータの作り出す世界は「架空・仮想の世界」ですが、「宗教」は「現実の世界」です。

   ⑵ 宗教と非宗教の区別

「宗教」と「非宗教」との判断基準は、「仮想か、現実か」の区別です。

 2 現実逃避の社会問題

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                       (中国江蘇省・蘇州の運河にて)

Ⅲ 人工知能(AI)と宗教

 1 「人工知能(AI)」とは

「AI(人工知能)」とは、現実世界のアナログ情報を切り取って、デジタル情報として知覚・記録し、特定のパターン認識から推論・予測して、行動計画を立て、その行動計画に基づいて行動する(行動させる)「機械」です。

 2 各々の働きの概要と問題点

  ⑴ 知覚

㋑ AIにおける「知覚」とは、現実世界に存在する「情報(アナログ情報)」を、センサーで切り取って「デジタル情報」として読み取ることを言います。
㋺ しかし、ここで読み取った「デジタル情報」は、「アナログ情報」とイコール(同じ)ではなく、目的に応じて、都合よく、「アナログ情報」の中から切り取って得たものです。

  ⑵ 認識

㋑ AIにおける「認識」においては、知覚した「デジタル情報デジタルデータ)」からパターンを読み取って、目的に合わせて「意味あるデータ」に変換することを言います。
㋺ AIには、人間には不可能な「膨大なデータ」を、短時間で読み取ることが可能ですから、データ処理においては、人間はAIにかないません。

  ⑶ 推論・予測

㋑ AIにおける「推論・予測」においては、人間行動で繰り返されている「パターン」から、特定の人の「行動」を推論し、予測します。
㋺ 例えば、特定の宗教の展開(主張・表現)パターンや、特定の宗教の信者の行動パターンなどから、特定の宗教の次の行動を予測するということを行います。

  ⑷ 行動計画と行動

㋑ AIは、複数の選択肢から、次の「行動を予測」し、それに対応する「行動計画」を立て、その行動計画に従って行動します。
㋺ 例えば、全ての人間から特定の宗教者だけを選択するということを行います。

  ⑸ 人工知能(AI)の仕事

㋑ 肝心なことは、AIは「自ら考えるのではない」ということです。あくまでも、「あるもの」を検索し、加工し、転移するだけのことしか行えません。
㋺ 例えば、「AIの書いた文章」と言っても、「AIの思考」ではありません。他の人間の書いた「文章のコピペ」でしかありません。
㋩ AIは、膨大なデータの検索やパターン認識においてはきわめて優れていますが……、あくまでも「計算機」の次元にとどまるものです。

  ⑹ 人工知能(AI)の問題点

     ㋑ データバイアス

「機械は感情や偏見を持たないから適切な判断が可能である」と言われることがありますが、学習データに偏見が入っていれば「偏見のある結果」が出てきます。常に、学習データに依存するものです。

     ㋺ 因果関係

AIが、その学習データから検出した「相関関係」は「因果関係」とは異なります。常に、人間による「合理的な判断」が必要となります。

     ㋩ 人間のバイアス

㋑ 人間には「人間としての無意識の情報処理」という習性があり、「認知バイアス」「ヒューリスティック」と呼ばれています。
㋺ 人間には、好みに応じて、リスクを軽視しがちであり、特定の部分情報と特徴や利点に依存し、それらに影響される傾向がありますし、親しい人の意見を聞き、自分を敬う部下を評価することがあります。

 

 3 人工知能(AI)と宗教

  ⑴ 人工知能(AI)の目標

㋑ AIの「最大の目標」は「人間がいなくなること」です。「AIが人間を殺す」と言われる所以です。
㋺ 「AIを神とする」ことが提唱されており、昔は「神が万事をご存知」ということでしたが、今は「AIが万事を支配」するという状況です。

  ⑵ 人工知能(AI)の決定的欠陥

㋑ AIには義務・責任・制約を課することができません。
㋺ AIの行う判断は、機械的な有利不利の判断に基づく、機械的な損益判断です。
㋩ AIは、その機械的な損益判断によっては、平然と不正行為・不当行為を実行しますし、状況次第では、違法行為・犯罪行為も厭うことがありません。
㋥ AIには、地域紛争、国家間戦争、世界戦争も制約されませんし、情報計算からは「人間を殺す」目標に向かう可能性もあります。

  ⑶ 人工知能(AI)と人間

㋑ 外界の情報を知覚し、記憶し、知識により判断する点では、人間もAIも同じですが、機械は、記録した情報のみで意味を判断するのに対して、人間は、魂・心の働きにより、感情を理解し、感性を持ちます。
㋺ 機械には、「知・情・意」の「情・意」がありませんから、「魂の問題」「心の問題」は、機械では扱うことができません。

  ⑷ 人工知能(AI)と宗教

㋑ 「AIを神とする宗教」は、宗教ではなく、無神論・無宗教であり、「AIを神とする宗教」の向かうところは「人類の滅亡」です。
㋺ 「神仏を崇敬する」行為は、英雄崇拝とは異なりますし、「神仏の命令に従う」行為は、国家・軍隊の命令服従とは異なりますし、「神仏を拝礼する」行為は、臣下の礼とは異なります。
㋩ 「AIの出現」によって、「宗教の本質」が問われています。

  ⑸ 宗教の本質

㋑ 「AI宗教」は、人間の自由意思を剥奪し、人間を隷従させるものです。
㋺ 「自由意思のない世界」では、反抗・犯罪・不正などはありえませんから、機械の描く「理想の世界」が誕生することになるでしょうが、「人間不在」です。
㋩ 「人間の自由意思」は、決して、人間が創出したり、確保したものではありませんから、AIが、人間から自由意思を剥奪して、「人間を物化」することはできません。
㋥ 「人間の自由意思」は「神に与えられたもの」ですから「神が人間に与えた」自由意思を、機械が剥奪したり、削除したりすることはできません。
㋭ ここでも、「宗教の本質」を再確認する必要が生まれます。

                  (米国カリフォルニア州ヴェンチュラにて)

Ⅳ インターネット上の権利侵害

 1 宗教非難・誹謗中傷

   ⑴ 宗教団体(宗教法人)に関して

㋑ 宗教の否定・非難や誹謗・中傷など。
㋺ 宗教の教義や実践の誤解に基づく誤った情報の掲示。
㋩ 宗教団体(宗教法人)への苦情・非難・誹謗・中傷や偽情報の掲示。

   ⑵ 宗教専門職に関して

㋑ 宮司・住職・牧師・司祭など宗教専門職への誹謗中傷・退任要求。
㋺ 神職・僧侶・教師など宗教職への誹謗中傷・退任要求など。

   ⑶ 信者に関して

㋑ 氏子・檀徒・信徒など信者の氏名・住所・職業・電話番号の公開。
㋺ 信者に対する誹謗中傷。

 2 権利侵害

   ⑴ 人格権の侵害

㋑ 名誉(名誉権)の侵害
㋺ プラバシー(プライバシー権・私事権)の侵害
㋩ 肖像権の侵害

   ⑵ 個人情報権の侵害

㋑ 氏名権の侵害
㋺ アイデンティティ権の侵害(「なりすまし」の場合)

   ⑶ 業務・営業上の権利の侵害

㋑ 営業権・業務権の侵害
㋺ 営業妨害・業務妨害

   ⑷ 無体財産権の侵害

㋑ 著作権・出版権・著作隣接権の侵害
㋺ 商標権・商号権・意匠権の侵害

 3 権利侵害に対する対応

   ⑴ インターネット上の掲示の削除請求

   ⑵ 失われた権利の回復請求

   ⑶ 損害賠償請求

 

                        (中国江蘇省・揚州の痩西湖)

Ⅴ キャッシュレスと宗教

 1 一般社会におけるキャッシュレス化のメリット

   ⑴ 現金管理の費用削減

支払う個人も、営業の企業も、現金管理の費用が削減され、企業も、個人も、現金決済によるミスも削減されます。

   ⑵ 支払い手数料の削減

支払いのための送金手数料が削減されます。

   ⑶ 入金確認の簡潔化

電子決済による入金は、即時決済となり、入金確認が容易です。

 2 一般社会におけるキャッシュレス化のデメリット

   ⑴ 設備投資の必要

キャッシュレス化をするには、それ相応の設備投資が必要となります。電子決済端末や決済管理設備の設置が、支払い側・受け取り側に必要となります。

   ⑵ 手数料の必要

キャッシュレス化の決済には、手数料が必要となります。通例、受領側に決済手数料を負担させています。その手数料の負担を理由に、値上げが起こりえます。

   ⑶ 停電による機能停止

台風・地震・火災などによる停電で機能が停止してしまうおそれがあります。電力会社の事故や自社の電気事故でも機能が停止してしまう可能性があります。

   ⑷ 利用者の設備費用

利用者にも一定の設備費用(スマホなど)が必要です。したがって、すべての国民が利用できるとは限りません。外国からの旅行者には便利となる面もあれば、不便となる面もあります。

   ⑸ 利用者の金銭感覚

現金とは異なり、金銭感覚が鈍くなり、金銭管理を欠くおそれがあり、キャッシュレス化に伴う無計画支出・過剰負債・多重債務の可能性があります。また、キャッシュレス化を利用した特殊詐欺の被害が多発する可能性がありますし、外国旅行をするとき、利用できないこともありえます。

   ⑹ 利用者の問題

電池切れなどで、端末が使用できないと、利用できなくなってしまいます。もちろん、端末が窃盗され、端末を亡失するなどで利用できなくなり、悪用されるおそれも生じます。

 3 キャッシュレス化を進めた国の国家的な理由

   ⑴ キャッシュレス化の推進

最も進んでいるのは「中国」、最も遅れているのは「日本」と言われています。

   ⑵ 通貨偽造・変造の対策

キャッシュレス化の最大の目的は、通貨の偽造・変造に対する対策であるとされており、偽札・偽貨を取り締るコストが削減できる点にあります。

   ⑶ 造幣予算の削減

キャッシュレス化により、貨幣・紙幣を製造するコストが削減され、貨幣・紙幣を管理するコストが大幅に削減されることは事実です。

   ⑷ 国民収支の透明化

キャッシュレス化により、国民の入出金・支払先・使途などが管理できるようになり、国民の隠し金・裏金・脱税などをできなくすることも可能です。国家が国民全員の収支一切を監視しうる社会が生まれます。

   ⑸ 現金犯罪の抑制

現金がなければ、窃盗・詐欺・横領犯罪はなくなるのは当然であり、その結果、治安が維持され、警察・刑務所などが軽減できるという利点もあります。

   ⑹ 企業経営の合理化

キャシュレス化により、企業の収支(売上・支払い)が簡潔で正確になり、企業の業務負担が軽減されることになります。

   ⑺ 国民情報の管理

国家的には、キャッシュレス化により、国民行動が監視でき、国民の諸情報(ビッグデータ)が管理できるようになる点が、最大のメリットでしょう。

   ⑻ 日本では……

㋑ 日本では、現金の信頼度が高く、偽札の流通も少ないこともあり、キャッシュレス化の費用負担を否む傾向があります。
㋺ 「税金の納付」「司法手数料の納付」「行政手数料の納付」「罰金・科料・過料の納付」「郵便料金の支払」「収入印紙の購入」「収入証紙の購入」など、「現金」に限られています。

 

 4 キャッシュレス社会における個人情報

   ⑴ 人間社会と金銭経済

㋑ 人間社会における金銭の支払いは、人間生活に密接していますので、金銭の支払いから、特定の人間の行動が把握できることになります。
㋺ 現代社会では、人間生活の殆どが金銭と関連づけられています。不正・不法・犯罪ですら、金銭的な解決が可能になりますし(「魚心あれば水心」)、好ましくない言辞ですが、「地獄の沙汰も金次第」です(賄賂、脱税、詐欺など)。

   ⑵ キャッシュレス決済によるビッグデータ

㋑ キャッシュレス利用には、基本的な個人情報の提供が必要です(住所・氏名・年齢、学歴、職業、収入、家族関係など)。それだけでも膨大な「ビッグデータ」です。
㋺ 現金決済では把握できない人間行動がキャッシュレス化によって把握できることになります(個人の収支、個人の生活水準、個人の好み、個人の交友関係、個人の知的水準、個人の政治信念、個人の宗教信仰など)。
㋩ これらを合わせた「スーパービッグデータ」が蓄積されると、それが、特定の企業や国家に把握され、利用されるおそれがあります。

   ⑶ 人間行動と金銭支払い

㋑ 人間社会における、金銭の支払いは、単なる経済行為ではありません。
㋺ 人間社会においては、経済的価値を伴わない金銭の支払いも多く存在します(友好・挨拶・感謝・褒賞、罰金・違約金、賄賂など、宗教的崇敬・拝礼・奉献・謝儀など)。
㋩ キャッシュレス決済により、政治信念宗教信仰なども把握可能となり、キャッシュレス決済記録から、政治犯宗教犯の特定・追跡・逮捕もできることになり、キャッシュレス決済記録から、政治的宗教的弾圧も行われる危険を内在しています。

 5 キャッシュレス化と宗教

   ⑴ 宗教活動におけるキャッシュレス化の可否

㋑ 非経済活動である宗教活動には、本来、キャッシュレスはなじまないものです。
㋺ 宗教活動の本旨は、信者の「心」「魂」を問題にしており、五体を用いて、自己の有する物を用いて、神仏を拝礼・崇敬するものです。
㋩ キャッシュレスは架空経済(一定の裏付けはありますが)ですが、「架空」の宗教行為は、宗教行為としての意味をなさないと考えられます。

   ⑵ 宗教団体におけるキャッシュレスの利用の可否

㋑ 宗教貨幣(道教の紙銭・冥銭)による奉献・拝礼は可能です。
㋺ 事前に通貨で交換し、現実の貨幣の意味を持っているからです。
㋩ その意味で、宗教貨幣として、プリペイドカード・QRコードなどは可能です。

   ⑶ 企業の勧めるキャッシュレス利用の可否

㋑ 宗教団体へのキャッシュレス化の推進が、営業店舗への利用促進と同じスタンスであれば、不都合です。
㋺ 「キャッシュレスにすれば顧客・外国人客が増える」という営業が行われていますが、答えは「否」でしょう。信仰を前提とする宗教活動は、「支払いの便」如何によって左右されることがないからです。
㋩ 今まで、ほとんど参拝者・崇敬者・礼拝者の来なかった神社・寺院・教会にキャッシュレス設備を導入した途端に「多数の人が来る」ということはありえません。
㋥ 設備投資が必要であり、手数料の支払いが必要(自動徴収)となりますから、宗教活動にはなじみませんが、営業行為と同様類似の収益事業公益事業なら可能でしょう。

   ⑷ キャッシュレス化と諸税賦課の可能性

キャッシュレス化で危惧される一つが、営業行為と同様類似であるとして、宗教活動に課税されることです。宗教行為の支払いに手数料を支払うから、収益事業とみなすという論法です。

   ⑸ キャッシュレス化による個人情報の流出

㋑ 宗教団体におけるキャッシュレスの利用により個人情報が流出するおそれのあることが、宗教活動としては「最も危惧」される点です。宗教信者が特定され、宗教信者の行動様式が把握され、将来においては、宗教弾圧の危険さえ孕むものです。
㋺ また、一般的な個人情報の漏洩があったなら、宗教団体の責任も、当然に追及されることになります。

   ⑹ 迫られる宗教団体・宗教法人の決断

社会情勢に対応したキャッシュレス化の検討が必要です。それぞれの宗教活動の目的や趣旨に応じた検討が必要でしょう。

   ⑺ 参考文献

・ 櫻井圀郎「キャッシュレス化社会における宗教活動と宗教団体の責任」
・ 梶谷懐・高口康太『キャッシュレス社会と宗教』
・ 洗建・田中治・櫻井圀郎・柏崎久雄『キャッシュレス社会と宗教活動』
・ 梶谷懐・高口康太『幸福な監視国家・中国』 

 6 キャッシュレス論議の基本的類型

   ⑴ キャッシュレス論議に必要な類型化

一口に「キャッシュレス」と言っても、諸々の種類がありますので、きちんと区別しておかないと、異種のキャッシュレスが想定されて、論議がすれ違うことになりかねません。効率的な論議を展開するのに、まず、「キャッシュレスの類型化」が必要です。

   ⑵ 機能環境による類型

第一に、「機能環境による類型」として、①「電磁的キャッシュレス決済」と②「非電磁的キャッシュレス決済」とがあります。①には、クレジットカード、会員カード、スマホなどによる決済があり、②には、現金に換えて、ゲームコイン、証書などを用いた決済があります。

   ⑶ 利用手段による類型

第二に、「キャッシュレス決済をいかなる手段で行うか」という利用手段による類型として、①「個人情報連結型キャッシュレス決済」と②「個人情報非連結型キャッシュレス決済」とがあります。
①「個人情報連結型キャッシュレス決済」には、㋑「クレジットカードによる決済」、㋺「クレジットカードにリンクされたカードによる決済」(例えば、Ⓐクレジットカードと一体となったカードなど、Ⓑクレジットカードによる自動決済のされるカードなど、Ⓒクレジットカードによるオートチャージのあるカードなど)、㋺「スマホ・ワレットによる決済」、㋩「スマホ・アプリによる決済」、㋥「個人登録した会員カードによる決済」などがあります。
②「個人情報非連結型キャッシュレス決済」には、㋑「個人登録のないプリペイドカードによる決済」(例えば、クオカード、図書カード、ビール券、各種ギフトカードなど)、㋺「無記名のカードによる決済」、㋩「ゲームコインなどによる決済」などがあります。

   ⑷ 利用方法による類型

第三に、「キャッシュレス決済をいかなる方法で行うか」という利用方法による類型として、①「転換型キャッシュレス決済」と②「非転換型キャッシュレス決済」とがあります。
①「転換型キャッシュレス決済」には、㋑「キャッシュレス決済により、入場券・利用券などを購入して利用する方法」や㋺「キャッシュレス決済により、通貨代用品を購入して利用する方法」などがあります。
②「非転換型キャッシュレス決済」とは、キャッシュレス決済により、入場券・利用券・通貨代用品などを購入する必要なく、一切の物質を介在させることなく、利用できる方法をいいます。

   ⑸ 注意事項

 

                              (沖縄・城碧)

 

 

Ⅵ 電子情報の管理

・・・

 中国の情報管理法制

・ 「网络安全法」(インターネット安全法)2017年6月1日施行
・ 「国家情报法」(国家情報法)2017年6月28日施行
・ 「网络安全威胁信息发布管理办法」(インターネット安全脅威情報発信管理弁法)2019年11月1日施行
・ 「数据安全法」(データ安全法)2021年9月1日施行
・ 「个人信息保护法」(個人情報保護法)2021年11月1日施行
・ 「网络安全审查办法」(インターネット安全審査弁法)2021年月日施行
・ 「数据安全管理办法」(データ安全管理弁法)年月日施行

Ⅶ 電子情報の防災

・・・

 

Ⅷ ビッグデータと危機管理

・・・

年金

Ⅸ キャッシュレス 化の公的補助

・ キャッシュレス化を進める中小企業に対しては、公的助成(公的な補助金)の制度があります。
・ キャッシュレス化の公的助成は、宗教団体・宗教法人には適用されません。

・・・

 

(「最多画数の漢字・びゃん」(異説あり)、中国陝西省・西安名物「びゃんびゃん麺」の看板)

Ⅹ オンライン会議・テレワーク

  1 株式会社・一般社団法人・一般財団法人の場合

    ⑴ 株主総会・社員総会

① 書面による議決権の行使や電磁的方法による議決権の行使ができます。
② 定款に規定しておくことが必要です。

    ⑵ 取締役会・理事会

① 取締役・理事が出席して議事に参加するのが原則です。
② 取締役・理事が事前に議事の提案をして、全員が賛成の場合には、決議とみなすことができます。
③ ただし、監査役・監事が異議を述べたときは決議は成立しません。
④ 定款に規定しておくことが必要です。

    ⑶ オンライン取締役会・オンライン理事会

① 現実に出席していなくても、出席しているのと同様の場合には、出席とみなすことが可能です。
② 法務省民事局の見解では、「㋑取締役間の協議と意見交換が自由にでき、㋺相手の反応がよくわかる、㋩各取締役の音声と画像が即座に他の取締役に伝わり、㋥適時・的確な意見表明が互いにできるシステム」なら可能とされています。
③ 要点は、㋑即時性と、㋺双方向性です。
④ Zoomなどテレビ会議システムによる「オンライン取締役会」「オンライン理事会」の開催が可能とされています。
⑤ 定款に規定しておくことが必要です。
⑥ 電子情報通信環境に習熟していない取締役・理事や監査役・監事の職務や権利を制限することにならないような配慮が必要です。

    ⑷ テレワーク・在宅勤務

① 株式会社の従業員や一般社団法人・一般財団法人の職員が、職場に出勤することなく、自宅などで勤務する(在宅勤務)には、それなりの定めが必要です。
② 新たに、自宅、カフェなど、サテライトオフィス、車両などにおいて、インターネットを通じたコンピュータによる勤務形態を定めるには、就業規則の変更などが必要です。
③ 自宅などの使用、施設・設備の使用、電気・通信・光熱・水道などの使用、家族などの関与、情報の漏洩、出勤・休憩などの確認、職務状況の確認など、就業規則上の定めが必要になります。
④ 就業規則とは別に、テレワークに関する規程などを制定し、詳細な規定を設けておくことが適切です。

  2 宗教法人の場合

    ⑴ 宗教法人法と会社法

① 宗教法人法上、このような規定はありませんので、不明確ですが…、責任役員会でも、取締役会・理事会と同様に考えられます。

    ⑵ 宗教法人規則

① 宗教法人法には明確な規定がないので、宗教法人の規則に規定しておくことが必要ですし、有益です。
② 宗教法人規則の変更には、所轄庁の認証が必要なので、十分に検討して、定めることが求められます。
③ 宗教法人規則を変更することなく、責任役員会の決議により、「オンライン会議規程」を制定するという方法もあります。

    ⑶ Eメールによる書面決議

① テレビ会議システムによるオンライン会議には、パソコンやスマホでも可能ですが、しっかりした会議のためには、それなりの設備が必要です。
② オンライン会議に慣れていない宗教関係者の「隔地会議(リモート会議)」には、「書面会議」「書面決議」が向いているかもしれません。
③ ただ、「書面」の場合は、郵送に時間がかかるのが難点です。
④ そこで、「署名押印のある決議書面」を「pdf」または「写真」として、Eメール送信して、「決議」とし、後日、「書面」を送って書類として保存する方法も、緊急事・非常時の決議の方法として有益・有用です。

  3 宗教団体において

① 宗教団体においては、各々の教義・教理・伝統・慣例などから理解されます。
② 会議の種類により、現実に出席した会議のほか、オンライン会議の可能性も考察されるべきでしょう。
③ 災害の発生・感染症の防止・暴動の発生・交通の障害などの場合に備えておくことは重要です。
④ 宗教団体の基範・憲法規程・宗制宗法・教憲教規などにおいて、オンライン会議の規定を定めておくことは必要であり、有益であり、重要です。
⑤ オンライン会議の規定についてはご相談ください。

   ☆☆☆ 参考文献 ☆☆☆

① 櫻井圀郎「新型コロナウイルス感染症と教会・教団等の会議」『会報』(日本基督教連合会、2020年12月10日)
② 櫻井圀郎「寺院でオンライン会議を行う際に注意すべきこと」『月刊住職』2021年3月号(興山舎)

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                          (山形県羽黒の月山神社)

Ⅺ プロバイダ責任法

  1 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律

    ⑴ 目的

① 特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合。
② 事業者の損害賠償責任の制限。
③ 発信者情報の開示の請求。

    ⑵ 損害賠償責任の制限

① 情報の不特定の者に対する送信を防止する技術的可能性がある場合。
② 情報の流通によって他人の権利が侵害されることを知っていたとき。
② 情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる理由があるとき。

  2 発信者情報の開示

    ⑴ 発信者情報の開示請求

① 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者。
② 事業者に対し、当該情報の発信者情報の開示を請求することができる。
③ 情報の流通によって権利が侵害されたことが明らかであるとき。
④ 発信者情報が損害賠償請求権の行使のために必要であるとき。
⑤ その他正当な理由があるとき。

    ⑵ 権利濫用の禁止

① 発信者情報をみだりに用いて、不当に発信者の名誉または生活の平穏を害する行為をしてはならない。

                         (シルクロード「陽関」跡)

Ⅻ 電子メール制限法

  1 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律

① 一時に多数の者に対してされる特定電子メールの送信等による電子メール送受信条の支障を防止する。
② 「特定電子メール」とは、事故または他人の営業につき広告または宣伝を行うための手段として送信する電子メール。

  2 特定電子メールの送信の適正化

    ⑴ 送信の制限

・ 特定電子メールの送信可能な者。
・  ㋑ あらかじめ送信を求めるか同意する旨を通知した者 
・  ㋺ 自己の電子メールアドレスを通知した者 
・  ㋩ 当該特定電子メールによる広告・宣伝の営業者と取引関係にある者
・  ㋥ 自己の電子メールアドレスを公表している団体または営業を営む個人 

    ⑵ 送信者の表示義務

① 送信者の氏名・名称。
② 送信停止の電子メールを受信するための電子メールアドレス。

    ⑶ 送信の禁止

① 送信者情報を偽った送信の禁止。
② 架空の電子メールアドレスによる送信の禁止。

    ⑷ 措置命令

① 総務大臣・内閣総理大臣が、送信者に対して、必要な措置をとるべきことを命じることができる。
② 受信者は、総務大臣・内閣総理大臣に対し、適当な措置をとるべきことを申し出ることができる。

                           (大阪市阿倍野区にて)

XⅢ 電子署名

  1 電子署名法

      ⑴ 電子署名及び認証業務に関する法律

・   ㋑ 平成12年(2000年)法律102号
・   ㋺ 平成13年(2001年)4月1日施行

      ⑵ 電子署名とは

・   ㋑ 従来の署名や記名押印に代わるものです。
・   ㋺ 目には見えない電子情報処理の過程で用いられるものです。 
・   ㋩ コンピュータで利用できる、諸手続きの署名です。 

      ⑶ 電子署名の定義

・   ㋑ 電子情報処理に用いられる電子的・磁気的情報で、
・   ㋺ 本人が作成したことを示すためのもので、 
・   ㋩ それの改変がされていないかどうか確認できるもの。 

  2 電子署名

  3 電子署名

 

XⅣ 電子公証

  1 「電子公証」とは

・    ㋑ 「公証」とは、公証人が文書の存在や内容を公的に認証する制度です。
・    ㋺ 「電子公証」とは、電子的に作成された文書を公証する制度です。

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                        (中国・上海、「静安寺」)

XV 電子定款

  1 「電子定款」とは

・    ㋑ 「定款」とは、会社や法人の設立の際に作成する基本約款です。
・    ㋺ 「定款」は、法律に定められた事項を記載し、作成者が署名押印して作成します。
・    ㋩ 「電子定款」とは、電子的方法で作成された定款をいいます。

  2 電子定款の認証

・    ㋑ 「定款」は、公証人による認証を受ける必要があります。
・    ㋺ 紙で作成された定款の認証は、公証人が認証の旨を付記し、署名押印しておこなわれます。
・    ㋩ 「電子定款の認証」とは、電子的方法で作成された定款に、公証人が電子的方法で認証することをいいます。

  3 電子定款の変更

・    ㋑ 「電子定款の認証」は、法務省の定めた、特別のシステムを介して行われます。
・    ㋺ 

XⅥ 

XⅦ 

XⅧ 

XⅨ 

 

(中国陝西省・西安、玄奘三蔵法師が印度から持ち帰った膨大な経典を収めた「大慈恩寺・大雁塔」)

XX 行政のデジタル化

XXⅠ 裁判のIT化 

XXⅡ 

XⅥ 

 
 
 

 

                            (山形県鳥海山にて)

〇 2019年10月29日、一般財団法人京都仏教会・理事長有馬頼底猊下は、代理人を通じて、ロシア・モスクワにおいて、ロシア正教会・モスクワおよび全ロシアの総主教・キリル一世聖下に宛てた、宗教活動におけるキャッシュレス決済についての親書を、手交しました。

〇 スプートニク 2018年1月8日電子版ニュースは、ロシア正教・総主教キリル1世が「キャッシュレス決済は、人間の自由を制限する」旨の警告を発せられていることを伝えています。

〇 宗教活動におけるキャッシュレス化について、2019年6月28日、一般財団法人京都仏教会・理事会は、「布施の原点に還る」と題し、1「聖俗の分離」に従う、2「信教の自由」を守る、3「寺院の対応」を求めるという3項目からなる声明文を採択決議し、同日、記者会見を開き、その趣旨内容を公表しました。そのことは、同日および翌日のテレビニュースおよび新聞各紙にて報道されています。京都仏教会から公表された「声明文」は下記の通りです。

〇 声明文「布施の原点に還る」
1 「聖俗の分離」に従う
・寺院の宗教活動は世俗の事業とは本質的に異なる。
・布施は財物に託して、信者の心・魂を仏様に奉げるものであり、退化取引の営業高地とは根本的に異なる。
・キャッシュレスによる布施は対面的である宗教行為の本旨に反するものであり、不適切である。
・宗教団体・宗教法人において、法要・拝観、葬儀などの宗教行為と収益事業は明確に分離されている。
2 「信教の自由」を守る
・布施のキャッシュレス化により宗教信者の個人情報および宗教的活動が第三者に把握される危惧がある。
・信者の宗教活動および個人情報を含むビッグデータから信者および寺院の信教の自由が侵されることを危惧する。
・布施のキャッシュレス化により手数料が発生し、収益事業として宗教課税をまねく恐れを憂慮する。
3 「寺院の対応」を求める
・参加寺院に対して、寺院の宗教活動におけるキャッシュレス化を受け入れないことを求める。
・公益財団法人全日本仏教会と連携を密にし全国の宗派・寺院における対応を求めてゆく。
・日本宗教連盟、近畿宗教連盟その他全国の宗教連盟にも同様の対応を求めてゆく。
令和元年6月28日  一般財団法人京都仏教会 理事長 有馬賴底

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