危機管理

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 コーポレート・ガバナンス

 1 求められるコーポレート・ガバナンス

 「コーポレート・ガバナンス(企業統治)」は、当初、多数の株主の投資によって経営される株式会社の経営の責任あるあり方を求める論理として生まれました。

 取引先や顧客・消費者の利益のためにも展開され、地域住民や一般市民との関係でも求められるようになりました。

 その後、営利企業だけではなく、社会の負託を受けて活動する大学や公共施設、社会福祉施設、各種の公益法人や公益団体にも、求められるようになっています。

 「宗教」は「国家を超える」活動であり、宗教活動を行う「宗教団体」には、極めて多くの衆目を集め、人々の期待と信頼を受けています。

 その意味で、当然に、宗教団体や宗教法人にも、「コーポレート・ガバナンス(団体統治・法人統治)」が求められています。コーポレート・ガバナンスの充足度が、社会的存在としての宗教団体・宗教法人の価値を定めるといっても過言ではありません。

 とはいえ、「宗教団体の特殊性」がありますから、一般企業や一般法人のルールがそのまま通用するわけではありません。特別な「宗教団体ガバナンス」が適用されるべきでしょう。

 2 「宗教団体ガバナンス」の基本

  「宗教団体ガバナンス」の基本(基礎、最低ライン)は、次の3点にあります。

 ⑴ 「コンプライアンス(規範倫理)」

  ⅰ 「規範」とは

 「規範」とは、①あらかじめ、②文字で書かれ、③公示された、「法」「法律」「法令」「規則」「規範」「基準」「ルール」などの「客観的な基準」をいいます。

 「規範」には、国家の法律・法令だけでなく、当該団体の内部規則、連合団体の取極め、関連団体との協定、取引先との契約約款など、あらゆる客観的な基準を含みます。

 「宗教団体」の場合には、世俗団体とは異なり、人間の定めた規範だけではなく、神仏の意思およびその具現としての経典・聖典・聖書・由緒・伝承などが最高規範として存在します。

  ⅱ 「日本人の法嫌い」

 日本など東洋の社会では、規範にしたがって物を考え、行動をし、事態を吟味する(法治主義・規範倫理)西欧社会とは異なり、統治者・指導者・指揮者などの才覚にしたがって諸事を行うこと(人治主義・徳治主義)が是とされると意識されています。

 そのため、「主観的な行動」が評価される(「暖かい」「愛がある」)一方、「客観的な基準」を嫌う(「冷たい」「情がない」)傾向があります。そして、「規範がない方が良い」という感覚であり、「日本人の法嫌い」です。

  ⅲ 形式主義と実質主義

 西欧では、規範は本来の趣旨に従い目的に適合するように適用されなければならないと考えられ、具体的な事案に対応して規範の意味を解釈して、正しく適用しようとします(実質的正義・実質主義)。

 一方、東洋・日本では、規範は文字通りに厳格に適用されるべきであると考えられ、解釈を厭う(形式的正義・形式主義)という傾向にあります。

  ⅳ 「法令遵守」

 日本の企業や法人団体では、コーポレート・ガバナンスという欧米の理論を適用するに当たって、特に意図し、意識的に行ったということではありませんが、結果的に、日本的な形態を表しています。

 その一つが、「コンプライアンス」が「法令遵守」ということです。「法令」ということによって、規範を国家の法令のみに限定しています。それも強制力のある条項に限られています。

 そして、「遵守」とは、「文字通りに守ること」としますが、強制力のある法令の条項は「〇〇してはならない」のような規定なので、それに該当しないように「表面的に守ること」「違反しない形式を整えること」で過ごされてきました。

  ⅴ 「規範倫理」

 小職は、「コンプライアンス」を、「規範遵守」と言いたいところですが、日本人の法意識を考え、「規範倫理」と訳しています。

 「規範遵守」なら、形式的に規範通りに履行すること(形式主義)で通用しますが、「規範倫理」となれば、規範の意味すること、規範の目的とすることを実現すること(実質主義)が求められるからです。

  ⅵ 宗教主宰者の特則

 宗教団体の場合にも、規範倫理は適用されますが、世俗の団体とは根本的に異なる点があり、顧慮が必要です。

 神仏やその意思の具現者であり、信仰の対象でもある「教祖」「貫主」「座主」「教皇」「司教」「神官」「宮司」「住職」「牧師」「司祭」など「宗教主宰者」は、それぞれの宗教の教義において、その言動が信仰上の規範とされる限度において、人間の定めた規範に従ういわれはありません。

 その限りにおいて、宗教主宰者には規範倫理は非適用と思われますが、そうではありません。宗教主宰者は、自分自身が規範の規範であり、より高次の神仏の規範にしたがう者ですから、その高次の規範倫理を行う者であるはずです。

 したがって、規範を否み、規範に反し、規範を曲げ、規範に矛盾する言動はありようがありません。宗教主宰者こそ、規範倫理の具現者であるはずです。

 ⑵ 「ディスクロージャー(情報開示)」

  ⅰ 社会的な存在

 企業も、諸団体も、社会の負託を受け、社会の協力を得て、社会の中に存在し、活動しているものなのに、その運営や活動の実態は社会には分からないままでした。

 そこから、「有害な物を製造しているのではないか」「何か悪いことをしているのではないか」などと、社会に不安を与え、社会の不信を招くこともあります。

 社会との良好な関係を保つために、社会に向かって、企業や団体の、目的・事業、組織・構成、取引先・関連団体、主な活動内容、収支状況などを明らかにすることが求められています。

  ⅱ 「ディスクロージャー(情報開示)」

 「ディスクロージャー(情報開示)」とは、特定の活動や内容などに関して求めがあった場合に、可能な限り、その事実を明確明瞭にする情報を開示することです。

 「情報開示」といっても、「全ての情報」を開示しなければならないということではありません。当然、「秘匿しなければならない情報」「保護しなければならない情報」もありますが、その点についても、明確明瞭な規則を定めておくことが必要です。

 宗教団体では、「信者の情報」は「秘密厳守」です。信者個人の「信教の自由」「信教の秘密」を保護する観点から、家族と称する者を含め、行政機関や司法機関の問い合わせであっても非開示が妥当でしょう。

  ⅲ 「トランスペアレンシー(透明性)」

 社会的存在である諸団体には、「トランスペアレンシー(透明性)」として、その団体の運営や事業内容、人事異動・懲戒処分、災害事故、不祥事などに関する意思決定などが「密室に隠蔽」されないよう公開することが求められます。

 「すべての意思決定は公開されなければならない」ということではありませんし、全てを公開すべきものでもありません。

 意思決定の組織や手順があらかじめ定められていること、その都度または定期的に報告がされていること、秘匿しなければならないもの以外のものを公開していることが必要です。

 宗教団体では、宗教の教義や信者に関すること、宗教職の任免に関することなど、極めて宗教的な判断に基づくものについては、非公開が相当でしょう。

  ⅳ 「CSR(社会的責任)」

 企業では、単に求められて開示し、一定の事項を公開するだけではなく、積極的に社会に関与し貢献していくべきであるということから、「CSR(コーポレート・ソーシャル・リスポンシビリティ、企業の社会的責任)」が求められるようになりました。

 宗教団体にも同様のことが言えますが、注意も必要です。

 企業・営利法人の場合、営利が目的なので、営利外の社会活動・社会貢献・公益事業などを行えば、減免税などの恩典がありますが、もともと公益法人としての宗教法人では、宗教活動以外の公益事業・社会貢献などを行えば、課税措置を受けることになるからです。

 ⑶ 「アカウンタビリティ(説明責任)」

  ⅰ 三つの「責任」

 日本語の「責任」を説明する英語には①「リスポンシビリティ」、②「ライアビリティ」、③「アカウンタビリティ」の三つがあります。

 ①は、契約などに基づき相手方との関係で果たすべき「応答責任」、②は、製造物責任など、信頼に応える「信頼責任」、③は、社会的な負託を受けていることに対応して所要の説明をする「説明責任」です。

  ⅱ 「アカウンタビリティ(説明責任)」

 「アカウンタビリティ(説明責任)」は、社会の中で、社会的な負託を受け、社会的な協力を受けながら存在し、活動している、企業や法人などが、その活動の内容などについて、社会的な説明をすることが必要です。

 宗教団体の活動の全てについて説明責任が問われるわけではありませんが、社会的な関心のある事項、世俗的な事項については、適切な時期に、適切な方法で、適切な説明をすることが必要です。

 3 内部統制・組織管理

  ⑴

  ⑵

  ⑶

 4 内部通報・公益通報

  ⑴

  ⑵

  ⑶

 5 本人確認

  ⑴

  ⑵

  ⑶  

Ⅱ リスクマネジメント(CR)

 1 リスクとマネジメント

  ⑴

  ⑵

  ⑶

 2 CRのルール

  ⑴

  ⑵

  ⑶

 3 危機管理

  ⑴

  ⑵

  ⑶

 4 不祥事対策

  ⑴

  ⑵

  ⑶  

 

 5 犯罪被害者の支援

  ⑴ 公判手続の傍聴

   犯罪被害者は、裁判長に申出て、加害者の刑事裁判の傍聴ができるように配慮されます。

  ⑵ 公判記録の閲覧・謄写

   犯罪被害者は、係属裁判所に申出て、加害者の刑事裁判の公判記録を閲覧し、それを謄写(コピー)することができます。

   犯罪被害者は、係属裁判所に申出て、加害者・共犯による同様の態様で継続的・反復的に行われた同一・同様の犯罪の刑事裁判の公判記録を閲覧し、それを謄写(コピー)することができます。

  ⑶ 犯罪被害者の証人尋問

   犯罪被害者が証人となる場合、加害者(被告人)の前では、著しく不安・緊張を覚えるおそれがありますが、その際には、その不安・緊張を緩和するのに適当な者(付添人)を付き添わせることができます。

   犯罪被害者が証人となる場合、加害者(被告人)の前では、圧迫を受け精神の平穏を害するおそれがありますが、その際には、被告人と証人との間に、相手の状態を認識することができない措置(遮蔽措置)をすることができます。

   犯罪被害者が証人となる場合、加害者(被告人)のいる法廷では困難なときは、裁判所の構内にて映像と音声の送受信によって(ビデオリンク方式)尋問することができます。

  ⑷ 被害者参加

   犯罪被害者は、申出て、裁判所の許可を得て、加害者の刑事裁判に参加することができます。「被害者参加人」となります。

   被害者参加人には、公判期日が通知され、被害者参加人は、公判期日に出席することができます。

   被害者参加人は、検察官に意見を述べることができます。

   被害者参加人は、申出て、犯罪事実に関する情状事実について、証人を尋問することができます。

   被害者参加人は、申出て、被告人に供述を求める質問をすることができます。

   被害者参加人は、申出て、事実と法律の適用に関する意見を陳述することができます。

   被害者参加人が著しく不安・緊張を覚えるおそれがあるときは、不安・緊張を緩和するのに適切な者(付添人)を付き添わせることができます。

   被害者参加人が圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあるときは、被告人から被害者参加人の状態が認識されないようにする措置(遮蔽措置)を採ることができます。

   被害者参加人に対しては、旅費、日当、宿泊料が支給されます。

  ⑸ 刑事裁判における民事上の和解

   刑事裁判の過程で、被告人と被害者が、民事上の争いについて合意したときは、刑事裁判の過程で「和解調書」が作成され、民事上、強制力のある和解となります(別に、民事裁判を起こすなどしなくてすみます。)。

  ⑹ 刑事裁判における損害賠償請求

   犯罪被害者は、係属刑事裁判所に、「損害賠償命令」の申立てをすることができます。

   「損害賠償命令」が発せられると、民事訴訟手続をする必要がなくなります。

 4 ストーカー対策

  ⑴ 「ストーカー行為」とは

   「ストーカー行為」とは、同一の者に「つきまとい等」を反復してすることをいいます。

  ⑵ 「つきまとい等」とは

    特定の者に対する恋愛感情・好意の感情・不満の怨念の感情を充足する目的で、特定の者・配偶者・直系親族・同居親族・密接な関係のある者に対して、次の「つきまとい等の行為」を行うことをいいます。

  ⑶ 「つきまとい等の行為」とは

   ⅰつきまとい、待ち伏せ、進路を立ち塞ぎ、住居等付近で見張り、住居等に押し掛け、住居等付近のみだりなうろつき

   ⅱ行動を監視していると思わせる事項の告知

   ⅲ面会、交際、その他義務のないことの要求

   ⅳ著しく粗野・乱暴な言動

   ⅴ無言電話

   ⅵ拒まれたのに連続して、電話・ファックス・電子メール

   ⅶ汚物・動物の死体・不快嫌悪な物の送付

   ⅷ名誉を害する事項の告知

   ⅸ性的羞恥心を害する事項の告知

   ⅹ性的羞恥心を害する文書・図画・電磁的記録媒体の送付

   ⅺ性的羞恥心を害する電磁的記録の送信

  ⑷ つきまとい等の禁止

   誰であっても、「つきまとい等をして、相手方に、身体の安全、住居の平穏、名誉が害され、行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはならない」と、法律で定められています。

  ⑸ 警察署長の警告

   つきまとい等をされた者から、警察署長に申出て、更に反復して行うおそれがあると認めるときは、行為者に、更に反復して行ってはならない旨の警告がされます。

  ⑹ 公安委員会の禁止命令

   公安委員会は、更に反復して行うおそれがあると認めるときは、つきまとい等をされた者からの申出によりまたは職権で、行為者に、①更に反復して行ってはならない旨、②更に反復して行うことを防止するために必要な事項を命令します。

  ⑺ ストーカー対象者の情報提供の禁止

   誰であっても、「ストーカーをするおそれがある者に、ストーカー行為の相手方の氏名・住所などの情報を提供してはならない」と、法律で定められています。

 6 暴力団排除

  ⑴

  ⑵

  ⑶  

Ⅳ 秘密保持

 1 信教の秘密・宗教の秘密

  ⑴

  ⑵

  ⑶

 2 プライバシーの保護

  ⑴

  ⑵

  ⑶

 3 個人情報の保護

  ⑴

  ⑵

  ⑶

Ⅴ ハラスメントの防止

 1 ハラスメントとは

  ⑴ 「ハラスメント」は、一定の人間関係の中で起こる問題です。具体的には、労使関係、上司と部下、先輩と後輩、取引先、趣味や技芸の関係、恋愛関係、交友関係、先生と生徒、先住者と後住者など、一定の力関係、上下先後の関係、優先劣後の関係、依存関係などがある個人と個人の間で起こる問題です。したがって、無関係な個人と個人の間で起こることはありませんし、集団の中で起こる「いじめ」は別の問題です。

  ⑵ 「ハラスメント」とは、相手方を「嫌がらせる」ではなく、相手方が「嫌がる」ことです。したがって、行為者には相手方を「嫌がらせる」意図や意思がなくても「ハラスメント」に当たることがあります。もちろん「嫌がる」ことには、相手方が「不快に感じた」「プライドを傷つけられた」「嫌な思いをした」「脅威を感じた」「不利益を感じた」などということが含まれます。

  ⑶ 「ハラスメント」は、行為者の発した言葉、行為者のした行為、行為者のとった行動、行為者の振る舞いなどが、相手方に与える心理的な効果が問題とされます。したがって、行為者が実際に権限を有しているか否か、その言葉や行為・行動などが実際に効果を生じたり、効力を有するか否かとは、直接には関係がありません。

  ⑷ 「ハラスメント」には、その内容や立場などによって、「セクシャル・ハラスメント(セクハラ)」「パワー・ハラスメント(パワハラ)」「モラル・ハラスメント(モラハラ)」「アカデミック・ハラスメント(アカハラ)」など、多種多様なものがあります。

 2 セクシャル・ハラスメント(セクハラ)

  ⑴ 「セクハラ」とは、職場、学校、取引先、町内会、マンションなどにおいて、相手が不快に感じたり、嫌がったりする性的な言葉を発したり、性的な不快感などを与える行為、行動、仕草などをすることをいいます。男性から女性へという場合が比較的多いので男性から女性への問題と思われていますが、女性から男性へという場合、同性から同性へという場合も同様です。

  ⑵ 「セクハラの防止」は、男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)では事業主の義務としてが規定されています。事業主は、職場での「性的な言動」への対応により労働者が労働条件上の不利益を受けたり、就業環境が害されないような措置を講じなければならず(11条)、女性労働者の妊娠・出産・産前産後休業などに関する言動により就業環境が害されないような措置を講じなければなりません(11条の2)。宗教団体や宗教施設でも、雇用関係のある職員の職場環境においては当然に適用されます。

  ⑶ 宗教団体や宗教施設における、雇用関係にない宗教専門職(宮司・禰宜・住職・牧師・司祭・教会長・宣教師など)、宗教職(神官・僧侶・教職者・聖職者など)、修行者(宗教職となるための修行中の者)、信者(氏子・檀徒・信徒・教会員など)、信奉者・参詣者・参拝者など、宗教施設来所者などの間においても「セクハラ」は起こりうる問題です。

  ⑷ 宗教団体や宗教施設においては、祈祷・祈願・相談・カウンセリング・信仰指導などの場で、宗教専門職・宗教職と信者・信奉者などという関係の中で「セクハラ」事案が起こりやすいので注意が必要であるのみならず、防止のための対策が必要です。

  ⑸ 宗教団体や宗教施設では、宗教専門職・宗教職・修行者の間においてや、信者・信奉者などの間においても、上下関係や先輩後輩という関係が生まれ、その中で「セクハラ」事案が起こりやすいので、あらかじめ対策を講じておくことが必要です。

 3 パワー・ハラスメント(パワハラ)

  ⑴ 「パワハラ」とは、職務上の地位や、職業上の経験や技術の優劣、職場における人間関係などを背景に、その優位性をもとに、同じ職場で働く者に対して、業務上の適正妥当な範囲を超えて、叱責し、業務を命じ、行動や服装を規制し、同行や参加を求めるなど、相手方に精神的な負担を与え、身体的な苦痛を与え、職場環境を悪化させるような言動をいいます。

  ⑵ 「パワハラ」は、職場だけではなく、同業者団体、経済経営団体、スポーツ団体、芸能団体、青少年団体などにおいても、その分野における地位や経験・実力・技術などの上下優劣に基づいて、同じ団体の構成員に対して、精神的な負担を与え、身体的な苦痛を与え、団体内部における活動を悪化させるような言動をいいます。

  ⑶ 宗教団体や宗教施設においても、宗教専門職・宗教職・修行者の間において、信者・信奉者などの間において、宗教専門職・宗教職・修行者と信者・信奉者などとの間において、地位の上下、経験の長短、知識の深浅などという関係から「パワハラ」が起こる可能性があります。

 4 宗教ハラスメント 

  ⑴ 宗教団体や宗教施設において、宗教専門職・宗教職・修行者の間において、宗教上の地位や、宗教上の覚悟・知識の深浅、宗教上の経験の長短などを背景に、上位・優位にある者が下位・劣位にある者に対して、宗教的向上心を削がれ、宗教的熱心を低下させ、宗教的敬虔を後退させ、宗教的信仰を減衰させ、延いては宗教職を断念させるに至るような言葉・行為・行動をすることを「宗教ハラスメント」と呼びます。

  ⑵ 同様のことは、宗教専門職・宗教職・修行者から信者・信奉者などに対して行われる可能性もあります。信者・信奉者などの間においても起こりうることです。

  ⑶ 「宗教ハラスメント」は、宗教団体や宗教施設における秩序を乱し、その正当な運営を困難にし、宗教団体そのものに対する信頼を欠くことになり、宗教活動の実行を困難にし、宗教団体の存続を危うくしかねません。宗教団体においては「宗教ハラスメント」を深刻に受け止め、未然防止のために、宗教職や信者などに対する教育や研修をしっかり行うなどのことが求められます。

 5 ハラスメントの防止 

  ⑴ 「ハラスメント」は、特別の意図や意思があり、深い意味があって行うものではありませんから、受け手である被害者には深刻であっても、行為者にはその自覚が全くないということが少なくありません。むしろ、行為者には、職務や責任に忠実であり、相手方にとって利となることと思ってしたという認識である場合が多々です。

  ⑵ 「ハラスメント」は、個人間の問題であり、受け手の特殊な事情に基づく場合が多く、受け手の受け方の問題でこともありますから、周囲の同僚や関係者にも気づかれることなく、被害者が「自分の問題」「自分の責任」と考え、一人で悩むことが少なくありません。

  ⑶ そのため、「ハラスメント」に対しては、組織として十分な対応をとらないと深刻な事態を招いてしまいかねません。宗教団体としては、宗教団体の基範でその対応策の基本を規定し、宗教職などの倫理規程を定め、職員の就業規則に防止規定を置き、信者などのハンドブックにハラスメントの項目を置くなどのほか、宗教職や信者などに対する教育や研修を徹底する必要があります。

 

 

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